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ビブラマイシン(ドキシサイクリン)がニキビ治療に対して適応外使用が認められる
平成30年9月28日、ニキビ治療に対してビブラマイシン錠の適応外使用が認められることとなりました。
ニキビ治療にビブラマイシンの使用が認められる(適応外使用が認可される)
○ 使 用 例
原 則 と し て 、「 ド キ シ サ イ ク リ ン 塩 酸 塩 水 和 物 【 内 服 薬 】」 を 「 ざ 瘡( 化 膿 性 炎 症 を 伴 う も の )」に 対 し て 処 方 し た 場 合 、当 該 使 用 事 例 を 審査 上 認 め る 。
ニキビ治療に対するビブラマイシン(ドキシサイクリン)の効果については、尋常性痤瘡治療ガイドライン(ニキビ治療ガイドライン)にて
評価A:炎症性皮疹に、ビブラマイシン(ドキシサイクリン)内服を強く推奨する
平成30年9月28日「医薬品の適応外使用に係る保険診療上の取扱いについて」
という評価を得ており、この結果から適応外使用が認可されることとなりました。
推奨度合いで言いますと、ビブラマイシンの方がミノマイシンよりも高い評価を得ています。
(ニキビ治療で処方されるミノマイシンの評価はA*:炎症性皮疹に、ミノサイクリン内服を推奨すると記されており、「強く」という文言はミノサイクリンには記されておりません)
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)の特徴
テトラサイクリン系の抗菌薬でありながら、ミルクや食べ物と同時摂取すると血中濃度のピークは遅れるものの、吸収量が妨げられることはありません(インタビューフォームより)。とは言え、カルシウム・マグネシウム・アルミニウム・鉄剤との併用によりビブラマイシンの吸収が低下するという記載も添付文書には記されております。
半減期が11~13時間程度と長いため、他のテトラサイクリン系の抗菌剤では1日数回服用しなければならないところ、ビブラマイシンでは1日1回で十分な効果が期待できます。服用開始から2日目には定常状態に達するため十分な効果が現れます。
1日1回タイプの抗生剤ニキビ治療薬「ゼビアックスローション2%」の効果について
ビブラマイシン錠200mgを1錠飲んだ後の血中濃度の推移は
3時間後:4.27μg/ml
6時間後:2.43μg/ml
24時間後:1.45μg/ml
48時間後:0.45μg/ml
72時間後:0.07μg/ml
ニキビ菌(アクネ菌)に対するビブラマイシン錠の抗菌力(MIC:最小発育阻止濃度)は0.08~0.16μg/mlと報告しているデータがありますので、非常に有用な血中濃度が長時間にわたって維持されることがわかります。
適応外使用として認められた期間に関しては、急性炎症期の中等度以上の症状に対して概ね3か月を目安とすると記されています。
海外における報告ですが、6か月間ビブラマイシンを服用し続けた結果、何も飲まなかった群でニキビが減少した率が30%であったのに対して、ビブラマイシン服用群では50%にまで低下したという報告があります。
さらに、どれだけニキビが減少したかを確認してみると、ビブラマイシンを6か月間服用すると、54%のニキビ減少が確認されています。(何も飲まなかった群では11%の減少となっています)
上記の報告は被験者数が21人と少人数の報告ではあるものの、ビブラマイシン錠を飲んだ半数でニキビ減少が確認されたことがわかります。
ビブラマイシン錠の添付文書やインタビューフォームにはニキビ菌(アクネ菌)に対する効き目が記されておりません(本来、適応を有していないためです)。そのためニキビに対するビブラマイシンの効果を確認する場合は、臨床報告を収集する感じになるのかなぁと思いました。