おじさん薬剤師の日記

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パーキンソン病治療薬

パーキンソン病の神経変性のメカニズムの一端としてミトコンドリア由来のDNAが関与

投稿日:2021年5月28日 更新日:

パーキンソン病の神経変性のメカニズムの一端としてミトコンドリア由来のDNAが関与

新潟大学脳研究所脳病態解析分野の研究チームの報告によると、パーキンソン病の病態形成におけるミトコンドリア、リソソームについての関連について、ミトコンドリア由来のDNAが細胞質に漏出することで、炎症反応や細胞死、神経変性が惹起されるメカニズムが明らかとなりました。

細胞内のミトコンドリアが障害をうけた際に漏出するDNAは、本来であればリソソーム内のDNaseⅡ(DNA分解酵素)によって速やかに分解をうけるのですが、ミトコンドリア機能障害によりミトコンドリアの損傷によるDNA漏出の大量に発生する場合、DNaseⅡによる分解が追い付きません。その結果として、DNAセンサーが働いて炎症反応生じて、細胞毒性・神経変性を誘導することが示唆されました。

また、DNaseⅡの貯蔵庫であるリソソームに機能障害が生じた場合でも、漏出されたDNAを分解することができず、ミトコンドリアDNAが細胞質に蓄積し、細胞毒性・神経変性を誘導することが示唆されました。

パーキンソン病に関連する遺伝子をノックダウンさせた培養細胞による実験により、細胞質内に漏出するミトコンドリアDNAが増加し、細胞死が誘導されたことが報告されました。

また、培養細胞内のDNaseⅡを過剰発現させると、ミトコンドリア由来DNAの分解が進み、炎症反応や神経変性が改善しています。

また、ミトコンドリア由来のDNAを感知する機能を有するIFI16を減少させた場合も、炎症反応や神経変性が改善したことが報告されています。

パーキンソン病の神経変性はミトコンドリア由来のDNAが細胞質に蓄積することが要因

パーキンソン病の原因はパーキンタンパク質の制御不能が原因か?

パーキンソン病の原因遺伝子産物と考えられている”Parkin(パーキン)”に関与するミトコンドリア酵素に関する新たな発見がありましたので下記します。

Parkin(パーキン)とは

Parkinとは機能が低下したミトコンドリア(細胞内オルガネラの一つ)のみを選択的に除去する作用(マイトファージ)に関連する蛋白質と考えられています。Parkinに変異が生じると、遺伝性若年性パーキンソン病の要因となることが報告されておりますが、Parkinがどうのように細胞死を引き起こしているかについての詳細は不明です。

 

今回の報告では、ミトコンドリア外膜に存在する4回膜貫通タンパク質”MITOL”がPakinとどのように関与するかについての詳細が解明されたという内容です。

パーキンソン病の関連タンパク質Parkinの制御機構に関するMITOLのはたらきについて

MITOLとは

MITOLとはミトコンドリア外膜に存在する酵素(蛋白質)であり、周辺の蛋白質にユビキチンを不可することで、タンパク質の分解を促し、細胞内の品質管理を担っているタンパク質です。

 

MITOLはParkinと結合することで、Parkinによるミトコンドリアの除去(マイトファージ)を管理していることが報告されました。MITOLを欠如させた細胞内ではPakinが蓄積するとともに、細胞死を抑制させる蛋白質であるFKBP38も減少することが報告されました。一方でMITOLが存在する条件では、Parkinが分解され、細胞死抑制タンパク質であるFKBP38が保護されることが報告されました。

 

さらに、MITOLとFKBP38は機能低下したミトコンドリアの除去(マイトファージ)の際に、ミトコンドリアから小胞体へ移動する様子も観察されました。

上記の結果から、Pakinによる細胞死において、MITOLがPakinを分解し、FKBP38を保護することで細胞死をコントロールしていることが示唆されました。さらに、MITOLはミトコンドリア外膜だけでなく小胞体へ移行することで細胞機構を調節していることも示唆されました。

過去の知見では、Parkinに変異が生じることでパーキンソン病が発症するのでは?という考えもありましたが、今回の報告では老化に伴うPakinの制御不能がパーキンソン病の原因となる可能性が示唆され、その制御においてMITOLの活性化がポイントとなることも示されました。

今後は、MITOLの活性化(Parkinの分解)を標的とした研究がパーキンソン病の治療戦略になるのでは?と期待されます。

 

-パーキンソン病治療薬
-MITOL, パーキンソン病, マイトファージ, 原因蛋白質

執筆者:ojiyaku


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