おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

自分まとめ 食前・用法

食前・空腹時に服用する薬の理由一覧(自分まとめ)

投稿日:

食前・空腹時に服用する薬の理由一覧(自分まとめ)

薬の用法についてのお話しです。

食後以外の用法として、食前・食間・空腹時・起床時など薬によって飲むタイミングは異なります。

食後以外の用法の薬を患者様へお渡しする際に、用法の確認とその理由について明確にお伝えできれば、正しくお薬をご使用いただけると思いますので、このページでは、漢方薬を除く医薬品について、食後以外の用法の医薬品をリストアップし、その理由を示します。

 

尚、血糖降下剤は「食前または食後」といった感じで、食前・食後のどちらの用法でもよいですよといった医薬品が多いのですが、今回取り上げる医薬品は添付文書上の用法が「食前・空腹時・起床時・食間」と指定されている医薬品を対象としております。

また、ムコスタ錠のように、1回1錠(レバミピドとして100mg)を1日3回経口投与する。といった感じで食前や食後の区別がない医薬品も除外しておりますのでご理解ください。

食前薬 
アコファイド薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後や空腹時の服用では6割に低下するため
アズノール錠炎症組織に対する直接的な局所作用。吸収量は緩やかで投与量の6割程度。食前に飲んで胃炎予防程度
エナロイ錠食前または就寝前に使用します。薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用で50%に低下するため
エラスチーム錠腸溶錠である。食後では胃の幽門が開くまで腸に到達できず、腸管への移行が遅れるため食前が適切である
ガナトン錠食後に使用すると15分間ほど、吸収速度が遅れるが食前と食後で有意差なし
キネダック錠50mg食後に使用すると30分間程吸収がおくれ、薬が一番効果が出る時の濃度は7割に減り、吸収量も9割になる
グーフィス錠直接回腸のトランスポーターに結合するので血中に移行しても意味がない。食前にのんで食後の胆汁排泄再吸収をおさえる
サノレックス錠食欲中枢に作用して摂食行動を抑制するため食前に飲みます。
ナウゼリン食後に使用すると効果発現までの時間が2時間程度遅くなり、薬が一番効果が出ている時の濃度も20%低下する
ノベルジン錠(ウィルソン病のみ)ウィルソン病(銅の多重蓄積)に対しては、ノベルジンの吸収が食べ物に影響を受けないよう食前・食間で使用する
プリンペラン消化管の蠕動運動を亢進させて食後胃内の食物が長く滞留し ないように腹部の不快感を改善するため, 食前投与がより効果的
メタライト食後に飲むと吸収量が低下する可能性があるため
リファジンカプセル薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割に低下するため
リルゾール薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割から7割に低下するため
リンゼス食後では効きすぎて下痢になるリスクがあるため
レルミナ食後投与で効果が半減するため

 

食直前薬 
キックリンカプセル消化管内で食事に含まれているリン酸と結合して糞便中へリンを排泄する作用
クラバモックス食後に飲むとクラブラン酸Kの吸収がさがるため。オーグメンチンはクラブラン酸の含量が多いため食後でOK
グルファストインスリン分泌を促すため
シュアポストインスリン分泌を促すため
セイブルαグルコシダーゼ阻害剤を抑制して糖の吸収・消化を遅延させる作用
アカルボースαグルコシダーゼ阻害剤を抑制して糖の吸収・消化を遅延させる作用
ベイスンαグルコシダーゼ阻害剤を抑制して糖の吸収・消化を遅延させる作用
ピートルチュアブル消化管内で食事に含まれているリン酸と結合して糞便中へリンを排泄する作用
フォスブロック消化管内で食事に含まれているリン酸と結合して糞便中へリンを排泄する作用
レナジェル消化管内で食事に含まれているリン酸と結合して糞便中へリンを排泄する作用

 

起床時薬 
リベルサス食事と混ざると3~5割程度しか吸収されないため
アクトネル食事と混ざると1割程度しか吸収されないため
ベネット食事と混ざると1割程度しか吸収されないため
ボノテオ食事と混ざると1割程度しか吸収されないため

 

空腹時薬 
イトラコナゾール内用液薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割に低下するため
アルロイドG胃や食道の粘膜を覆って保護する作用であるため、空腹時 の食前または食間服用がより効果的
エザルミア錠薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では5割に低下するため
エドルミズ錠食後に使用すると吸収量が3割程度まで低下するため
カボメティクス薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では1.4倍に増加するため
コセルゴ薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では5割に低下するため
ザイティガ食後に摂取すると吸収量が数倍に増えるため
ジェセリ食後に摂取すると吸収量が1.5~2倍に増えるため
ジオトリフ薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では4割~5割にまで低下するため
セムブリックス薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では3割~6割にまで低下するため
タスフィゴ薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割に低下するため
タフィンラー薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では3割~5割にまで低下するため
ディレグラフェキソフェナジンの吸収量が食後で3割程度にまで減少するため
ニンラーロ薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では7割に低下するため
ハイイータン食後に摂取すると吸収量が2倍に増えるため
バラクルード薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では5割に低下するため
ビラノア薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割に低下するため
ベレキシブル薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では1.7倍に増加するため
メキニスト薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では3割にまで低下するため
ユービット尿素呼気試験薬であるためその後の検査に影響がでないよう空腹で使用します。
ラジカット内用懸濁液薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では2割に低下するため
レボレード薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割に低下するため

 

食間薬 
ダイドロネル空腹時の吸収量が3%、食後の吸収量は0%
ブイフェンド薬が一番効果が出ている時の濃度が、食後の服用では6割から7割程度まで低下するため
クレメジン他剤と併用すると他剤と吸着して吸収をさまたげるため食間で使用することが多い。食後服用は問題なし
tab7

tab7

-自分まとめ, 食前・用法
-理由, 用法, 空腹時, 食前, 食直前, 食間

執筆者:ojiyaku

関連記事

AMPC

ペニシリン系禁忌の方に対するセフェム系薬剤の投与について(自分まとめ)

ペニシリン系禁忌の方に対するセフェム系薬剤の投与について(自分まとめ) 先日、小児の溶連菌に対してサワシリン(アモキシシリン)が10日分処方されたのですが、7日間服用した時点で薬疹がでたため内服が中止 …

megusuri

目薬の適宜増減は滴数ではなく回数をふやすこと:自分まとめ

目薬の適宜増減は滴数ではなく回数をふやすこと:自分まとめ クラビット点眼液の用法は1回1滴、1日3回点眼する。尚、症状により適宜増減する。 ベガモックス点眼液の用法も1回1滴、1日3回点眼する。尚、症 …

sippu

「温湿布を貼っても暖かくないんですけど!」という訴えに対して(自分まとめ)

「温湿布を貼っても暖かくないんですけど!」という訴えに対して(自分まとめ)   過去にMS温湿布、MS冷湿布の事例を記載しましたが、付随する医薬品としてロキソプロフェンNaテープ(温感)、( …

片頭痛の女性

前兆を伴う片頭痛患者には低用量ピルは禁忌なのに、ピル以外のエストロゲン製剤には「片頭痛禁忌」の文言がない件について(自分まとめ)

前兆を伴う片頭痛患者には低用量ピルは禁忌なのに、ピル以外のエストロゲン製剤には「片頭痛禁忌」の文言がない件について(自分まとめ)   私は脳神経外科の門前薬局で勤務しているのですが、ピルを定 …

kekkan1

クロピドグレルとワーファリンの違いはなんですか?(自分まとめ)

クロピドグレルとワーファリンの違いはなんですか?(自分まとめ) 調剤薬局で働いていると、ふと「○○について詳しくしらべてみよう」と思うことが、たまーーにあります。 今回は「自分まとめシリーズ」から「血 …