厚生労働省は2018年12月発売予定となる後発医薬品を一斉に承認しました。初後発品となるのは13成分で、すでに発売されている後発品や先発品の剤形規格などを含めると194品目が承認されました。
今回、初めて承認された後発医薬品の中で、市場規模が一番大きな品目は注射剤のネスプ(協和キリン)で年間563億円の売り上げがあります(2017年)。ネスプを販売している協和キリンの子会社(協和キリンフロンティア)がバイオオーソライズドジェネリック(ABS)の承認を得ましたが、他社の競合がいないことを踏まえると2018年12月の発売となるかどうかは難しいところかもしれません。
内服薬では痛み止めの治療薬トラムセット配合錠(年間販売金額:280億円)の承認を得た企業は25社、抗うつ剤治療薬リフレックス/レメロン(年間販売金額:290億円)の承認を得た企業は19社ありますので、10社以上の製薬会社が参入することが濃厚となったため、薬価は先発品の4割程度となる予想です。トアラセット配合錠(トラムセット配合錠のGE)については錠剤のサイズをどの程度まで小さくできるかが私としは興味があります。ミルタザピン(リフレックス/レメロンのGE)については先発にはないOD錠の承認を得たメーカーが5社あります。また明治もGEを作っていますので、このあたりがAG薬となる感じでしょうか。
それ以外の新規後発品目については10社以上の参入はありませんでしたので薬価は先発品の5割程度となる見込みです。
・注意欠陥/多動性障害治療薬「ストラテラ」
ニプロはカプセルではなく錠剤の承認を得ています。それ以外のメーカーは先発同様カプセルでの承認取得です
・片頭痛治療薬「レルパックス」
アメルはOD錠の承認取得、それ以外の6社は先発同様に普通錠での取得です
・麻酔薬「プレセデックス」
・緑内障治療薬「ルミガン」(ビマトプロスト)
これまでですと、新規発売された後発品のうち、目薬のGEを承認する会社は3社程度だった印象があるのですが、ルミガン点眼液は薬価が高い目薬(1本2275円)であり、処方量も多い薬ですので6社が承認を得ています。
値引き率が大きいと薬価が引き下げられる薬価改定の仕組みを考慮して後発医薬品を選定する方法
・腎性貧血治療薬「ネスプ」
・抗がん剤「ゼローダ」
・抗がん剤「イレッサ」
・排尿障害治療薬「ユリーフ」
緑内障治療薬「デュオトラバ」
・抗アレルギー薬「バイナス」
・痛み止め「ロルカム」
・抗真菌薬「ブイフェンド注射用」
上記の7品目のGEについては、いずれも競合他社がおりませんので、AG薬メーカーについては販売時期が遅れる可能性があります。
2018年12月までに行われる製薬会会社によるジェネリック医薬品採用競争は、トラムセットとリフレックス(レメロン)という2品目に注目が集まりそうです。次点としてストラテラ・レルパックスといった感じでしょうか。
今後、各メーカーから添付文書が公開となりますので、注目銘柄については、メーカーごとの特徴をまとめていければと考えております。