平成30年度「調剤報酬にかかる検討事項」を開示
2017年12月8日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会において平成30年度の調剤報酬にかかる検討事項が開示されました(全57ページ)。
2017年3月29日に調剤報酬にかかる検討事項として「調剤報酬(その1)」が開示されておりましたので、今回開示された事項は「調剤報酬(その2)」となります。
以下に主な内容を記します。
薬剤師のためのe-ラーニング「MPラーニング」の仕様についての個人的感想
1:かかりつけ薬剤師の推進
かかりつけ薬剤師指導料の算定実績は全体の約1%程度
かかりつけ薬剤師による疑義照会の割合は9.2%、かかりつけ薬剤師ではない場合は3%
かかりつけ薬剤師は医師との連携がとれていることがうかがえる
かかりつけ薬剤師指導料の算定患者層:75歳以上が43.4%、65~74歳:22.2%
論点(案)
患者の同意に基づくかかりつけ薬剤師指導料の算定の適切な推進の観点から、同意の必要性を患者及び薬剤師の双方で確認することとし、かかりつけ薬剤師指導料等に関する同意書の基本的様式を明らかにするといった措置を検討してはどうか。
かかりつけ薬剤師指導料を1人当たり月100件以上算定すれば、調剤基本料41点を算定できるルールを廃止してはどうか
健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏からは
「薬局グループ4万回超の場合の集中率95%以上というハードルが低いため例えば75%など41点を算定するためのハードルを厳しくすべきではないか」
「敷地内薬局が41点を算定するのはどうなのか」
という意見がでています。
2:対人業務の推進
手帳を持参しない患者から高い点数(50点)を算定している薬局が存在するため手帳の活用を十分に推進できていない薬局の評価を引き下げを検討
薬剤服用歴の記録について次回の服薬指導にあたり留意すべき点が明示されていないため、次回の服薬指導の計画を加えるなどの見直しを行ってはどうか
調剤料・1包化加算の見直し
保険薬局と医療機関の副作用管理における連携として医療機関の求めに応じて患者の服用状況等をフォローアップし、薬物療法の安全性に資する業務を推進してはどうか
3:薬局の機能に応じた評価の見直し
薬局の収益状況や医薬品の備蓄等の効率性も踏まえ、店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局、不動産の賃貸借等の関係がある薬局等の評価を見直すこととしてはどうか。また、医療資源の乏しい地域における評価についてどう考えるか(調剤基本料の特例対象を拡大してはどうか)
患者の薬物療法の安全性向上に資する事例の共有について、基準調剤加算の要件に加えることを検討してはどうか。また、副作用報告について、今後の薬局における手引きの整備状況を踏まえ、要件とすることを検討してはどうか。
~その他の個別事項~
調剤報酬関連以外にも調剤薬局に関わる事項が論点にあがっておりましたので記します。
その他の論点
~医療機関と薬局の状況共有・連携に係る論点~
効果的な薬物療法や服薬指導の推進のため、医療機関からかかりつけ薬剤師に対して検査
値等や診療上の留意点等に関する情報提供の推進に資する評価を検討してはどうか。
また、こうした連携がより有用性の高いものとなるよう、保険薬局からのフィードバックを受け取る連携担当者・窓口の明確化等を、医療機関から薬局への情報提供に係る評価の要件にしてはどうか。
処方箋と一緒に検査値が記している医療機関がありますが、それに対して加算を行うことが検討されます。調剤薬局としては患者様の安全管理という観点から有用な議論に感じます。
~新医薬品の処方日数制限の取扱い~
新医薬品の14日間処方日数制限の対応について、例えば、以下のような選択肢が考えられるが、それぞれの選択肢についてどう考えるか。
1) 処方日数制限について、現状の14日から21日、28日、30日等に延長。
2) 個別の患者の事情を勘案し、患者の状況に応じて処方日数を延長。
3) 処方日数制限を行わないとしている現在の取扱い(実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められる新医薬品等)に、次の場合を追加。
・ 既収載品の有効成分(ラセミ体)を光学分割した場合
・ 既収載品の有効 成分の代謝物や代謝前の成分の場合
・ 既収載品と同一成分・同一投与経路であり、同様の効能・効果であるが、用法・用量が既収載品と著しく異ならない配合剤の場合
4) 現行の取扱いを維持。