筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して高用量のメコバラミン注射をエーザイが承認申請?
エーザイは、徳島大学との研究チームを発足し、発症早期の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんに対する高用量メコバラミンの有効性・安全性の検証(第三相試験)を開始することを同ホームページに公開しました。新薬承認申請に向けて2022年3月に希少疾患用医薬品指定申請を厚生労働省に提出し、2023年度中の新薬承認申請を予定しているとしています。
エーザイは高用量メコバラミンに関しては、2015年5月に新薬申請を行ったものの、データ不十分のため2016年3月に申請を取り下げた経緯があります。
今回の申請に関しては、ALS発症から1年未満の患者さんを対象として高用量メコバラミンの有効性・安全性を再検証し、容認性が確認されたため、承認申請を行うとしています。
既存の末梢神経障害に対するメコバラミン注射薬の用量としてはを週3回、1回500μg(適宜増減)を筋肉内または静脈内に注射します。
既存の末梢神経障害に対するメコバラミン錠の用量として、1日3回、1回500μg(1日量として1500μg)(適宜増減)とされています。
今回、エーザイが行っている高用量メコバラミンの治験段階の用量は
「週2回、メコバラミン50mgを16週間にわたり筋肉内注射した」
と記されています。
50mg=50000μgですので、既存の末梢神経障害に対する使用量の100倍量を投与することになります。
被験者130名(平均年齢61歳)を対象としてメコバラミンまたはプラセボを週2回、メコバラミン1回50mgを16週間投与(112日間)した治験成績としては
メコバラミンを投与した群の方が、ALSFRS-R総スコアで1.97ポイント大きな値を示したと記されています。
有害事象に関しては、2群間で同様であったとしています。
筋萎縮性側索硬化症機能評価尺度
改訂(ALSFRS-R)総スコアは、ALS患者の機能活性を測定するスコア(0-48)で、疾患が進行し症状が悪化するにつれ、患者のALSFRS-Rの合計スコアは経時的に低下します。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)に対して「ボシュリフ錠」を服用するとALS進行停止か?
京都大学iPS細胞研究所の報告によると、用量の異なるボシュリフ錠(慢性骨髄性白血病治療薬)をALS患者12名に12週間(84日間)服用してもらってALSに対する効果を確認したデータ結果が開示されました。
治験データ
ボシュリフ錠服用量
1日量100mg:3名
1日量200mg:3名
1日量300mg:3名
1日量400mg:3名
上記4つのグループに分けて、ボシュリフ錠のALSに対する効果が検討されました。結果として1日100~300mgを服用したALS患者さんは12週間の治験を完了しました。400mgを服用した患者さんは有害事象(副作用)が出たため治験を完了することができませんでした。
12週間ボシュリフ錠を飲み続けた9名中5名に関して、ボシュリフ錠を服用後にALSの進行が停止していることが確認されました。一方残りの4名に関しては、ALSは変わらず進行していました。
ALSの進行が停止していた5名の血液を調べたところ、神経細胞が壊れるときに出るタンパク質(ニューロフィラメントL)の量がボシュリフ錠を服用後に少なくなっていることがわかり、ボシュリフ錠の効果判定の指標になるとしています。

als