シクレスト舌下錠の有効成分を含む“貼り薬“を久光製薬がFDAへ申請

シクレスト舌下錠の有効成分を含む“貼り薬“を久光製薬がFDAへ申請

 

久光製薬は統合失調治療薬アセナピンマレイン酸塩の貼り薬タイプ(経皮吸収治療剤)を米国食品医薬品局(FDA)へ新薬承認申請したことを公開しました。

この貼り薬(HP-3070)はTDDS(経皮薬物送達システム)技術が用いられた全身性経皮吸収型製剤です。米国で行われたフェーズⅢ(第三相臨床試験)データによると、617名の統合失調症患者さんを対象として6週間この貼り薬を使用したところ統合失調症の陽性・陰性評価尺度(PANSS)のトータルスコアの変化量において、有意な改善が確認されています。

 

アセナピンマレイン酸といえば「シクレスト舌下錠」の有効成分です。シクレスト舌下錠は、舌下(舌の下)にいれて溶かして使用する薬であり、舌下投与後10分間は飲食してはいけないというルールがある薬です。人によっては使用後の下のしびれ・苦みを感じる方もおりました。このシクレストの成分を貼り薬として米国FDAへ申請したのが今回の貼り薬(HP-3070)です。

久光製薬が経皮吸収型統合失調症治療剤(HP-3070)をFDAへ承認申請

シクレスト舌下錠の成分“アセナピン”をそのまま貼り薬としても、アセナピンは粘着剤組成の成分との接触や加熱・紫外線等の光暴露によって分解されてしまいます。久光製薬はアセナピンの分解を抑えながら、貼り薬の表面(粘着剤層)をつくる工程に関する特許を取得しました。

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久光製薬は貼付剤の粘着剤層にアセナピンマレイン酸金属塩を含有させることで、アセナピンの分解を防ぐことができることを見出しました。さらにこれに脱塩剤を含有させることでアセナピンの分解をさらに抑えることを見出しました。

アセナピン含有貼付剤の製造特許(全25ページ)

以上の経緯から、アセナピンの酸付加塩、アクリル酸エステル重合体及び脱塩剤を混ぜて、均一な粘着剤組成物を作成し、それを支持体(貼り薬)の片方の面上に所定の厚みで塗布した後、必要に応じて加温して溶剤を乾燥除去してアセナピン貼付剤を作成する方法を見出しました。(温度条件は60~120℃、加温時間は2~30分)

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アセナピン含有貼付剤の製造特許は全25ページからなります。

 

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業

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