厚生労働省はゾコーバ錠125mgの医療機関および薬局への配分に関する情報を公開しました。(全25ページ)
要約すると
・当面の間(2週間程度)は都道府県が選定した「パキロビッドパック」の処方実績のある医療機関および薬局を、ゾコーバ錠を扱える機関と限定する
・ゾコーバ対応医療機関は都道府県毎に、「各都道府県の二次医療圏+保健所設置市・特別区の数」×10か所を目安として選定する
・ゾコーバ対応薬局は都道府県毎に、「各都道府県の二次医療圏+保健所設置市・特別区の数」✕20カ所を目安として選定する
・ゾコーバ錠125mgは28錠入り(14錠×2)であり、1人分は7錠(初日は3錠、2~5日は1日1錠)であるため、1箱で4人分
・ゾコーバ錠125mg28錠を4人すべてに投与し、ゾコーバ登録センターへ使用実績の登録が終了したところで、次の発注が可能
・配送に協力する医薬品卸から医療機関・薬局に納品されるまで原則、発注後1~2日程度要する(日曜祝日を除く)
・ゾコーバ錠は国が管理し、国からの無償譲渡については、ゾコーバ登録センターへの配分依頼を行う手続きが必要
・無償譲渡であるため薬剤費はかかりません
・保険診療との併用が認められているため、調剤基本料、調剤料、薬剤服用歴管理指導料の算定は通常通り保険請求可能
詳細は以下をご参照ください。
ゾコーバ錠125mgの医療機関および薬局への配分について全25ページ
塩野義製薬が開発していた新形コロナウイルス内服薬「ゾコーバ錠125mg」が医薬品として緊急承認されました。
効能効果:SARS-CoV-2による感染症
用法・用量:通常、12歳以上の小児及び成人にはエンシトレルビルとして1日目は375mgを、2日目から5日目は125mgを1日1回経口投与する
臨床試験データによると、ゾコーバ錠を服用することで、発熱や咳などの症状が改善する時間が24時間短縮する効果が報告されています。
具体的には新型コロナウイルスにより「倦怠感・喉の痛み・鼻水・喉の痛み・咳」という5つの症状が回復するまでの中央値について
ゾコーバ錠服用群:167.9時間(7日間)
プラセボ服用群:192.2時間(8日間)
ゾコーバ錠服用例数:336人、快復数254人(75.6%)
プラセボ服用例数:321人、快復数233人(72.6%)
と報告されています。
緊急承認に至った経緯などんは深く探りませんが、取り立ててゾコーバ錠125mgを手にする医療従事者が注意するポイントは
”ゾコーバ錠125mgはパキロビッドパック(ファイザー製)と同じくらい併用禁忌がある”ということです。
ゾコーバ錠には35品目の併用禁忌薬があり、そのうち27品目がパキロビッドパックの併用禁忌薬と重複しています。
上記2剤は新形コロナウイルスに対する薬理作用が同じですので、併用禁忌薬も類似しているのでしょう。
以下にゾコーバ錠とパキロビッドパックで共通する併用禁忌薬をまとめました。
ゾコーバ錠とパキロビッとパックで共通する禁忌薬リスト
アゼルニジピン・オルメサルタン メドキソミル |
アゼルニジピン |
アパルタミド |
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン |
エルゴメトリンマレイン酸塩 |
エレトリプタン臭化水素酸塩 |
カルバマゼピン |
キニジン硫酸塩水和物 |
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩 |
セイヨウオトギリソウ |
タダラフィル(アドシルカ) |
トリアゾラム |
バルデナフィル塩酸塩水和物 |
ピモジド |
フィネレノン |
フェニトイン |
ブロナンセリン |
ベネトクラクス |
ベプリジル塩酸塩水和物 |
ホスフェニトインナトリウム水和物 |
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩 |
リオシグアト |
リバーロキサバン |
リファブチン |
リファンピシン |
ルラシドン塩酸塩 |
ロミタピドメシル酸塩 |
パキロビッドパックにはなく、ゾコーバ錠125mgに記載されている併用禁忌薬リスト
アナモレリン塩酸塩 |
イバブラジン塩酸塩 |
イブルチニブ |
エンザルタミド |
シンバスタチン |
スボレキサント |
チカグレロル |
ミトタン |
注)パキロビッドパックには併用禁忌薬が40品目あり、そのうち27品目がゾコーバ錠125mgと共通しています。
財務省は財政制度等審議会の分科会にて新型コロナウイルスのワクチン接種費用に関して、全額国費で負担している現状について「特例的な措置は廃止すべきだ」との見解を示しました。
新型コロナウイルスのワクチン接種費用は約9600円とされ、2021年度のワクチン接種の事業規模は2兆3396億円(2億5700万回)の国費が支出されたとしています。オミクロン株は重症化率が低かったことを受けて、他の感染症とのバランスを見ながら「定期接種かを検討すべきだ」と述べました。
定期接種扱いとなった場合は、国は交付税で自治体に費用の一部を支援し、各自治体は住民から一部実費の徴収も可能となります。
米国での報告ですが、オミクロン株に感染した264名の学生(女性140名、男性124名:平均年齢20.1歳)を対象とした調査によると、オミクロン株BA.1およびBA.2に感染が確認されてから7日目時点で迅速抗原検査を実施したところ、27%が陽性であるというデータが公開されました。
注)日本での隔離期間は、症状のある人は発症日から7日間隔離、症状がない人は検査陽性となってた日から7日間隔離(抗原検査陰性となれば5日間に短縮可能)
感染から7日目の抗原検査結果
有症感染者:161名中57人が陽性(35%)
無症状者:87人中10人が陽性(11%)
平均すると248人中67人が陽性(27%)という結果が報告されました。
また、7日目に陽性となった者のうち62%が8日目も陽性となり、7日目または8日目に陽性となった者は69%が9日目にも陽性となったことが報告されました。
9日目に陽性となった28名については、10日目に追加検査をすることなく隔離は解除されています。
(言いかえると、248名中28名(11%)は9日目時点でも陽性という結果とも見て取れます。)
新型コロナウイルス感染後7日目時点では27%が抗原検査で陽性(米国での報告)
2022年10月19日、厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会が開催され、オミクロン株対応の2価ワクチンの接種間隔について、前回接種から「少なくとも3カ月経過した後」に変更することが了承されました。(現行では「少なくとも5カ月経過した後」となっていました)
これにより、2価ワクチンの接種間隔が2カ月間短縮されます。
尚、11歳以下の新型コロナワクチンの追加免疫に係る接種間隔は、現行通り5カ月間のままです。
(海外の接種間隔:米国が2カ月、欧州は3カ月)
2022年11月1日、モデルナのオミクロン株BA.4-5対応新型コロナワクチン(2価ワクチン)が特例承認されました。(オミクロン株BA.4-5対応ワクチンにはmRNAをそれぞれ25μg含有しています)18歳以上を対象として、接種間隔は前回接種から「少なくとも3カ月経過した後」とされています。
ファイザー社はオミクロン株BA.4-5対応2価ワクチンの有効性についてのプレスリリースを行いました。
被験者は既存のワクチンを3回接種した方(年齢ごとに:18歳~55歳、55歳以上と2群にわけています)を対象としてます。
4回目を2価ワクチンで摂取した群:各年齢群ごと40名(3回目接種から4回目接種までの期間:11カ月)
4回目を既存ワクチンで摂取した群:各年齢群ごと40名(3回目接種から4回目接種までの期間:6カ月)
上記の2群へ各ワクチンを接種し7日後の中和抗体価を評価しています。
結果
・2価ワクチンを接種した群は、既存のワクチン接種群と比較してオミクロン株BA.4-5に対する中和抗体価が大幅に増加していた
・18歳~55歳、55歳以上の各群において同程度の反応が確認された
・2価ワクチンと既存ワクチンとで、同程度の安全性がしめされた
今回のプレリリースでは詳細なデータは開示されませんでしたが、数週間以内にさらなるデータ得られるとしています。
コロナワクチン接種後、次のワクチンを接種するまでの間隔(接種時期)は「通常、前回の接種から少なくとも5カ月経過した後」と添付文書に記されています。
新型コロナ2価ワクチンが医薬品として承認されたことで、この接種間隔が短くなるかもしれません。
厚生労働省は10月19日に開催予定となっている薬食審で、2価ワクチンの接種間隔の短縮について議論し、10月下旬までに結論を出すとしてます。
2価ワクチンなどの追加免疫の接種間隔に関して、米国では2カ月、欧州では3カ月となっています。
2価ワクチン:ファイザー(12歳以上)、モデルナ(18歳以上)に対して追加免疫(3回目以降)として使用することが承認されています。;
厚生労働省は2022年10月5日、薬食審・医薬品第二部会にてオミクロン株BA.4-5対応の2価ワクチンを特例承認しました。
対象年齢は12歳以上です。
2022年10月5日現在、2価ワクチン(オミクロン株BA.1)が接種されています。オミクロン株BA.4-5の接種開始時期に関しては、2022年10月7日に開催されるワクチン分科会にて予防接種法上の臨時接種に関して議論が行われ、10月中旬にも順次接種が開始される見通しです。
ファイザー社は2022年10月13日、5~11歳の小児に対して、オミクロン株BA.4-5対応2価ワクチンを日本で承認申請しました。
接種間隔についてはBA.1対応と同様に「通常、前回接種から少なくとも5カ月経過した後、接種を行うことができる」としています。
生後6カ月~4歳用ワクチン 初回免疫用で3回接種必要
生後6か月~4歳用の新型コロナワクチン「コミナティ筋注6カ月~4歳用」は、初回免疫用で、用法・用量は「1回0.2mLを合計3回、筋肉内に接種する。2回目は通常、3週間の間隔で、3回目は2回目の接種から少なくとも8週間経過した後に接種する」と3回接種する必要がある。1回接種当たり抗原量は3μgで、12歳以上用(30μg)の10分の1、5~11歳用(10μg)の10分の3となっている。
ラゲブリオカプセルの一般流通品についての情報が更新されました。
ラゲブリオカプセル投薬後、ラゲブリオカプセル登録センターへの使用実績報告は不要ということです。
~国購入品の取り扱い~
・2022年9月16日以降、国購入品の配分依頼が行われなくなることに伴い、使用実績登録も不要となる。同手続きについては適切に行われたものとみなす。
・投与した国購入品の薬剤費について、患者に自己負担を求めることや、保険者へ診療報酬請求することはできない
・医療機関が院外処方を行う際、国購入品を薬局内在庫として保有する薬局が、当該国購入品を投与する場合は、処方した医療機関に対して、旧事務連絡に基づく「適格性情報や同意書取得等についてのチェックリスト」の提出を求める必要はないこと。
・国購入品は薬局間譲渡は行わないこと
~一般流通品の取り扱い~
・「適格性情報や同意書取得等についてのチェックリスト」の提出を求める必要はない
・一般流通品の薬局間譲渡に関しては、他の医薬品と同様に考えていただいて差し支えないこと。
・一般流通品を入院において処方する場合には、自己負担分については感染症法に基づき公費負担となること。
・薬局から患者宅等に一般流通品を配送する場合の配送料等については、「薬局における自宅療養等の患者に対する薬剤交付支援事業」の対象となること
2022年9月16日、ラゲブリオカプセル200mgの一般流通が開始となりました。それに伴い、厚生労働省から一般流通品「ラゲブリオカプセル」の医療機関および薬局での扱いについて情報が公開されました。一番のポイントは「一般流通品を患者に投与した場合にはm、通常の手続きに従って、当該薬剤費を含めて保険請求を行ってください」という文面です。
従来、ラゲブリオカプセルは国が購入し配分をおこなっておりました。(国購入品と呼びます)。しかし、2022年9月16日以降は1かプセルあたり2357.8円、1日薬価1万8862.4円、5日間飲み切りで9万4312円の薬価がつきました。
そこで、「国購入品(無料配布品)」と「一般流通品(薬局が購入)」との取り扱いについて情報開示が行われました。
一般流通品を患者に投与した場合には、通常の手続きに従って、当該薬剤費を含めて保険請求を行ってください。(公費負担)
なお、原則として同一患者に国購入品と一般流通品を混在させて使用することは避けてください。
9月 16 日以降の院内又は薬局内在庫となった国購入品の取扱いについて一般流通開始後、院内又は薬局内在庫となった国購入品については、必要な患者に投与して構いません。国購入品の処方時に求めていた適格性情報チェックリストや投与後に行っていた「ラゲブリオ登録センター」を通じた使用実績登録などの一般流通開始後の取扱いについては、追ってご連絡します。
投与した国購入品の薬剤費については、いかなる場合であっても、患者に自己負担を求めることや、保険者へ診療報酬請求することはできません。また、国購入品と一般流通品については、製造ロット番号及び GS-1 コードにより管理されていますので、請求誤りなどないようご留意ください
ファイザー社は、オミクロン株BA.4/5系統のスパイクタンパク質をコードする2種類のメッセンジャーRNA(mRNA)を含む2価ワクチンについて、厚生労働省に承認申請したことを報道関係者向けホームページに公開しました。
米国ではオミクロン株BA.4/52価ワクチンが米国医薬品局(FDA)により8月末に緊急使用が許可されています。
ファイザー社「オミクロン株BA.4/5」対応2価ワクチンを日本で承認申請
厚生労働省はファイザー社・モデルナ社が申請していたオミクロン株対応(BA.1)2価ワクチンについて特例承認しました。
2022年9月中旬以降に、まずは重症化リスクが高い等により現在実施している4回目接種の接種対象者に対して、従来ワクチンから2価ワクチンへの切り替えを進める方針としています。
10月中旬以降は、初回免疫が完了した12歳以上に2価ワクチンを使用できるようにする予定としています。
ファイザー社2価ワクチン
「コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」
追加免疫として、1回0.3mlを筋肉内に接種する
4回目接種後、1カ月間のオミクロン株BA.1系統に対する中和抗体価は既存のワクチンと比較して1.56倍
モデルナ社2価ワクチン
「スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)」
追加接種として1回に0.25mlを筋肉内に接種する
4回目接種後、1カ月間のオミクロン株BA.1系統に対する中和抗体価は既存のワクチンと比較して1.745倍
MSD製薬は新型コロナウイルス感染症治療薬「ラブゲリオカプセル200mg」について2022年9月16日から一般流通を開始することを同ホームページに公開しました。
ラブゲリオカプセル200mg1カプセルあたり2357.8円
通常、18歳以上の患者にラブゲリオカプセル200mgを1回800mg(4カプセル)、1日2回、5日間経口投与する(1日8カプセル、5日間で40カプセル服用)
MSD「ラブゲリオカプセル200mg」を2022年9月16日より一般流通開始
厚生労働省はファイザー社・モデルナ社が承認申請を行っているオミクロン株対応の2価ワクチンについて、2022年9月12日に開催予定の薬食審・医薬品第二部会にて異論がなければ特例承認をする方針をかためました。
ファイザー社・モデルナ社が申請しているワクチンはいずれも、既存のワクチンに加えて、オミクロン株BA.1系統のスパイクタンパク質をコードするmRNAを含む2価ワクチンです。
接種対象年齢は以下の通りです。
ファイザー社:12歳以上を対象
モデルナ社:18歳以上を対象
オミクロン株対応の2価ワクチンに関しては、9月中旬以降に4回目接種の接種対象者に対し、従来のワクチンから今回のオミクロン株対応2価ワクチンへ切り替えを進める方針としています。
2022年9月19日以降にファイザー製・モデルナ製の合計3000万回分を全国に供給すると都道府県に通知しております。
詳細:2022年9月19日の週に2社の合計で1100万回分を配送し、2022年9月26日の週にも1100万回分を配送、2022年10月3日の週にファイザー製を800万回分を配送してトータル3000万回分としています。
コロナ療養期間について、症状ありは7日間、無書状は5日間い短縮
岸田首相は2022年9月6日、新型コロナウイルス感染者の自宅などでの療養期間について
有症状者の場合:10日間→7日間へ短縮する
無症状者の場合:検査と組み合わせて5日間で解除可能
とする方針を述べました。
新型コロナに感染したすべての人の情報を把握する「全数把握」の届け出対象を65歳以上の高齢者など高リスク者に限定する方針を明らかとし、2022年9月26日から全国一律で実施します。
政府は新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に対応した新たな「2価ワクチン」について、当初は接種開始時期を10月半ばとしていましたが、9月中に接種時期を前倒しする方向で調整に入ったとしています。
現在、新型コロナワクチンの4回目接種を60歳以上と基礎疾患がある18歳以上に限定してますが、2価ワクチンに関しては18歳以上で2回以上接種を終えていれば誰でも接種でき、対象者を大幅に拡大する方針ということです。
米ファイザーと米モデルナが、それぞれ新ワクチンの承認申請を厚生労働省に行っており、承認が行われ次第、9月中に輸入を開始し、接種体制を整える方針です。
モデルナ社はオミクロン株BA.1にも対応可能な2価ワクチンについて、18歳以上を対象とした追加接種ワクチンとして厚生労働省へ承認申請を行いました。
発売する2価値ワクチンは、オミクロン株に対する中和抗体価がベースラインと比較して8倍に増加し、起源株に対する抗体価の比は1.22倍であることを開示しています。
またオミクロンBA.4/BA.5に対する中和抗体価はBA.1に対する中和抗体価の約3分の1であるとしています。
厚生労働省は2022年8月10日の中医協総会にて経口新型コロナ治療薬「ラゲブリオカプセル200mg」の薬価承認を了承しました。2022年8月18日に薬価収載されます。
これまでは、ラゲブリオカプセルを使用する際は、MSDのホームページからラゲブリオ登録センターへ登録し、必要量を申請して入荷する必要がありましたが、一般流通後は、医療機関が必要に応じて医薬品卸から購入することができるようになります。
(新型コロナに係る医療費は全額公費負担のため患者負担はありません)
一般流通の開始時期に関して、MSDは「準備ができ次第、できるだけ速やかに一般流通を開始する」としています。
ラゲブリオカプセル200mg:1カプセル当たり2357.8円
ラゲブリオカプセル200mgは1回800mgを1日2回、5日間経口投与しますので、1日あたり8カプセル(1万8862.4円)、5日間で(9万4312円)のコストがかかります。
一般流通開始後は、ラゲブリオカプセル200mgは医師が必要と判断した時に患者へ投与でき、医療機関が必要量を国に申請する必要はありません。
ファイザー・ビオンテックは2022年8月8日、オミクロン株BA.1系統および起源株(武漢株)のスパイクタンパク質をそれぞれコードする2種類のmRNAを含む2価ワクチンを日本で承認申請したことを発表しました。
厚生労働省の審議会・予防接種・ワクチン分科会は2価ワクチンの接種時期を2022年10月以降に開始する方針を了承しました。
接種対象者は従来の新型コロナワクチンの1・2回目接種(初回接種)を完了した人全員とする方針です。2価ワクチンは薬事承認されれば2022年9月にも輸入が開始されます。
現在国内で蔓延しているBA5に対応した「BA.4/5対応型ワクチン」も開発中のようですが、BA.1対応2価ワクチンと比較すると輸入開始時期が遅れる見込みであることから、「まずはいち早く利用可能であるBA.1を2価ワクチンを選択すべきだ」とする見解がまとまったと報告しています。
2価ワクチンの有効性に関して
従来のワクチンを接種した時の抗体価と比較して、従来株+オミクロン株(BA.1)2価ワクチン(各30μg)を摂取した場合、BA1に対する中和抗体価は1.97倍、オミクロン株(BA.4/5)に対する中和抗体価の上昇に関しては「オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価の上昇より低い」と報告されています(一定の効果あり)
オミクロンか対応ワクチン(2価ワクチン)について(2022年8月8日、第34回厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会資料)
厚生労働省の検討会において、2価ワクチンの接種を優先して開始することが合意されましたが、一方で既存のワクチン(1価ワクチン)の接種を控える動きが生じることが懸念されるとも述べられていました。「オミクロン株対応2価ワクチンの接種を待つことによって、既存のワクチンの接種時期を後ろ倒しにするメリットはそれほどない」と述べ、今ある既存ワクチンを打つことも大事であるというメッセージを出す必要があると訴えています。
2022年に入ってからの、オミクロン株亜種の国内における変異推移は以下の通りです
2022年1月にオミクロン株BA.1の感染拡大が広まり、3月・4月頃からBA.2へ流行株がシフトしています。その後7月、8月からオミクロン株BA.5(黄色)が急激に感染拡大を広げていることがわかります。
世界で流行するオミクロン株亜種を見てみても、ほぼ同様で、2022年7月からBA.5系統株が感染拡大を広げています。
2022年7月に入り、新型コロナウイルス第七波「BA・5」の感染者数が急増してます。
国内外における新型コロナウイルスに関する情報・対応に関する情報を以下にまとめます。
濃厚接触者待機日数について
濃厚接触者の自宅待機期間:7日→5日に短縮されます。また、検査で陰性が確認された場合は最短で3日目での解除となります。感染者との接触から2日目、3日目の抗原定性検査キットにて陰性が確認されれば自宅待機が解除されます。
検査をしない場合は6日目から解除となります。
新型コロナ対応にあたる医療従事者などは濃厚接触者となっても、症状がない場合で毎日の業務前の検査で陰性閣員などを条件に勤務がみとめられています。
4回目のワクチン接種について
これまで60歳以上などに限定されていた4回目のワクチン接種に関して、2022年7月22日以降は18歳以上のすべての医療従事者や高齢者施設職員などにも対象が拡大してます。
5回目のワクチン接種について
オミクロン株に対応した改良型ワクチン(ファイザー社、モデルナ社が開発中)を、2022年秋に5回目のワクチン接種として行うことを想定し、準備する方針としています。
対象者は2回以上のワクチン接種を受けた高齢者などに絞って議論される見通しです。厚生労働相は「全ての人を対象に接種されることも想定している」と対象者の拡大に関しても検討していることを述べています。
4回目のワクチン接種に関しては、オミクロン株への効果が減弱すること、接種後の抗体価上昇期間が2カ月程度であることが報告されています。
(重症化リスク、感染リスクを低下することは報告されています)
コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種を認める
厚生労働省は、これまでコロナワクチン接種前後に「13日以上」の間隔をあけて、他のワクチン接種を行うよう規定していましたが、インフルエンザワクチンとコロナワクチンを同時接種しても、両ワクチンの有効性・安全性に問題はないという研究結果を踏まえ、インフルエンザワクチンに限って、上記規定を廃止し、2022年7月22日に
「新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンの同時に接種を認める」
方針を了承しました。
新形コロナウイルスがヒトに感染するためには、ヒトの細胞へ侵入する必要があります(人の細胞に侵入することを「感染」を呼びます)
ヒトの細胞に侵入するために、新型コロナウイルスの表面に「突起状の蛋白質」をヒトの細胞に付着させて感染してきます。
第四波で主流だった「アルファ株」には突起状蛋白質に1つの変異が加わることで感染が拡大しました。
第五波の「デルタ株」では2つの変異が加わったことで感染が拡大しました。
第六波の「オミクロン株BA・2」では4つの変異が加わったことで感染が拡大しました。
第七波の「オミクロン株BA・5」では上記の変異に加えて「L452R(452番目のロイシンがアルギニンに変わりました)」という変異が加わり、合計で5か所の変異を獲得し、感染を拡大しています。
BA・5に対する既存の飲み薬の効果について(in vitro)
BA・5に対する既存の飲み薬の効果について試験管内で有効性を確認した報告(東京大学医科学研究所ウイルス感染部門特任教授の河岡義裕氏ら)によると、
ベクルリー(レムデシビル)
ラゲブリオ(モルヌピラビル)
パキロビッドパック(ニルマトレルビル)
上記3剤はいずれも、増殖を効果的に抑制したと報告しています。
一方で、抗体医薬に関しては
ゼビュディ(ソトロビマブ):中和活性が低い(効きにくい)
ロナプリーブ(カシリビマブ・イムデビマブ):ある程度の中和活性が維持していた(ある程度効くが従来株への効果と比較すると、効果が大幅に下がる)
国内未承認薬(ベブテロビマブ、チキサゲビマブ・シルガビマブ):高い中和活性が示された(従来株と同等の効果あり)
以上のデータを2022年7月20日のNEJM誌電子版に公開しています。
世界各国の状況
下の図をご覧ください。
2022年3月~2022年7月20日までの、各国の新型コロナワクチン感染者数を示します。
2022年7月以降、日本だけで新型コロナウイルス感染者数が急増していることがわかります。
全世界的にみると、微増という状況にありながら、日本だけが感染者数のピークを越えて上昇中です。
データに関しては、日本国内の情報はリアルタイムでインターネットやTVで「感染者数○○人」と表示されるためつかみやすいのですが、海外の感染者数データでは3~5日前のデータとなることが多く、リアルタイムではBA5の感染が拡大している可能性があります。
日本に関して、1カ月前の時点で一番流行していた株は「BA2」でした。しかし、現在はご存じの取りBA5が猛威を振るっています。
同様のことが、世界各国でも起こりうつと考えられます。
以下が2022年のオミクロン株の流行株をデータ化したものです(東京都健康安全研究センターより)
唾液に含まれる成分が新型コロナウイルスの感染を抑える
大阪公立大学の研究チームは、唾液に含まれる成分に新型コロナウイルスの感染を抑える効果があることを報告しています。
新型コロナウイルスの外側を覆うスパイクタンパク質がヒトの細胞膜表面に存在する受容体へくっつき、ヒトの細胞内に新形コロナウイルスが入り込むことで「感染」となるわけですが、どうやら唾液に含まれる成分が、この「感染」を抑えるのに一役買っているようです。
試験管内の実験データです。
20~70代の健常者(7人)の唾液を採取し、0.25%~2%の各濃度に希釈します。
スパイクタンパク質とヒト細胞受容体(アンジオテンシン変換酵素2受容体)との結合を定量的に測定することができる条件下において、上記の濃度で希釈した唾液をふりかけて、どの程度結合を阻害できるかを調査しています。
結果は、唾液の濃度があがると、スパイクタンパク質とヒト受容体との結合を妨げることが示されました。
さらに、唾液の中の成分を調査したところ、好中球エラスダーゼとヒストンH2Aという2つの成分がスパイクタンパク質とヒト受容体tの結合を顕著に阻害することが判明しました。
ヒトのアンジオテンシン変換酵素2受容体は”マイナス”に帯電しており、新型コロナウイルスの表面のスパイクタンパク質は”プラス”に帯電しているため、引き付けられやすい状態にあります。それに加えて、ヒトのアンジオテンシン変換酵素2受容体とスパイクタンパク質は”鍵と鍵穴”の関係にあり、くっつくと離れにくい性質があります。
筆者らの考えによると、好中球エラスダーゼとヒストンH2Aはプラスに帯電しているタンパク質であるため、ヒトのアンジオテンシン変換酵素2受容体とくっつきやすい成分であるため、この2つの成分が先回りしてヒトのアンジオテンシン変換酵素2受容体とくっつくことで、感染を予防しているのではないかとまとめています。
「唾液の成分」が新型コロナウイルスからの感染を阻害する一役を担う
日本国内では2022年5月25日より新型コロナワクチンの4回目接種が開始されました。
ワクチン接種対象者は60歳以上の方と、18歳以上の基礎疾患のある方、BMIが30以上の肥満の方、重症化リスクが高い方と医師が認めた方となっています。
イスラエルでは4回目のワクチン接種が開始されて約半年が経過しました。半年間という短期間ではありますが、4回目ワクチン接種の有効性についてイスラエルにおけるデータを確認してみました。
以下はイスラエルにおける4回目ワクチン接種の有効性に関するデータです
被験者
3回目のワクチン接種から4カ月以上が経過した2万7876人に4回目のワクチンを接種した(平均年齢72.6歳)
比較対象:3回のワクチン接種をした方(4回目をうっていない):6万9623人(平均年齢:70.1歳)
2022年1月10日~3月31日までの期間で、被験者に対してPCR検査を実施し、コロナの陽性又は陰性を確認し、4回目のワクチン接種の有効性を検討しています。
参考としてワクチン接種を3回しか受けてない方のPCR陽性率はおよそ42.6%程度でした。
4回目のワクチン接種後に定期的にPCR検査が実施され、有効性について検討されました。
ワクチン接種後の各週の有効性として以下の計算式が用いられています。
有効性=100%×(1-オッズ比)
4回目のワクチン接種をおえてから
7~13日:有効性:577%
14~20日:有効性:65.1%
21~27日:有効性:64%
35~41日:有効性55%
42~48%:有効性:50.2%
49~55日後:有効性:42.5%
56~62日後:有効性33.4%
63~69日後:有効性:22%
ということで、4回目のワクチン接種を行うと、5カ月前に3回目のワクチン接種をおえた被験者と比較して、60~30%の有効性が確認されました。
しかし、4回接種の有効性の減退スピードは3回目および2回目よりも早いことが示されました。
結果として、4回目のワクチン接種をうった直後は、感染予防効果は上昇しますよ。しかし、その効果は2~3カ月程度で急速に低下していくことを留意してください。
上記は2022年初頭にイスラエルで行われた4回目ワクチン接種のデータです。有効性に関して、ワクチン接種から70日間という短期間のデータをまとめたものであり、それ以降の長期データについては、今後の報告を待ちたいと思います。
新型コロナウイルス感染症治療薬「ラゲブリオカプセル」について、プロモーション提携を行っているキョーリン製薬が市販後調査における副作用収集状況を公開しました。
キョーリン製薬は月に2回程度「市販調査における副作用収集状況」を同ホームページに公開しています。
2022年4月15日現在のデータを確認してみると2021年12月24日~2022年4月15日までの期間にラゲブリオカプセルを服用した患者数は約15万2750人とされており、そのうち副作用が報告されたのは1941例2825件(重篤(343件)・非重篤(2482件)の合計)です。
重篤事例の上位10件は以下の通りです
重篤 | |
COVID-19 | 42 |
死亡 | 32 |
有害事象 | 21 |
下痢 | 14 |
肺炎 | 13 |
COVID-19肺炎 | 12 |
悪心 | 10 |
状態悪化 | 10 |
酸素飽和度低下 | 9 |
誤嚥性肺炎 | 8 |
非重篤事例の上位10件は以下の通りです
非重篤 | |
下痢 | 484 |
発疹 | 228 |
悪心 | 205 |
蕁麻疹 | 145 |
浮動性めまい | 118 |
嘔吐 | 89 |
そう痒症 | 84 |
薬疹 | 76 |
頭痛 | 76 |
湿疹 | 63 |
薬害オンブズパースン会議が新形コロナウイルス治療薬「ラゲブリオカプセル」の使用を一時停止するよう厚生労働省に要望書を提出しました!
というニュースを目にしたのですが、大変恐縮ですが、私は「薬害オンブズパースン会議」を存じ上げず、よくわかりませんでした。調べてみると、薬害オンブズパースン会議とは薬害エイズ訴訟の弁護団等が民間の薬害防止を目的として立ち上げて組織のようです。定員数は20名で、月に1回定例会議や事務局会議を行い、政府や製薬企業に意見書を提出しているそうです。
それで今回は、新形コロナウイルス治療薬「ラゲブリオカプセル」の使用一時停止を要望した!ということなのですが、その要望書の内容を見てみました。
以下に概要を記します。
薬害オンブズパースン会議「ラゲブリオカプセル」の使用一時停止を厚生労働省に要望
・2021年12月24日に承認され2022年3月18日までに推定12万1940人に投与されている
・85日間で9名が死亡している
・一定の重症化を防止する効果が認められたものの、最終結果においては効果が減少している
・ラゲブリオカプセルが無効であった可能性も示されている
・フランスではラゲブリオカプセルの発注が取り消されたと報じられている
・米国では「ラゲブリオカプセルの認可が時期尚早であった」と論説が掲載されている
といった感じで「ラゲブリオカプセル」を使用したことによる「薬害」部分をピックアップして要望書をPDFファイルに作成しています。
特に、薬害オンブズパースン会議の一番の主張ポイントは「発売後85日間で9名が死亡」という部分です。
12万1940人が使用して9名が死亡している実情をうけて、ラゲブリオカプセルを使用すると1万3549人に1人が死亡しており、死亡した患者の詳細が一切発表されていないことにクレームを入れています。(死亡リスク0.0074%)
一方でラゲブリオカプセルの添付文書には臨床データとして以下の内容が記されています。
服用29日目間での入院または死亡リスクについて
ラゲブリオカプセル服用群:7.3%(28/385例)
プラセボ服用群:14.1%(53/377例)
つまり、ラゲブリオカプセルを服用したとしても、1カ月後に完治できずに入院または死亡するリスクは7.3%ありますよ。ただし、ラゲブリオカプセルを飲まなかった場合の1カ月後のリスクは14.1%なので、飲まないよりは飲んだほうが1カ月後の予後が良い結果がえられていますよ。というデータです。
薬害と捉えて主張することは権利としてありますので、1万3549人が服用して1人が死亡するリスク(0.0074%)を大々的に主張する権利はあると思いますが、それを主張するのであれば、服用することで1カ月後に快方に向かう方がいるという事実も同時に扱うべきかなと私は個人的に感じます。
2022年3月に入り、5歳~11歳の小児に対する新型コロナワクチン接種券の配布が開始されました。
ワクチンを接種するかしないかに関しては、親御さんが判断されるケースが多いかと思います。一般的に、成人と比較して小児は新形コロナウイルスに感染しても軽症であることが多いわけですが、小児多系統炎症症候群や重症化・長期合併症が起こるケースも報告されています。また学童期の子供では学校内におおける他者への感染リスクも多数報告されています。ワクチン接種をうけることで生じる副反応が気になる親御さんも多数おられるかと思います。
子供にワクチン接種をする場合、上記のような要素を総合的に勘案して、ワクチン接種をするか、しないかを考える必要があります。
以下に臨床試験としてファイザー社のワクチン接種を受けた5歳~11歳の小児とプラセボを摂取した小児との比較データを示します。
2021年6月7日~6月19日
米国・スペイン・フィンランド・ポーランドにある81施設にて
ファイザー社の新型コロナワクチン10㎍を接種した群:1517人
プラセボ(生理食塩水)を接種した群:751人
5歳~11歳の小児が上記の割合でファイザー社のワクチンまたはプラセボの1回目を接種し、3週間後に2回目の接種を行いました。2回目の接種後、すくなくとも2カ月間はフォローアップ期間として安全性に関するデータが収集されました。
性別比:男児52%:女児48%
アジア人比率:5.9%
平均年齢:8.2歳
接種後の副反応に関しては、ファイザー社のワクチン接種群がプラセボ群に比して、局所反応・全身事象共に多くの報告例がありました。報告された副反応は一般的に軽度から中等度です。接種後1~2日間持続するケースが多いと報告されています。
ファイザー社のワクチン接種に関しては、1回目よりも2回目投与の方が全身性の副反応が多く報告されていることがポイントです。
接種後の発熱に関しては、ファイザー社のワクチン接種者の8.3%に確認されており、初回投与後よりも2回目投与後の方が解熱剤を使用した人数が多かったと記されています。
1回目・2回目の副反応率は以下の通りです。
注射接種部位の疼痛
ファイザーワクチン接種群:71~74%
プラセボ群:29~31%
倦怠感
ファイザーワクチン接種群:34~39%
プラセボ群:24~31%
頭痛
ファイザーワクチン接種群:22~28%
プラセボ群:19~24%
寒気
ファイザーワクチン接種群:5~10%
プラセボ群:4~5%
筋肉痛
ファイザーワクチン接種群:9~12%
プラセボ群:7%
発熱
ファイザーワクチン接種群:3~7%
プラセボ群:1%
警視庁が馬場香嶺堂薬局の薬剤師を書類送検した。未承認薬(清肺排毒湯・双黄連内服)を販売したなどの疑いです。
馬場香嶺堂薬局は、ワンコイン漢方でしられた老舗。新型コロナに効果があるとの中国当局の発表をうけて、ネットの情報を基に調合したりもしていた。
2021年に日本で未承認の漢方薬について「中国が新型コロナウイルスに効果があると発表した」などとうたった広告を掲載し、客に販売するなどの疑いで書類送検された。男は自ら調合し漢方薬を作っていたが、生薬の含有比率を減らすなどの粗悪品でカビや細菌が検出されたという。
2021年1月から9月にかけて800万円以上の売り上げがあったと言われています。店主は調べに対して「金儲けではなく人助けである」と語っています。
パキロビッドパックを調剤するにあたり、2022年2月14日付けで日本薬剤師会から注意喚起が出ておりましたので以下に記します。
「パキロビッドパック」(有効成分:ニルマトレルビル、リトナビル)は、SARS-CoV-2感染症に用いる薬剤として、2月10日に特例承認されたところです。国からの通知を含め、パキロビッドパックの使用に関しては、「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬(パキロビッド®パック)の医療機関及び薬局への配分について」(事務連絡令和4年2月10日)としても通知しておりますが、本剤の調剤に際しては、下記の点にご留意いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。なお、本剤には併用禁忌及び併用注意の薬剤が多数あることから、現在使用中の他の薬剤との相互作用が予想されます。このため本会では、本剤を取り扱う薬局は、医師に対して、より適切な薬剤への代替や休薬等に関する情報の提供等が必要となる場面もあると認識しています。会務ご多用のところ恐縮ながら、本剤の調剤・備蓄等に関与する貴会会員にご周知下さるようお願い申し上げます。
上記通知に含まれる厚労省の通知や、添付文書等の記載事項を十分考慮すること。また、特に以下の点に留意すること。
➢併用禁忌及び併用注意の薬剤が多数あることから、調剤時には、患者本人への聞き取りのほか、必要に応じ、当該患者のかかりつけ薬剤師・薬局や過去に利用した薬局等と連携するなどし、服薬中のすべての薬剤を確認するよう十分に注意すること。
➢現在使用中の他の薬剤との相互作用が予想される場合には、より適切な薬剤への代替や休薬等に関する情報の医師への提供等について検討すること。
➢重度の腎機能障害のある患者への投与は推奨されていない。
➢中等度の腎機能障害患者では、朝及び夕方の服用分それぞれから、ニルマトレルビル錠2錠のうち1錠を取り除き、取り除いた箇所に専用のシールを貼り付けて交付すること。➢SARS-CoV-2感染症の症状が発現してから速やかに投与を開始すること。
➢5日間服用すること(勝手に中断・中止しないこと)
ファイザー社が開発した新型コロナウイルス感染症経口治療薬「パキロビッドパック」が医薬品として承認されました。
2022年2月14日以降、試験運用期間として新型コロナ病床確保医療機関である2000施設と、要件を満たした一部の地域の薬局(パキロビッド対応薬局)でのみ処方・調剤が可能としてます。
(パキロビッド対応薬局:夜間・休日・時間外・緊急時に対応できる、新型コロナ病床確保医療機関と緊密な連携がとれる薬局)
2022年2月14日時点では安定供給が難しいことから一般流通は行わず、厚生労働省が在庫を確保し、医療機関および薬局からの依頼に基づき配分・無償提供する予定としています。
試験運用期間は2022年2月27日までとしており、その間にパキロビッド錠を処方できる医療機関・調剤できる薬局を限定して、実績を積み上げ、課題を洗い出す方針としています。
2022年2月28日以降に配分対象となる医療機関を拡大する予定としており、「別途おしらせいたします。」と記載されています。
パキロビッド対応薬局となるためにはファイザーが開設する「パキロビッド登録センター」へ登録し、配分を依頼することとなります。速やかに患者に対応するため、パキロビッドは一定数の在庫配置を認めています。(納期は原則として発注後1~2日程度(日曜祝日を除く))
パキロビッド登録センターへの登録が済んだ対象期間は、承認直後の試験運用期間においては、都道府県から共有されるパキロビッド対象期間リストで確認することができます。当面の間は製造販売業者から都道府県にも週3回(月水金)メールで共有することと記載されています。
ファイザー社が開発した新型コロナウイルス感染症経口治療薬「パキロビッドパック」が2022年2月11日、厚生労働省の食品衛生審議会医薬品第二部会で特例承認を了承されました。
商品名:パキロビッドパック
成人および12歳以上かつ体重40kg以上の小児に対して、1回にニルマトレルビルとして1回300mg(150mgを2錠)とリトナビルとして100mgを1錠を同時に服用する。1日2回5日間のみきり
併用禁忌薬(先発医薬品名を記載)
フルカム、バキソ、フェルデン、レルパックス、カルブロック、レザルタス配合錠、アンカロン、ベプリコール、タンボコール、プロノン、キニジン、イグザレルト、ミコブティン、ロナセン、ラツーダ、ピモジド、クリアミン、パルタン、アドシルカ、レビトラ、ジャックスタピッド
併用により上記薬剤の血中濃度が大幅に上昇すること予想されるため併用禁忌
ベネクレクスタ
併用によりベネクレクスタの代謝を競合的に阻害するため併用禁忌
セルシン、ホリゾン、メンドン、ユーロジン、ダルメート、ハルシオン、ドルミカム、ミダフレッサ
併用により上記薬剤の血中濃度が大幅に上昇することが予想されるため
アデムパス
併用によりアデムパスの代謝が阻害され、血中濃度が上昇するため
ブイフェンド
併用によりブイフェンドの血中濃度が低下する報告があるため
アーリーダ
併用によりアーリーダの血中濃度が上昇し副作用が増強されるため
テグレトール
併用によりテグレトールの血中濃度が上昇するおそれがるため。またパキロビッドパックの血中濃度が減少することで抗ウイルス作用が消失・耐性出現のおそれがあるため。
フェノバール、ヒダントール、アレビアチン、ホストイン、リファンピシン、セイヨウオトギリソウ
パキロビッドパックの血中濃度が減少することで抗ウイルス作用が消失・耐性出現のおそれがあるため。
ということで、パキロビッド錠には併用禁忌薬がたくさん記載されていますので、処方された際は併用薬のチェックが必須と言えます。
以下にパキロビッドパックの薬理作用(効き目)を記します。
パキロビッド錠の薬理作用は?
パキロビッドは3CLプロテアーゼ阻害剤という作用により、新型コロナウイルスの増殖を抑える効果を示します。
3CLプロテアーゼとは2002~2003年に流行したSARSから発見されたタンパク分解酵素です。同じような酵素が新型コロナウイルスにも含まれており、パキロビッドはその働きを阻害することで新型コロナウイルスの増殖を抑えます。
3CLプロテアーゼとは、新型コロナウイルスの増殖やヒトの細胞内への侵入に必用となるタンパク質を”正しく切り出すためのハサミ”のような働きをするタンパク質です。
イメージとしては、ヒト細胞に感染した新型コロナウイルスは自身の一本鎖RNAをひな形として長いタンパク質(ポリタンパク質)を翻訳します。この工程により作られた1本のポリタンパク質は”長くつながったアミノ酸の紐がグチャグチャに置かれているだけ”であるため、とりたてて何か悪さをすることはありません。しかし、3CLプロテアーゼによって、ポリタンパク質が”適切に”切断されと、各断片のタンパク質が新型コロナウイルスの増殖に必要な酵素やタンパク質として働き始めるのです。
つまり、3CLプロテアーゼとは”意味を持たないアミノ酸の紐(ポリタンパク質)”から”新型コロナウイルスの製造工場”を作り出す画期的なハサミのような働きをもつ酵素なのです。
パキロビッド錠は3CLプロテアーゼの働きを阻害しますので、新型コロナウイルスの増殖が抑えられるというわけです。
ファイザー社は、新規新型コロナウイルス治療薬として内服薬”PAXLOVID”の治験データを開示しました。
治験データは、新型コロナウイルスに感染した患者に対して、PAXLOVIDまたはプラセボを1日2回(12時間おき)に5日間経口投与した後の予後を報告しています。
新型コロナウイルスに感染して3日以内に治療を開始したデータ
新型コロナウイルスに感染に感染後、3日以内にPAXLOVIDまたはプラセボを5日間飲み切り、その後28日以内の予後をフォローしたデータによると、
PAXLOVID服用群
入院した患者:0.8%(3人/389人)
死亡者:0人
プラセボ服用群
入院した患者:7%(27人/385人)
死亡者:7人(入院した27人のうち7人が死亡)
新型コロナウイルスに感染して5日以内に治療を開始したデータ
PAXLOVID服用群
入院した患者:1.0%(6人/607人)
死亡者:0人
プラセボ服用群
入院した患者:6.7%(41人/612人)
死亡者:10人(入院した41人のうち10人が死亡)
上記のデータより、新型コロナウイルスに感染後にPAXLOVIDを服用することで入院または死亡するリスクが89%減少させられることを報告しています。このデータをもとに、ファイザー社は米国食品医薬品局(FDA)に対して緊急使用許可の承認に向けて早急に承認申請を提出することを同ホームページに報告しています。
ファイザー社「経口新型コロナウイルス治療薬」が入院または死亡リスク89%減少
日本国内における情報です。
ワクチン接種を2回行った医師82名を対象として、採血を行いオミクロン株やデルタ株などに対する中和抗体価を測定したところ
接種後2カ月時点で全体の28%が中和抗体をもっていた。
接種後7カ月時点では全体の6%が中和抗体をもっていた。
しかし、オミクロン株に対する中和抗体を保有している人の割合は非常に低かったというデータを示しました。
その後、3回目のワクチン接種を82人全員が行いました。その結果、オミクロン株に対する中和抗体を獲得し、抗体価が30以上に上昇したことが確認されました。また、3回目のワクチン接種は高齢者でも中和抗体価を大きく上昇させることが示され、年齢を問わず有効であることをが確認されました。
副反応に関しては、1回目2回目の接種時よりも3回目の方が発熱・倦怠感・接種部位痛などの副反応が増加する傾向が報告されました。
2022年2月3日、オミクロン株の感染者の家族(濃厚接触者)について、後藤大臣は
「常に接触のある家庭内で感染者の発症日、または感染対策を講じた日のいずれか遅い方をゼロ日目として、7日目まで発症しない場合は濃厚接触者としての待機期間を終了する取り扱いにいたしたい」
新たな方針では、感染者と同居する家族の濃厚接触者は感染者が発症した日か家庭内でマスクの着用など感染対策を取った日のいずれかの遅い方から7日目までに発症しなければ待機を終了できます。
これまで最長17日間の待機指示が出ていたのですが、国立感染研究所が2022年2月1日に感染者の発症から8日目以降に濃厚接触者が発症する割合が0.02%という分析結果を公表したことをうけて、待期期間が17日間から7日間へ見直されました。
新形コロナウイルス感染後に後遺症を引きずらないための対策について
オミクロン株の出現によって新形コロナウイルスが国内に急速に広がりを見せています。症状は比較的軽症の方が多いようですが、感染直後の自覚症状は軽症であったとしても、新型コロナ感染後の後遺症については、十分な注意が必要です。
香港の大学で新型コロナウイルス感染後の後遺症に関する研究成果が2022年1月26日に公開されました。
新型コロナウイルスに感染後の腸内細菌叢の構成を確認したデータによると、感染前と比較して腸内細菌叢が回復しており、豊かさおよび多様性がよいほど、新型コロナウイルス感染後の後遺症は低いことが示されました。
具体的なデータを下記します。
新形コロナウイルス感染から回復し、6カ月が経過した段階において、3/4被験者が疲労・筋力低下・睡眠障害などの後遺症に関する副作用を報告しています。新型コロナウイルス感染後の後遺症に関しては、陰性が確認されてから4週間後の時点で少なくとも上記のような症状が1つでも持続している症状として定義されています。
腸内細菌叢と新型コロナウイルス感染後の後遺症の症例報告の内容としては、新形コロナウイルスが流行する前の2019年9月~11月に大腸内視鏡検査前に便検体を採取された被験者のうち、2020年2月1日以降に新形コロナウイルスに感染した106名と、感染していない68例(対照群)とに分類し、新型コロナ感染後の後遺症と腸内細菌叢の変化を報告しています。
新型コロナ感染患者群は入院時および退院1カ月後、6か月後に便検体が採取されています。
新型コロナウイルス感染の重傷度合いは81%が軽症~中等度であり、発症後6カ月時点で76.4%(81例)で新型コロナウイルス後遺症が報告されました。後遺症のうち報告例が多い症状としは疲労感(31.3%)、記憶力低下(28.3%)、脱毛(21.7%)、不安(20.8%)、睡眠障害(20.8%)などがありました。
新型コロナ感染後後遺症を発症しなかった群に関しては、6カ月時点における腸内細菌叢の構成が対照群と同程度まで回復していたのに対して、新型コロナ感染後後遺症を発症していた群では、6か月後の腸内細菌叢の多様性と豊かさが対照群と比較して有意に低い結果となりました。
筆者らは腸内細菌叢の豊かさ、多様性をあげることが新型コロナ感染後後遺症からの回復を促進させるかどうかについては更なる研究が必要であると述べています。
日本国内で新型コロナウイルス感染が猛威を振るっています。比較的軽症であった場合でも、回復後に意識的に発酵食品を摂取し続けることを私は推奨します。「腸内細菌叢の豊かさ、多様性」という点がポイントとなりますので、たとえば「値段の高いヨーグルト1種類」を食べ続けることは、この場合の答えではなくて、「様々な種類のヨーグルト・味噌・漬物・納豆・チーズ」などの食品を意識的に摂り続けることがこの場合の答えのように私は考えます。
新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分について
厚生労働省が2022年1月21日に最終改正版を公開しました。
その中の追記文章として
無症状の患者には使用できるのか。
無症状の患者は臨床試験に組み入れられておらず、有効性及び安全性が確認されていないため、対象としておりません。
という質疑応答文章が追加されました。
新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分(1/21改正版)
新形コロナウイルス感染症治療薬「ラゲブリオ200mg(モルヌピラビル)」の調剤薬局での取り扱いについて
厚生労働省は2021年12月24日、新形コロナウイルス感染症の飲み薬「ラゲブリオ200mg(モルヌピラビル)」の特例承認を了承しました。軽症者にしようできる飲み薬です。政府は160回分を確保しており、20万回分の配送を始めています。
注)ラゲブリオ200mg:軽症・中等症を対象とした臨床試験にて入院・死亡リスクを30%下げる効果が期待されます。
注)ラゲブリオ200mg:1ボトルに40カプセルが入っており、1日2回1回4カプセル、5日間内服
厚生労働省はラゲブリオを院外処方する際は、医療機関は患者さんに帰宅を指示し、原則としてラゲブリオの調剤に対応する地域の「対応薬局」が患者の居所に配送または持参するよう周知しました。
以下に関連するサイトを掲示します。
「2021/12/24:新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分について 」
「2021/11/9:薬局における新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の配分に係る医薬品提供体制の整備について 」
「対応薬局」とは
【院外処方(外来診療を行う医療機関、往診)】
医療機関の院外処方に基づき、対応薬局から本剤を患者の居宅や療養先に提供する。
①あらかじめ、薬局がラゲブリオ登録センターへの対応機関登録を行う。
②対応薬局は、患者の発生に備えてあらかじめ一定数の在庫を発注しておく。
③配送に協力する配送業者から対応薬局に本剤が納品される(原則、発注後1~2日程度(日曜祝日を除く))。
④投与対象となりうる患者が発生した際、医療機関において、処方箋とともに適格性情報や同意書取得等についてのチェックリスト(様式参照)を患者が希望する対応薬局(※)にファクシミリ等で送付する。このとき、処方箋送付先の対応薬局には事前に電話等で一報することが望ましい。(開局時間外の場合は確実に電話等で一報すること)。処方箋原本とチェックリスト原本は、ファクシミリ等で送付した薬局に送付する。
※医療機関は、地域の在庫を保持する対応薬局のリストを患者に示すことにより、患者が希望する対応薬局を確認する。投与対象となりうる患者が受診した医療機関が、患者に対し本剤を投与する対応薬局を迅速に紹介できるよう、在庫を保持する対応薬局のリストは MSD 株式会社のホームページ「MSDConnect(医療関係者向けサイト)」(https://www.msdconnect.jp/)に掲載することとしている。
⑤処方箋及びチェックリストを受け取った対応薬局は、必要な調剤、服薬指導等を実施し、チェックリストの内容に基づき、ラゲブリオ登録センターの指示に従って当該患者の投与実績を入力し、在庫から本剤の提供を行う。その際、自宅療養や宿泊療養の患者が来所しなくても済むよう、患者の居所に本剤を配送又は持参することを原則とする。
⑥以降、必要に応じて②~⑤を適宜行う。
⑦ 本剤の対応薬局間譲渡については、患者に投与するまでは本剤の所有権が国に所属しており、国がその所在を確認できる必要があることから、本剤の流通を委託している製造販売業者において対応が可能となった時点で改めてお知らせします。
ラゲブリオ200mgを在庫する薬局に関するQ&Aは以下の通りです
Q.3 「ラゲブリオ」の配分を依頼する際、薬局における在庫は認められるのか。
ただちに本剤を投与する必要がある患者が発生した場合に確実に対応できるよう、11 月 9 日事務連絡に基づいて都道府県がリストアップした対応薬局(以下、対応薬局という。)に対し、予め一定数の在庫の配置を認めています。
本剤の供給量に限りもあることから、新型コロナウイルス感染症患者への提供に備えた過度な在庫や、必要以上の配分依頼は控えていただくよう配慮の程よろしくお願いいたします
「ラゲブリオカプセル200mg」を薬局で調剤する場合
ラゲブリオカプセル200mgに関する疑義解釈が公開されていましたので添付します。
問1 公的な管理の下で各医療機関に無償で提供されたラゲブリオカプセル200 mg(成分名:モルヌピラビル)は、保険診療との併用が可能か。
(答)当該医薬品の投与に係る薬剤料に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収しない場合については、当該医薬品が既に薬事承認(特例承認)を受けていることから、時限的・特例的な対応として、承認後、保険適用前の医薬品の投与と類似するものとして評価療養に該当するものとする。
問1 ラゲブリオカプセル 200 mg(成分名:モルヌピラビル)(以下「本剤」という。)については、「疑義解釈資料の送付について(その 87)」(令和3年 12 月 24 日厚生労働省保険局医療課事務連絡)において、「時限的・特例的な対応として、承認後、保険適用前の医薬品の投与と類似するものとして評価療養に該当するものとする」こととされたが、評価療養として本剤の投与を行う薬局について、どのように考えればよいか。
(答)「薬局における新型コロナウイルス感染症の経口治療薬の配分に係る医薬品提供体制の整備について」(令和3年 11 月9日厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部・医薬・生活衛生局総務課事務連絡)に定める対応薬局として、各都道府県において取りまとめられたリストに掲載されている薬局において行われる本剤の投与については、評価療養に該当する。
ということで、調剤薬局にて「ラゲブリオカプセル200mg」を調剤する場合は、対応薬局として登録した後、評価療養扱いとして他の薬と一緒に保険調剤することが可能と解釈します。
評価療養とは
保険適用外の診療を受ける場合において、厚生労働大臣の定める「評価療養」と「選定療養」については保険診療との併用が認められています。
評価療養・選定療養は特別料金として全額自己負担となりますが、通常の治療と共通する基礎的部分(診療・検査・投薬・入院料金)の費用は「保険外併用療養費」として保険給付が行われ、窓口にて一部負担金を支払う対応となります。
注意)ラゲブリオカプセル200mgに関しては「薬剤料に相当する療養部分についてその費用を患者から徴収しない」としています。
評価療養の例
・高度医療を含む先進医療
・医薬品の治験に係る診療・費用
・薬事法承認後で保険収載前の医薬品の使用(ラゲブリオが該当します)
・適応外の医薬品の使用
選定療養(保険導入を前提としないもの)
・制限回数を超える医療行為
・大病院の初診
・時間外診療
・特別の療養環境(差額ベッド)
・180日以上の入院
ラゲブリオカプセル200mgを購入(配布を受ける)する方法
ラゲブリオカプセルを備蓄する方法は、ラゲブリオ登録センター(MSD Connect)を開き「初めての方はこちら」から、各種「同意文章」にサインをして施設情報・管理薬剤師などの登録を行い「ユーザー登録を完了」することから始まります。
詳しくは「ラゲブリオ登録センター」をインターネット検索してみてください。
MSDのホームページから以下のような文言が確認できますので「こちら」をクリックしてください。
厚生労働省は2021年12月に新型コロナウイルス感染後の後遺症に関する医療者向けの手引きを「暫定版」として公表しました。
新型コロナウイルス感染後の後遺症に関する手引き(厚生労働省)
WHOは新型コロナウイルス感染後の症状(以下、後遺症)を以下のように定義しています。
新型コロナウイルス感染後に見られ、少なくとも2カ月以上持続し、他の疾患による症状として説明が使いないもの。通常は新型コロナウイルス感染から3カ月たった時点にも見られる。
症状には「倦怠感、息切れ、思考力や記憶への影響があり、日常生活に影響することもある」
としてます。
このような症状は3カ月ほどで約2/3は回復しますが、不安が募るとさらに持続・悪化することがあると厚生労働省は記載しています。
新型コロナウイルス感染から回復後1カ月を経過した患者のうち72.5%は何らかの後遺症症状を訴えており、最も多いのは倦怠感(40%)、次いで息切れ(36%)、嗅覚障害(24%)、不安(22%)、咳(17%)、味覚障害(16%)、抑うつ(15%)という順になっています。
呼吸器系症状
息苦しさや咳、痰が多い。呼吸器不全を伴うことも、伴わないこともある。息苦しさが新たに出現した場合、突然生じた場合、悪化傾向がある場合は早期に治療を要する場合もある。
循環器症状
労作時息切れ、起坐呼吸、胸痛、動悸、倦怠感、手足がむくむ、手足がつめたい、夜間発作性呼吸困難、夜間頻尿、かがみこむと苦しい、失神といった自覚症状があれば早期治療
嗅覚・味覚症状
嗅覚障害が1カ月以上の長期に及ぶ症例では画像診断でも、内視鏡診断でも異常所見を認めないことがおおい。また異嗅症を訴えることもおおい。嗅覚障害の様態が感冒後嗅覚障害と類似しているため嗅神経性嗅覚障害となっているものと思われる。
味覚障害:多くは嗅覚障害による風味障害を発生していると思われる
そのた、精神神経系、身体の痛み、小児へのアプローチ、後遺症に対するリハビリテーションといった内容も盛り込まれています。
厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」を公開しあmした。2021年12月1日より新型コロナワクチン3回目接種が開始されます。
「2回目接種から原則8カ月以上経過したものに対して1回行うこと」
としてます。追加接種につて、2回目接種までの時期が早かった医療従事者などから順次開始されます。追加接種に使用できるワクチンは「ファイザー社(コミナティ)」のみです。
対象者は18歳以上です。新様式の接種券一体型予診票を使用することとなります。
新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する医療機関向け手引き(5.0 版)
2021年11月時点で、日本国内では新型コロナワクチンの12歳以上の方への接種が行われており、新型コロナワクチンを製造開発しているファイザー社は2021年10月末に5~11歳の小児に対するワクチン接種の承認申請を厚生労働省に提出しました。これが認可されると5歳以上の方への新型コロナワクチン予防接種が可能となります。
小児への接種に関しては親御さんが「子供がワクチンを打つか打たないか」を判断するケースが多いと思います。
小児に対してワクチンを打つことのメリットとリスクについて報告されている内容を記します。
小児・妊婦・免疫不全患者・新型コロナ感染者へのワクチン接種の有効性と安全性
メリット
・予防接種により新型コロナ感染リスクが9割抑えられる
・社会の集団免疫獲得への寄与
・新型コロナ感染後の重症化するリスクが減る
リスク
・12歳以上の接種者と同様に、腕の痛み・頭痛・発熱・疲労感の副反応が生じる可能性がある
・高齢者と比較して接種後の発熱頻度が高い
・成人と比較して、小児は新型コロナ感染後の入院・重症化リスクがもともと低いため、予防接種の防御効果が成人と比較すると低い
・小児への長期安全性データが非常に低い
リスクに関して、とりわけ注意を払う点があるとすると「心筋炎/心膜炎」のリスクについてです。
特に青年期の男性における「心筋炎/心膜炎」の発症リスクが高いことが報告されておりますので、このあたりを考慮に入れつつ、ワクチン接種を行うかどうかを検討することとなります。
100万回あたりの心筋炎関連発生件数(男性の場合)
10~19歳:7例
20~29歳:20例
30~39歳:8例
40~49歳:8例
50~59歳:5例
60~69歳:15例
70~79歳:16例
80歳以上:8例
100万回あたりの心筋炎関連発生件数(女性の場合)
10~19歳:4例
20~29歳:3例
30~39歳:6例
40~49歳:6例
50~59歳:11例
60~69歳:10例
70~79歳:10例
80歳以上:15例
厚生労働省は2021年11月11日、ファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」の3回目追加接種の用法・用量追加を特例承認しました。
今後の予定としては2021年11月15日に開催される厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会にて、コミナティ筋注の3回目の取り扱いについてルールが作られることになります。
(接種対象者の順番や2回目接種から3回目接種の間隔など)
コミナティ筋注の添付文書には3回目の追加接種の対象者は18歳以上の者とされており、2回目の接種から少なくとも6か月間経過した後に3回目の接種を行うことができるとしています。
1回目・2回目をモデルナ製のワクチンを接種した方が3回目の接種にコミナティ筋注を使用することに関しては、以下の記載がなされています。
「初回免疫として他のSARS-CoV-2ワクチンを接種した者に追加免疫として本剤を接種した臨床試験は実施していない」
2021年11月5月にイギリスが経口の新型コロナウイルス治療薬「モルヌピラビル」を世界で初めて承認しましたが、モルヌピラビルの薬理作用は日本国内で使用されている「アビガン錠」と同類薬で、新型コロナウイルスの製造過程でシチジンまたはウリジンと入れ替わることで増殖を抑制する作用ですので、PAXLOVIDとは薬理作用が異なります。
薬理作用が異なる新型コロナウイルス治療薬(内服薬)が、同時期に開発されているということは非常に耐性化を遅延させる・抑制するために非常に有益と考えます。
米製薬会社ファイザーは新型コロナウイルスワクチンの5歳~11歳への接種について、日本での承認申請に向けて政府と協議を進めていることが10月27日明らかとなりました。
→2021年11月10日、ファイザー社は5~11歳の小児に対する新型コロナウイルス感染症ワクチンについて、日本での承認申請したことを発表しました。
厚生労働省は迅速に承認可否を審査する方針です。(米国FDAは予防接種を許可することを支持している意見をまとめています)
11歳以下へのワクチン接種に関しては、12歳以上の接種量の1/3量を投与する臨床データを公開しており、予防接種により新型コロナ感染リスクが9割抑えられたと報告されています。
副作用に関しては、12歳以上の接種者と同様に、腕の痛み・頭痛・発熱・疲労感などが報告されています。
以下に5~11歳の小児に対する予防接種データを開示します。
ファイザー社は5歳~11歳の小児に関するワクチン接種臨床データを公開しました。
5歳~11歳の約2268人を対象として、通常の1/3量(10μg)のワクチンを21日間あけて2回接種した結果、2回目の接種から1カ月後の中和抗体の値が、16~25歳のグループと同程度に増加していたことが確認されました。
副反応に関しても、おおむね同等としています。(中和抗体の幾何平均力価:1197.6)
(投与量に関して、11歳が10μg、12歳が30μgと年齢が1歳上がるだけで3倍にUPすることになりますが、このあたりの用量設定に関してはスルーでした。)
ファイザー社は米FDAに5~11歳の臨床データを提出し、接種対象の拡大を申請する予定としています。またヨーロッパ連合をはじめ、各国もデータを共有するとしています。
5歳未満の小児にかんしては、ワクチン接種量3μgでの治験が行われており、2~5歳の小児と、6カ月~2歳の小児の臨床データは2021年10月以降にデータが開示される予定としています。
ファイザー社が5~11歳の小児に関してコロナワクチンの臨床データを公開
米国ファイザー社は、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種の効果についてデータを公開しました。
被験者:1万人以上(年齢中央値:53歳)
すでにファイザー社ワクチンを2回接種済みの1万人(16歳以上)を対象として、2回目接種料と同じ量(30μg)を接種した場合とプラセボを接種した場合とを比較したデータです。2回目投与から3回目投与までの期間の中央値は11カ月としています。
3回目接種から7日後以降において、新型コロナウイルスへの感染有無を確認したデータです。(中央値2.5カ月)
結果
新形コロナウイルス感染人数
プラセボ群;109例
3回目接種群:5例
相対ワクチン有効率:95.6%
米国メルク社が2021年10月11日、新型コロナウイルスの飲み薬「モルヌピラビル」を開発し、米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請したことを発表しました。
そこで、「モルヌピラビル」がどのような作用によって、コロナウイルス感染に効果を発揮するか、その作用機序を調べてみました。
新形コロナウイルスはヒトの細胞に入り込んだあと、RNA(自分を複製するための設計図)を複製するためは4種類の材料(A:アデノシン、G:グアノシン、C:シチジン、U:ウリジン)が必要となります。これらの材料はヒトの体内に非常にたくさん存在していますので、新形コロナウイルスの立場からすると使いたい放題です。
新形コロナウイルスに感染した方がモルヌピラビルを飲むと、体内に吸収されたモルヌピラビルがβ-d-N4-ヒドロキシシチジンという物質に変化します(代謝されます)。新型コロナウイルスはRNAを複製する際に、シチジンまたはウリジンが必要なわけですが、なんと、新型コロナウイルスは体内のシチジンまたはウリジンの代わりに「β-d-N4-ヒドロキシシチジン」を使用して自身のRNAを複製し始めます。
するとどうでしょう、β-d-N4-ヒドロキシシチジンが組み込まれたRNAから新型コロナウイルスを作り出そうとしても大量の変異(おかしな部分)が出来上がってしまい、新型コロナウイルスの形態を構築することができず新形コロナウイルスを作り出すことができなくなります。
私のイメージですが、おかしな設計図(β-d-N4-ヒドロキシシチジン含有RNA)からは穴ぼこだらけで丸い形も形成できないボロボロの新型コロナウイルスしか構築することができず、作られてすぐに死んでしまう状態です。そもそも生きられない状態で作り出された状態といってもいいかもしれません。
これがモルヌピラビルカプセルの薬理作用(抗ウイルス作用)です。
まずは米国で発売開始となるかどうか、その後日本をふくめ全世界で使用許可がおりるかどうか、その間に耐性菌が発生しないかどうかなど、注視する点がたくさんありそうです。
2021年10月12日、アストラゼネカが開発している新型コロナウイルス感染症治療薬の一般名がシルガビマブ(遺伝子組換え)/チキサゲビマブ(遺伝子組換え)と決定しました。2種類のヒトモノクロナール抗体を配合したカクテル抗体製剤と思われます。
ファイザー社のワクチンについて、デルタ株への有効率と時間経過について
新形コロナウイルス感染症に対するファイザー社のワクチンの有効性と時間経過についての報告がありました。
完全投与後6カ月までの全年齢の有効性は93%であり、時間経過とともに低下することが示されました。デルタ株に対しては完全接種1カ月間は93%であるものの、4カ月後には有効性が53%に低下していたことが示されました。(343万6957例を対象に調査されました)
尚、完全投与後6カ月までのデルタ株感染で入院する割合については、ワクチン接種を行うことで93%の有効率があることも示されています。
新形コロナウイルスに対するファイザー社のワクチンの有効性・経時的変化(後ろ向きコホート研究)
さらに、イスラエルでの報告によると、ファイザー社のワクチンを2回接種完了した被験者について6か月後の抗体価低下の関連因子について報告がなされました。
平均的な抗体価と比較して
男性は抗体価が低下する割合が高い(平均:男性=100%:64%)
65歳以上の方は18~45歳未満の方と比較すると抗体価が低下する割合が高い
(18~45歳:65歳=100%:58%)
免疫抑制薬使用者では抗体価が低下しやすい
(非使用者:免疫抑制薬使用者=100%:30%)
BMI30%肥満者では抗体価が高くなることも報告されています。
BMI30%以上:BMI30%未満=131%:」100%
また、IgG抗体(体内で長期間免疫応答として活躍する抗体)と中和抗体価には高い相関がみられたことが報告されました。
ファイザー社のワクチンを2回接種後、男性・65歳以上、免疫抑制薬使用者は6カ月経過後の中和抗体価低下に注意が必要としています。
男性・65歳以上・免疫抑制薬使用者は中和抗体価の減少率が高い
2021年9月21日、新型コロナワクチンの3回目接種について厚生労働省は実施する方針を決定しました。
3回目の接種時については、2回目接種完了から8か月後を目安とするとしてます。厚生労働省によると、2回目のワクチン接種を終えた人の接種日は国のシステムにより管理されており、8カ月を経過した人から順次接種券が送られる対応とするそうです。
接種の優先順位に関しては、前回同様専門部会偽にて議論されます。
3回目のワクチンに関しては、基本的に1回目・2回目と同じ製品を使用すること。(将来に新たなワクチンが承認される可能性も視野に入れる)
尚、2回の接種に異なる製品を組み合わせる「異種混合接種」に関しては、1回目に重篤な副作用が起きた人などを対象に、例外として解禁することも了承されました。(接種間隔は27日以上あけること)
また、インフルエンザワクチンとコロナワクチンとの接種間隔は原則として13日以上あけることとしています。
3回目のワクチン接種を既に実施しているイスラエル保健省のデータベースを確認してみると、3回目のワクチン接種を終えた60歳以上の被験者は、2回しか接種していない群と比較して
感染リスクが1/10に低下、重症化リスクは1/14に低下していることが報告されています。
2回しか接種していない群
520万人中の感染者数4439例(100万人あたり853人)
460万人中の重症例294例(100万人あたり64人)
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3回目ワクチン接種群
1050万人中の感染者数934例(100万人あたり89人)
630万人中の重症例29例(100万人あたり4.6人)
また、3回目のワクチン接種直後と比較して、12日以上経過した後はワクチンによる予防効果が5倍以上高まることが示されています。
11歳以下の小児に対する「新型コロナワクチン」の現状についてまとめます。
米食品医薬品局(FDA)は12歳未満の小児に対するワクチン接種を推奨しておらず「適切ではないと考えている」と述べています。
米国小児学会は「11歳以下の小児を対象とした新型コロナワクチンに関して複数の臨床試験が進行中である。これらのデータを確認する必要がある。小児に対しては接種用量を変える必要があるかもしれない。FDAが小児するまでは、12歳未満の小児に対する新型コロナワクチンの接種を推奨しない」と述べています。
ファイザー社「5~11歳の小児に関するワクチン試験のデータが2021年9月末までの入手できる見込み。2~5歳の小児に関するデータも入手できる可能性がある」としています。
モデルナ社やジョンソンエンドジョンソン社も小児を対象とした新型コロナワクチン試験を実施中としています。
モデルナ製の新型コロナワクチンに混入されていた異物について、武田薬品から調査結果が報告されました。
粒子状の異物は製造機器の破片「ステンレス」でした。ワクチン製造ラインのモジュールに取り付けられていた2つの金属部分の設置不具合による摩擦に起因することが最も可能性が高い原因とされました。
厚生労働省の見解によると「ステンレスは、心臓の人工弁、金属製のステープルなどの医療機器に使用されており、極めて小さな粒子状の金属が仮に筋肉内に注入された場合でも医療上のリスクが増大する可能性は低い」と述べています。
武田薬品は異物混入ロットおよび同時期に製造された2ロット(合計3ロット)について、2021年9月2日以降に回収するということです。
再発防止に向けて委託生産拠点であるROVI社は
①すべての製造ラインの目視による再確認
②製造ライン切り替え時の標準業務手順書の改善
③内部プロセス管理として、自動目視検査実施時の適切な限度値の設定
上記の措置を講じたとしています。
尚、ワクチン接種後に亡くなった2名の事例について武田薬品は「因果関係は確認されていない」「現在のところ相互の関係なく偶発的に生じたものと考えられる。今後、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していくことが重要」とコメントしています。
因果関係は不明ですが、異物が混入したモデルナ製ワクチンと同時期に製造されたため回収となっていた製造番号「3004734」を接種した30代男性2名が死亡しました。
2021年8月8日時点におけるモデルナ製ワクチン接種後の死亡報告は1226万1354回あたり11件です。これは100万回あたり0.9件という死亡率になります。
製造番号「3004734」がこれまでに何人に接種されたかは不明ですが、「3004734」は52万回接種分が製造されており、回収に至った経緯があります。すでに2人の死亡が報告されましたので、52万回あたり2件の死亡率ですので、概算ですが、100万回あたり3.8件の死亡率となります。既存報告の4倍の死亡率にも思えますが、今後の調査でどのような解釈となるのか。
・亡くなった38歳男性:基礎疾患・アレルギー歴なし
2021年8月15日に2回目の接種を受けた後、発熱。17日に解熱したが、18日に自宅で死亡しました。
亡くなった30歳男性:基礎疾患・アレルギー歴なし
2021年8月22日に2回目の接種を受け、23日に発熱。回復して仕事をしていたが、25日朝に死亡しました。
アストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンが2021年8月23日から一部の自治体で接種が始まりました。
対象は40歳以上とされ、他のワクチンの成分にアレルギーのある人、海外ですでにアストラゼネカ社のワクチン接種を1回受けた人を対象としています。
海外において、アストラゼネカ社のワクチン接種を受けた方の副反応として「血栓症」が方向されているため、厚生労働省は接種後の副反応調査を開始しています。
イギリスにおけるアストラゼネカ社のワクチン接種後の血栓症頻度
18~49歳:100万回接種あたり20.2件
50歳以上:100万回接種あたり11件
アストラゼネカ社のワクチン接種後、4~20日以内に血栓症が発症している例が多く、自覚症状として
・強い頭痛
・腹痛
・吐き気、嘔吐
・視覚異常
・息切れ
・下肢の痛み、しびれ
・顔の片側の麻痺
・ろれつが回らない
などの症状がある場合は、血栓症の可能性を考慮する必要があるとしています。
ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症について
ワクチンを接種した人の中で、100万人に数名のわりあいで、血液中の血小板数が少ない人が確認されています。通常は血小板数が少ないということは「出血しやすい状態」となるのですが、アストラゼネカ社のワクチン接種後にこの状態となった方の体内は、異常な血栓が形成された過程で血小板が大量に使用されたことが確認されており、その結果として「血小板数が少ない状態」となっています。
つまり、ワクチン起因性免疫性血栓性血小板減少症という名称がついており、出血しやすいのかな?と勘違いしがちですが、実際は「脳静脈洞血栓症」「深部静脈血栓症」などの血栓症に注意しなければなりません。
1回目のコロナワクチン(ファイザー社・モデルナ社)を接種後に、アレルギー症状を発症した被験者を対象として2回目のコロナワクチンを接種したデータが公開されました。
結論は2回目のコロナワクチン接種後、アナフィラキシー症状なし又は抗ヒスタミン剤投与によりアレルギー症状が改善したというデータとなります。
対象となる被験者
1回目のコロナワクチン(ファイザー社又はモデルナ社)を接種後
・4時間以内にアレルギー症状を発症した被験者
・少なくとも1つのアレルギー症状(発疹・息苦しさなど)を有した被験者
・ワクチン接種後のアレルギー専門医へ紹介された被験者
上記のいずれかに該当する189例(平均年齢43±14歳)を対象として、2回目のワクチン(ファイザー社製:59例、モデルナ社製:130例)を投与した経過を報告しています。
2回目のワクチン接種後の副作用
発疹:53例
めまい立ち眩み:46例
接種部位の痛み:46例
喉の圧迫感:41例
蕁麻疹:39例
喘息・息切れ:39例
2回目接種者のうち32例(17%)がアナフィラキシー症状を呈していました。
被験者のうち47例は2回目接種を受ける前(前投薬)として抗ヒスタミン剤を投与していました。
アナフィラキシー症状を呈した32例に関しては、自然治癒・抗ヒスタミン剤投与により改善しています。
筆者らは上記のデータをうけて
「ファイザー社・モデルナ社のコロナワクチンの2回目接種について、投与の安全性を指示する。抗ヒスタミン剤の前投薬で軽減可能」
との見解を示しています。
1回目のワクチン接種でアレルギー症状が出た被験者が2回目を接種したデータ
新型コロナウイルスワクチンの接種後の発熱・疼痛への対応して、アセトアミノフェンを使用するケースが多いわけですが、ドラッグストアではアセトアミノフェン製剤の品切れが続いている状態をうけて、厚生労働省はワクチン接種後の痛み・発熱に対してアセトアミノフェンだけでなく、ロキソニンやイブプロフェンを飲んでもいいですよという情報開示を行いました。
日本薬剤師会は2021年6月25日、更に一歩踏み込んだ対応策として、”ドラッグストアのアセトアミノフェン製剤が欠品しているので、「調剤薬局に在庫しているカロナール錠(アセトアミノフェン錠)」を患者様に販売(零売)することは「選択肢の一つ」です。販売価格については、医薬品の用量等を考慮しながら薬局において個別に判断してください”という通知を各都道府県に行いました。
アセトアミノフェン製剤は非処方箋薬に該当する医薬品で、処方箋が無くても患者様へ「販売」することができる医薬品ではあるものの、販売するにあたっては”正当な理由”が必要となります。
今回の場合は、ドラッグストアにアセトアミノフェン製剤が売り切れていますあので、以下の理由が該当します。
「一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合」
販売を行わざるを得ない場合は「必要最小限の数量に限って販売しなければならない」
販売記録として「品名・数量・販売の日時」等を記載し2年間保存が義務付けれられています。また販売した方の連絡先を書面に記載し、保存する努力義務も加味されています。
いずれにしても、日本薬剤師会が「調剤薬局でカロナール錠を患者様へ販売する選択肢がある」と都道府県に通知したことは、解熱鎮痛剤を必要としている方にとって有益な対応と感じます
日本薬剤師会「調剤薬局でカロナール錠を販売(零売)してもOK」
厚生労働省は新型コロナワクチンQ&Aの中で、「ワクチン接種後の発熱・痛みに対して市販薬を飲んでも良いか?」という項目を新たに追加し、「アセトアミノフェン」に加えて「ロキソニン」「イブプロフェン」もOKであることを開示しました。
市販されている解熱鎮痛剤の種類にはアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。
(アセトアミノフェンは低年齢の方や妊娠中・授乳中の方でもご使用いただけますが、製品ごとに対象年齢が異なりますので、対象をご確認のうえ、ご使用ください)
と記されています。
ドラッグストアでは「アセトアミノフェン製剤」が品切れとなっており、それ以外の解熱鎮痛剤(イブ・ロキソニンSなど)を飲んでよいかどうかは自己判断とされていましが、厚生労働省のQ&Aにイブプロフェン・ロキソプロフェンをご使用いただけますと情報開示されたことで、ワクチン接種後に使用できる解熱鎮痛剤の選択肢が、ぐっと広がりました。
新型コロナワクチンQ&A ワクチン接種後の発熱疼痛にロキソニン・イブプロフェンを飲んでOK(厚生労働省)
日本小児科学会は新型コロナワクチンの小児(12~15歳)への接種についての見解をしめしました。
小児科学会の示した見解では大前提として、子供に接する成人への接種を優先すべきとしています。とくに医療的ケア児や重篤な基礎疾患のある小児に関わる業務従事者が優先して接種し、健康な子供に関わる従事者も職種や勤務形態を問わずにワクチンを接種することが重要としています。
上記を前提としたうえで、子供自身への接種に関しては
・12歳以上のワクチン接種には意義がある
・本人と養育者への十分な説明が必要となり、できれば個別接種が望ましい
・ワクチン接種を希望しない子供と養育者への特別扱いされない配慮が必要
・高齢者と比較して思春期の子供たち、若年成人では接種部位の疼痛出現頻度は約90%と高い
・2回目接種後の発熱・全身倦怠感・頭痛等の副作用発現頻度も高い(例:37.5度以上の発熱頻度は20代で50%、50代で30%、70代で10%)
・小児における新形コロナウイルスの感染は、その多くが軽症ですが、まれに重症化することがある。ワクチン接種のメリット・デメリットを十分に理解すること
・イスラエルや米国では若年男性(30代)でワクチン接種後の心筋炎が報告されている(ワクチンとの因果関係は調査注)
ファイザー社およびモデルナ社の新型コロナワクチンを接種した方について、ごく少数ではありますが「心筋炎」を発症した方がおりましたので、その発症経過と予後についての報告を確認してみました。
被験者:30代男性
1回目のコロナワクチン(ファイザー社)接種から21日後に2回目のコロナワクチン(ファイザー社)を接種し、呼吸困難、胸の痛み、吐き気、大量の発汗の訴を訴え入院しています。
注意点として、この被験者は2回目のワクチン接種を行う72時間前の時点で「発熱(38.8度)」「関節痛」を発症しています。
入院前の新型コロナウイルス検査は陰性でした。
採血結果、心筋トロポニンIという検査値が高値を示しました。
心筋トロポニンIとは心臓を構成している心筋(心臓の筋肉)の1つです。通常、血液中にはごく微量しか検出されないのですが、心筋細胞がダメージを受ける(心筋壊死・心筋炎)と高い値を示します。
通常、日本国内の指標を確認してみると0.04ng/ml程度が正常域とされていますが、今回の心筋症を発症した被験者では12.5ng/mlと非常に高い値が検出されています。
加えて、クレアチニンキナーゼMBと呼ばれる心筋に含まれる酵素量も通常の10倍と高い値が検出されています。クレアチニンキナーゼMBも心筋細胞がダメージを受けて、細胞内容物が血中に流れ出てしまうことで高い値が示す指標の1つであることから、骨格筋・心筋が壊れたことを示す値の一つと認識されています。
入院後、被験者にはビソプロロール(選択的β1遮断薬)、アセチルサリチル酸(抗炎症剤)およびプレドニゾロン(ステロイド)が投与され、症状は徐々に快方に向かいました。
入院から7日後、心筋トロポニンIとクレアチンキナーゼ-MBの値が徐々に減少していき、激しい身体活動を避けるように指導されて退院したという経緯です。
入院期間中、新型コロナウイルス検査は繰り返し行われており、結果は常に陰性だったと記されています。
「コロナに感染して回復した人の体内にはコロナに対する抗体ができているから、コロナワクチンは打たなくてよいのか?」
その答えは「NO、打った方がよい」という趣旨の報告です。
新型コロナウイルスに感染した人と、ファイザー社のワクチンを2回接種した人とで、体内の血液中を流れる抗体の量を比較した報告によると、ワクチンを2回接種した人の抗体量が60倍高かったということが報告されました。
ワクチンを2回接種した場合の抗体量は、コロナウイルス感染者の抗体量の60倍
新型コロナウイルス感染後、回復期患者における抗体量の中央値:35U/ml(7.63~137U/ml)
ファイザー社のワクチンを2回接種した人の抗体量の中央値:2112U/ml(1275~3390U/ml):60.3倍
変異株に対する抗体の中和する能力は、従来のコロナウイルスに対する能力よりも低かったものの、ワクチンを2回接種した被験者では「獲得する抗体量が多いため、中和能力が保管されているため変異株に対する高い中和能力を持っている」という見解を筆者らは示しています。
一度獲得したワクチンが長期的にどの程度持続するかについては、以前として議論されているところです、当初の報告では、中和抗体は発症後半年(6か月)以上経過すると消失していく可能性がある(再感染リスクが上がる)と考えらていましたが、今回の報告ではコロナウイルス感染後回復期患者の血清において、そのほとんどで抗体が確認されています。
ただし、無症候性の新型コロナ感染者においては、抗体量が相対的に低い可能性が示唆されております。筆者らは、継続的な免疫を獲得するためには、かんせんかんり・予防やワクチン接種などの継続的な予防措置が必要と記しています。
新型コロナワクチンの大規模会場での接種予約が5月17日から始まりました。東京や大阪では5月24日より65歳以上の高齢者を対象として接種が開始される見通しです。それ以外にも30の自治体から大規模接種の要望がある状態です。政府の意向としては6月上旬までに、すべての高齢者に1回接種できる分のワクチンを配送する見通しを示しています。
「国内でも予防接種がはじまります!」というアナウンスは良いのですが、ワクチンを接種するとなると、どうしてもアナフィラキシー(一過性の血圧低下など)が生じるリスクがついてきますので、その対策として
「アナフィラキシーショックの救急治療の第一選択薬剤」”ボスミン注1mg”を各会場に十分量を確保する必要があります。
ボスミン注1mgを販売している第一三共のホームページを確認したところ、5月18日付けで
「日本薬局方アドレナリン注射液「ボスミン注 1mg」につき、需要の急激な増加により、安定供給に支障をきたす可能性が生じております。
これまでと同程度の供給量は十分に確保しておりますが、既納入先への安定供給を優先するため、お取引卸様への出荷調整を行わせていただくことといたしました。 」
と出荷調整がアナウンスされていました。
コロナワクチン会場に優先してボスミン注が販売されるため、各医療機関への販売については、その都度、調整が必要という解釈でしょうか。
類似製品を確認したところ、アンプル製剤ではありませんが「アドレナリン注0.1%シリンジ「テルモ」(1mL)」というシリンジ製品がテルモ株史会社から販売されているようです。
横浜市立大学の研究チームは、日本人のワクチン接種者111名(既感染6名、未感染105名)を対象として、変異ウイルスに対する抗体の保有率について調査を行ったデータを公開しました。
ファイザー社のワクチン接種者から採血を行い、その血清中に各種変異ウイルスに対する抗体を保有しているかどうかを調査しており、その方法として、血清中のコロナ中和抗体を3時間以内に検出する「hiVNTシステム」という方法を使用しています。
結果
従来のコロナワクチンに対して、ワクチン接種を2回行った未感染者は99%が抗体を保有していた
N501Y変異を有する3つのウイルス(英国由来、南アフリカ由来、ブラジル由来)に対して90~94%の方が抗体を保有していた
8種類の変異ウイルスすべてに抗体を有していた割合は89%でした(93人/105人)
過去に感染したことがある人では、1回のワクチン接種で抗体産生を十分に行うことができることが確認された。
非感染者では、1回接種のみでは、変異株に対して抗体が産生されない人が一定数存在した。
変異ウイルスに対するファイザーワクチンの効果(日本人を対象)
有酸素運動を含むリハビリでコロナ後遺症が改善(2021/5/18)
新型コロナウイルス感染症後の後遺症である倦怠感、息切れ、呼吸器症状など症状が、有機酸素運動を含むリハビリテーションプログラムを実施することで改善された報告がありましたので下記します。
被験者:新型コロナウイルス感染症の治療を終えた30例(男性52%、平均年齢58±16歳)
リハビリ内容:週2回、6週間の有酸素運動を含むリハビリテーションプログラム(ウォーキング、下肢・上肢の筋力トレーニング)および症状・日常生活に関する教育を行っています。
6週間のリハビリ後の結果
歩行距離:112±105m延長
運動持続時間:544±377秒間延長
疲労評価スコア(FACIT):5±7ポイント上昇
健康関連QOL評価:8±19ポイント上昇
モントリオール認知機能評価:2±2ポイント上昇
COPDアセスメントテスト:3+6ポイント低下
上記のように、リハビリプログラムを行うことで、症状の改善が確認されました。
筆者らは、包括的なリハビリプログラムを行うことで、新型コロナ感染症後の後遺症(倦怠感・息切れ・呼吸器症状)の改善が期待できるとしています。
2021年5月3日、米国ニューヨークタイムズ紙は、ファイザー社の新型コロナワクチン対象年齢についてこれまでの「16歳以上」から「12歳以上」へ引き上げることを報じました。
米食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可の対象年齢を、5月10日ころを目途に12歳以上へ引き下げる決定をする見通しということです。
ファイザー社は3月に、12~15歳の2260人を対象とした臨床試験を行っており、ワクチン接種によりコロナ発症予防効果が100%であったことを公表しています。また副作用については、16~25歳の被験者に発症した割合と同程度であったということです。
また、米国にて18歳以上の緊急使用許可が認められているモデルナ社のコロナワクチンについても、近く12~17歳を対象とする治験結果が明らかとなる見通しです。
日本国内におけるデルナ社のワクチン状況については、2021年4月末に第一便が国内に到着しております。政府の予定としては2021年5月21日にも承認する方向で調整に入っているということです。モデルナ社のワクチンが承認されれば、ファイザー社のワクチンに続き国内2例目となります。
欧州医薬庁はアストラゼネカ社が開発した新型コロナウイルスワクチンを接種した方で血小板減少を伴う血栓症が生じている事例について「非常に稀な副作用」としてリストすることを結論付け、アストラゼネカ社の新型コロナワクチン接種による血栓症との関連について言及しました。
これまでの報告ではアストラゼネカ社の新型コロナワクチンを接種した60歳未満の女性において、ヨーロッパ連合の薬物安全性データベースに報告された事例としては約2500万人がワクチン接種を行った時点で以下の血栓症の事例が報告されたとしています。
脳静脈洞血栓症:62例
内臓静脈血栓症:24例
(2021年3月22日時点)
脳静脈洞血栓症、内臓静脈血栓症については、血小板減少を伴い、出血しているケースも見られたことが報告されております。ワクチン接種から2週間以内に生じるケースが多いとされています。自覚症状としては「呼吸困難・胸痛・下肢のむくみ・腹痛・頭痛やかすみ目・注射部位を超えた血斑」などの症状がある場合は直ちに医師の診察を受ける必要があるとしています。
日本国内では、アストラゼネカ社の新型コロナワクチンは流通しておりません。2021年2月5日に、アストラゼネカ社が厚生労働省に対して承認を求める申請を行っておりますが、2021年4月8日時点において厚生労働省が認可していません。とはいえアストラゼネカ社と日本政府は「有効性・安全性が確認された時点」で6000万人ぶんのワクチンを供給する契約を結んでおりますので、日本政府が「アストラゼネカ社の新型コロナワクチン接種による血栓症」をどのように解釈し、承認申請をどのように対応するか未定です。
アストラゼネカ社の新型コロナワクチン接種による血栓症の可能性について
厚生労働省は3月26日の専門部会にて、新型コロナウイルスワクチン(コミナティ)接種後のアナフィラキシーの発症頻度について、57万8835例が接種を受けた時点で47例がアナフィラキシーに該当したと発表しました。
47例の発症者のうち、約半数に食品・医薬品のアレルギー既往歴があり、約2割に喘息があったことが判明しました。
アナフィラキシー発症者の大半が軽快しています。(47例中44例が女性です)
日本国内でのアナフィラキシー発症率は100万回接種あたり81件であり、英国は19.4件、米国は4.7件である報告されています。
アナフィラキシーを発症した47例の方のアレルギー既往としては
医薬品(造影剤など)、食べ物、動物などのアレルギー歴:23例
食べ物、動物、殺虫剤のアナフィラキシーのアレルギー歴:1例
殺虫剤のアレルギー歴:1例
基礎疾患
気管支喘息:9例
花粉症:5例
慢性蕁麻疹:1例
アトピー性皮膚炎:2例
喘息既往歴:3例
新型コロナウイルス(コミナティ筋注)によるアナフィラキシーの原因としては、ポリエチレングリコール(PEG)が原因と考えられています。
既存の医薬品の中で、PEGに似た構造をもつポリソルベーとを含むワクチンとしては
プレベナー13
インフルエンザHAワクチン「第一三共」
ガーダシル
エンセバック
ロタテック
イモバックスポリオ
などがあります。
厚生労働省は2021年3月18日、新型コロナワクチン予防接種基本方針部会において、予防接種の実施状況に関する資料を公開しました。
接種順位の上位位置付けについては
医療従事者等:470万人
高齢者:3600万人
基礎疾患を有する患者:1030万人
高齢者施設等の従事者:200万人
60~64歳の方:750万人
合計6050万人
2021年3月18日時点において、接種順位、対象者の範囲・規模については上記の順とされており、60~64歳の方の接種を終えた後、「上記の以外の者に対しワクチンの供給量等を踏まえ順じ接種」することとされています。
基礎疾患を有する方の区分としていは、以下の条件が公開されました
以下の病気や状態の方で、通院/入院している方
1. 慢性の呼吸器の病気
2. 慢性の心臓病(高血圧を含む。)
3. 慢性の腎臓病
4. 慢性の肝臓病(肝硬変等)
5. インスリンや飲み薬で治療中の糖尿病又は他の病気を併発している糖尿病
6. 血液の病気(ただし、鉄欠乏性貧血を除く。)
7. 免疫の機能が低下する病気(治療中の悪性腫瘍を含む。)
8. ステロイドなど、免疫の機能を低下させる治療を受けている
9. 免疫の異常に伴う神経疾患や神経筋疾患
10. 神経疾患や神経筋疾患が原因で身体の機能が衰えた状態(呼吸障害等)
11. 染色体異常
12. 重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した状態)
13. 睡眠時無呼吸症候群
14. 重い精神疾患(精神疾患の治療のため入院している、精神障害者保健福祉手帳を所持している、又は自立支
援医療(精神通院医療)で「重度かつ継続」に該当する場合)や知的障害(療育手帳を所持している場合)
2. 基準(BMI 30以上)を満たす肥満の方
また、高齢者等が入所・居住する社会福祉施設等(介護保険施設・居住系介護サービス、高齢者が入所・居住する障碍者施設・救護施設等)において、利用者がに直接接する職員としては、市町村の判断により、一定の居住サービス事業所等および、訪問系サービス事業所等の従事者も含まれる(一定数)という注意書きが添えられております。
3月8日までの報告分として新型コロナワクチン接種後、8名の方でアナフィラキシーが報告されました。
被験者8名はいずれも女性であり、アナフィラキシー症状としては
1例名:接種後5分以内に咳がみられ、その後呼吸が早い・まぶたのはれ・全身のかゆみ症状
2例名:接種後15分の観察後、25分の時点で蕁麻疹が発生、その後、咳・発熱・血圧低下・息苦しさあり
3例名:接種後約5分の時点で咳・息苦しさ・喉の違和感あり
4例名:接種後30分以内に、蕁麻疹が発生、その後、頭痛・咳症状あり
5例名:接種後5分の時点で、喉の違和感、咳・両手のしびれ・頻脈症状あり
6例名:接種後30分以内に、熱感、冷や汗、気分不良
7例名:接種後10分以内に喉の違和感、咳が発生し、その後、息苦しさ、末梢の冷感症状あり
8例名:接種後30分以内に咳、喉の痛み症状あり。
発症者はいずれも女性と報告されていますが、医療従事者が先行接種している実情で、医療従事者(特に看護師)は女性が多い職種柄であることと、先行接種者に関する性別ごとの接種人数が報告されていないため、性差によるアナフィラキシー発症リスクについては不明です。
いずれにしても、新型コロナワクチン接種後は5~30分以内に、咳・喉の違和感・蕁麻疹症状が発症するリスクを想定して接種する必要があるようです。
2021年3月12日、日本アレルギー学会は、新型コロナワクチン接種に伴う副反応のうち、特に重度の過敏反応(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療に関する指針を同ホームページに公開しました。
ワクチン接種後、アレルギー反応/アナフィラキシー診断と対応という項目の中で、ワクチン接種後の観察時間について「通常は15分でよいが、過去にワクチンあるいは他の医薬品による即時型アレルギー反応/アナフィラキシー歴がある場合や、コントロール不良と思われる気管支喘息患者は少なくとも30分程度の観察が望ましい。」と記されています。
また、アナフィラキシー類似症状についても公開されており、ワクチン接種に伴う精神的ストレスが契機となって、血管迷走神経反射が生じて低血圧を介した湿疹が引きおこる可能性や、予防接種に恐怖感を抱いている方が強い不快感・不安感を引き金としてパニック発作を引き起こす可能性、過換気症候群を起こす可能性についても記載されています。
新型コロナワクチン接種に関する過度な副反応報道が、上記の症状を誘発しかねませんので、ワクチン接種を行うことの有益性と副反応リスクの頻度を十分に加味したうえで報道してほしいと感じました。
新型コロナウイルスワクチン接種にともなう 重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療
因果関係は「評価不能」ですが、2月26日に、ファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」を接種した60代女性が、3月1日に「くも膜下出血」が原因で亡くなりました。
女性に基礎疾患やアレルギーはなかったとしています。
海外での治験データや接種後の臨床データ報告では、新型コロナワクチン接種後にくも膜下出血が増加するとの知見は報告されおりません。
厚生労働省の見解としては「くも膜下出血が40~60歳代で比較的起こりやすい疾患であり、海外の接種事例では新型コロナワクチン接種とくも膜下出血に関する関連は報告されていないため、偶発的な事例かもしれない。今後の審議会で評価していく必要がある」としています。
新型コロナワクチンを保管する冷蔵庫(ディープフリーザー)が停止して172バイアルが使用不可となった問題がありましたが、厚生労働省は、その要因が同一電源コンセントに複数の機器を接続していたために、電力不足に陥ったことが原因であると開示し、再発防止にむけて注意喚起を行いました。
新型コロナワクチン保管用冷蔵庫ディープフリーザーの稼働が停止した要因
2021年2月26日、日本感染症学会は新型コロナワクチンに関して「COVID-19ワクチンに関する提言(第2版)を公開しました。
以下に概要をしるします。
COVID-19ワクチンに関する提言の中には、「現在の開発状況」としてファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社、ジョンソエンドジョンソンなどの米国で承認許可を受けたワクチンだけでなくサノフィ社、ノババックス社、塩野義、などの企業に関しても、現在の進行状況、臨床試験段階が記されております。
また、ワクチンの作用機序として、mRNAワクチンの作用機序(ファイザー社、モデルナ社)やウイルスベクターワクチンの作用機序(アストラゼネカ社、ジョンソンエンドジョンソン)の違いも記されています。
さらに、各ワクチンの有効性、変異株に対する知見、ワクチンの安全性・有害事象・アナフィラキシー頻度についてもまとめられており、非常に有益なデータが記されております。
国内での接種の方向性としては、優先接種対象者として
医療従事者
① 病院、診療所において、COVID-19 患者*に頻繁に接する機会のある医師その他の職員
② 薬局において COVID-19 患者に頻繁に接する機会のある薬剤師その他の職員
③ COVID-19 患者を搬送する救急隊員等、海上保安庁職員、自衛隊職員
④ 自治体等の COVID-19 対策業務において COVID-19 患者に頻繁に接する業務を行う者
65歳以上の高齢者
高齢者以外で基礎疾患を有するもの、および高齢者施設(障害者施設等を含む)の従事者
という順番で接種を進める予定としています。
(妊婦に関しては、妊婦及び胎児・出生時への安全性」が確認されていないため、現時点では優先接種対象者に含まれておりません。)
(小児領域の慢性疾患は、16歳未満を対象としたCOVID-19ワクチンの臨床試験が実施されておらず、安全性が確認されていないため、今回は対象に含められていません)
日本国内でファイザー社のワクチン接種が開始されました。政府の方針としてファイザー社が提示している使用方法に従い、1回目を接種した方を対象ににして3週間後に2回目のワクチンをしっかり確保する方針を示しています。
一方、ワクチン接種が進んでいるイスラエルでは、ファイザー社のワクチンを1回接種すると21日後時点で90%の有効性が得られるというデータが開示されました。この結果を踏まえ、
”英国では2回目のワクチン接種時期を3週間後から12週後まで延長する措置が決定されました。”
英国政府の英断の背景には、より多くの方が免疫を獲得できること、重症者・死亡リスクの低減につながることを挙げています。一方で1回接種では十分な免疫が得られないことから不満の声もあがっているということです。
ファイザー社のワクチン接種が進んでいるイスラエルのデータでは、1回目のワクチン接種を行った被験者50万人いじょうの報告をもとにして、ワクチン接種翌日から24日目までの感染症の実態を後ろ向きコホート研究により開示しています。
その結果、ワクチン接種翌日から14日後までは新型コロナ感染率は低下しません。むしろ上昇しています。(上昇理由として、ワクチンを接種したことで感染予防に対する危機意識が低下したためではないかと示唆しています)
一方、ワクチン接種15日後から21日目にかけて感染率が大幅に減少し、接種21日時点での感染リスクは90%以上低減しています。つまりファイザー社のワクチン接種を1回接種したあと、14日間は感染リスクは接種前と変わらないが、15日以降は徐々に体内で抗体が産生されるため免疫が獲得され、感染リスクが低減することが示されました。
筆者らの見解では、2回目の予防接種をしなかった場合、21日を超えてどの程度免疫力が持続するかはわからないとしながらも、初回接種から12週回以内に、感染リスクは上昇しないだろうと示唆しています。その理由として、これまで新型コロナに感染した被験者の自然免疫を検討したデータによると、抗体を獲得した被験者のIgGレベルは6か月間は比較的安定していることを背景としています(T細胞免疫の半減期が3~5カ月間であるため)
上記のイスラエルデータを背景として、ファイザー社のワクチン接種に関して、英国では1回目接種後、2回目の接種期間を3週間から12週間に延長することが集団免疫獲得に向けて有益であろうと判断したことが示唆されます。
ファイザー社のワクチンを単回投与した際の免疫獲得期間(イスラエルデータ)
厚生労働省のホームページにファイザー社のコロナワクチン「コミナティ筋注」を承認した際の議事録が公開されました。
議事録の中には「変異株」に対する有効性に関して説明が記されていました。以下に概要をしるします。
変異株に対する非臨床の検討結果について、最も高頻度で確認されているD614G変異株に対して、コミナティ筋注の中和作用が確認されました。
イギリスや南アフリカで報告されている変異株(N501Y、K417N、E484K)についても同様の方法(非臨床試験)での中和作用が確認されました。
2021年1月27日時点の情報において、流行している種々の変異株に対してコミナティ筋注の一定の有効性が期待できると判断しました。
ただし、今後新たな変異株が出現することも想定されるため、新たな知見が得られた場合には適切な情報提供が必要と考えます。
アナフィラキシーに関しては、米国において190万例の接種に対して21例のアナフィラキシーが報告されています。
ファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」に関する承認時議事録公開
新型コロナワクチンの国内供給状況に関する報告について、河野太郎ワクチン担当大臣が記者会見を行いました。既存の供給状況も含めて以下の表となります
バイアル数 | 6回採取の場合の、2回接種人数 | |
2021年2月12日(第一便) | 6万4350本 | 19万3050人 |
2021年2月21日(第二便) | 7万5465本 | 22万6395人 |
2021年3月1日(第三便) | 8万7750本 | 26万3250人 |
2021年3月8日の週(第四便) | 16万5750本 | 49万7250人 |
2021年3月15日の週(第五便) | 7万200本 | 21万600人 |
2021年3月22日の週(第六便) | 5万1480本 | 15万4440人 |
2021年3月29日の週(七便) | 6万8445本 | 20万5335人 |
トータル | 44万3625本 | 133万875人 |
上記表を確認すると、3月末までに133万人の医療従事者が2回接種を完了できることがわかります。
ファイザー製の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」は1回接種後、3週間後に2回目の接種をうけることでワクチン接種が完了します。そのため政府は1回目接種として、自治体Aに1000箱を供給した場合、その3週間後に1000箱+αを出荷する準備を検討しており、+α分が翌3週間後の最低出荷本数となるようです。
最優先接種者とされている医療従事者への供給状況としては、4月中に当初想定していた370万人が1かいめの接種を終えられる量」を配布する考えを示しております。
一般接種に関しては、65歳以上の高齢者に必要な分を6月末までに配布できるようファイザー社と大枠で合意したことを発表しています。
高齢者の全数は3600万人とされており、6月末までの調達状況については引き続き報告を待ちたいと思います。
追記:2021年2月21日
副反応について
首相官邸ツイッターによると、富山労災病院(富山県魚津市)で2月19日に新型コロナワクチン接種を受けた方が、接種後にじんましんが生じ、すぐに消えた(職業や年齢・性別は非公開)
その他に、接種を受けた1人に悪寒や震えの症状が出た(接種場所は非公開)。急性のアレルギー症状である「アナフィラキシー」ではないとしています。
2021年2月17日、新型コロナウイルス感染症のワクチンの医療従事者の先行接種が始まりました。ファイザー社の「コミナティ筋注」を全国100の医療機関で約4万人の医療従事者を対象として行われます。(1~2万人に対しては接種後の28日間の健康状況調査が行われます)
2021年2月17日17時時点で125回の接種が行われましたが、接種直後の死亡やアナフィラキシーは報告されておりません。
いかに医療従事者先行接種を行っている医療機関を記載したエクセルファイルを貼り付けます
国内に到着した新型コロナワクチンのバイアル数は2月12日に第一便として6万4350バイアル(38万6100回接種分)が到着しており、第二便として2月21日に7万5465バイアル(45万2790回接種分)が到着することとなっています。第三便以降についてもEUが出荷を管理しており、順次到着する予定とされています。
優先接種対象となっている医療従事者の人数は470万人と想定されております。内閣府の今後の見通しとしては、3月1週目に19万5000バイアル(117万回接種分)、3月第2週にも19万5000バイアル(117万回接種分)の出荷を想定しており、3月中旬ころまでに医療従事者300万人分が1回目の接種を行えるようなワクチンの手配を想定しています。
こうなってくると、医療従事者で2月17日に1回目のワクチン接種をおこなった方は3週間後(3月10日)に2回目のワクチン接種を行うスケジュールとされていますので、1回目の接種と2回目の接種ではどちらが優先されるか、といった課題も話し合われるかと思います。
ファイザー社は11歳以下の小児を対象とした新型コロナウイルスワクチンの臨床試験を「まもなく実施する」との見解を2021年2月23日明らかとしました。ファイザー製ワクチンは日米ともに16歳以上が接種対象となっており、12歳以上の臨床試験は実施中とされていました。
米国にて、2020年12月14日~1月13日までの1カ月間に新型コロナワクチンを接種した被験者における副作用レポートが報告されました。(2021/2/19)
米国疾病予防管理センター(CDC)の報告によると2020年12月14日~2021年1月13日までの間に1379万4904本のワクチンが摂取されました。
(有志参加システム報告ではワクチン比率:ファイザー社50.8%、モデルナ社49.2%)
上記の1カ月間に報告された副作用レポートは6994件であり、そのうち63554件(90.8%)は軽度な副作用でした。
軽度な副作用報告:頭痛(22.4%)、倦怠感(16.4%)、めまい(16.5%)など
ファイザー社のワクチン接種は、すでに2回目の接種も行われおりますが、1回目に比べて2回目接種後の発熱や悪寒が発生する割合は4倍高いことが報告されています。
深刻な副作用報告は640件(9.2%)上がっており、TVで報道された重度な副作用(アナフィラキシー)に関しては、100万接種あたり4.5件の割合で発生していました。
ワクチン接種後に亡くなった方は113件報告されており、そのうち78件は長期療養施設入居者であり、ワクチン接種が死因ではなく別の疾患が要因と報告されています。
厚生労働省は新型コロナワクチンの予防接種の接種券に関する詳細を公開しました。
予防接種は接種券が必要であり、接種券は年齢により発送時期が異なります。令和3年1月1日を年齢の基準日として
75歳以上の方を最優先とし、65歳~75歳未満の方へ印刷機関を3月19日をめどとして早期に印刷を開始するとしています。
それ以外の方は、60~64歳、50~59歳、40~49歳、30~39歳、20~29歳という区分を設け、4月23日までを接種券印刷の目処としています。
予防接種は2回行う必要があるため接種券は2枚配布されます。(接種券は台紙から剥がしやすいようミシン目をいれるなどの加工をすること)
接種番号(10桁)、接種者氏名、住所、生年月日、市町村長名が記載されています。
最優先とされる75歳以上、65~75歳未満の方に対しては3月下旬を発送期間の予定とされています。
1) 以下の①~④が一体となった送付用紙1枚
① 宛名送付状
② 予防接種券2回分
③ 予診のみ券2回分
④ 予防接種済証
2) 事業案内 1 枚 ※厚生労働省 統一様式(A4 版)
上記の用紙が同封され、配送されることとなります。
ファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」が2021年2月12日に特例承認することが了承されました。順調にいけば2月17日ごろから医療従事者を対象とした先行接種がスタートする見込みです。コミナティ筋注の用量・用法は「筋肉内注射、2回接種(3週間間隔をあける)、対象年齢は16歳以上」となっています。妊婦や脆弱な高齢者に関しては医師がリスク・ベネフィットを判断して、非接触者の同意を得られた場合に接種できるとしています。
コミナティ筋注の有効性については臨床段階の有効率が95%と報告されております。有効率95%というのは、コミナティ筋注を接種した群は、接種していない群と比較して、発症率が95%少ないという意味であり、発症リスクが20分の1になるという意味です。
注意「接種した人のうち95%は罹らないが5%の人は罹る」という意味ではないことをご留意ください。
コミナティ筋注の国内流通状況について2021年2月12日(金曜日)午前10時20分時点での情報としては、ベルギーのブリュッセルから成田空港に40万回分が到着しました。零下75度前後ので接種の拠点となる施設へ送り届けられ、超低温冷蔵庫で保管管理されます。尚、第二便以降の到着見通しは立っておらず、欧州連合(EU)がワクチンの輸出管理を強化しているため、接種スケジュールに影響する可能性があります。
16歳未満の予防接種に関しては、厚生労働省のホームページにある「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引きにて、以下のように記されています。
16 歳未満の予防接種等
新型コロナワクチンの接種対象となる年齢については、各製剤の承認内容等により異なる可能性があることから、最新の情報に留意するとともに、接種にあたっては、被接種者が対象年齢に含まれるかどうかについて十分に確認すること。接種対象となった 16 歳未満への予防接種を実施する場合、医療機関における新型コロナワクチンの接種については、原則、保護者の同伴が必要であること。ただし、あらかじめ、接種することについて、保護者の同意を予診票上の保護者自署欄にて確認できた者については、保護者の同伴を要しないものとする。また、接種の実施に当たっては、被接種者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に対する回答内容に関する本人への問診を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に連絡するなどして接
種への不適当要件の事実関係等を確認するための予診に努めること。なお、被接種者が既婚者である場合は、この限りではない。医療機関以外における接種についても、医療機関における場合と同様であること。意思確認が困難な場合であっても、家族や、介護保険施設等に入所している場合は嘱託医等の協力を得ながら本人の意思確認をし、接種についての同意を確認できた場合に接種を行うこと。
新型コロナワクチンの予防接種券発送方法
2月中旬から接種を行う予定と報道されているファイザー社・ビオンテック社が製造開発した新型コロナウイルス用ワクチン「コミナティ筋注」(BNT162b2)を医薬品として承認するため、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会の臨時部会を12日に開催すると発表しました。
ファイザー社の新型コロナワクチン「コミナティ筋注」が2021年2月12日に審議
未承認薬を医薬品として承認するためには、必ずこの薬事・食品衛生審議会医薬品第〇部会にて審議が行われ、承認を受ける必要があります。
コミナティ筋注に関しては、首相が2月中旬から接種開始する方針を示していましたので、承認されることは確定していますが、通常の例にならって形式上の審議を行うこととなります。
厚生労働省のホームページには、コミナティ筋注が医薬品として承認されて以降の手順として
安全で有効なワクチンが承認され、供給できるようになった時には、医療従事者等への最初の接種が2月中旬から始められるよう準備を進めています。
最初に接種が始まるのは、医療従事者向け先行接種と併せて接種後の健康状況調査を行う対象となっている、国立病院機構・地域医療機能推進機構(JCHO)・労働者健康安全機構(労災病院)の病院です
その後、該当となる全ての医療従事者等の方々への接種について、ワクチンが供給できれば3月に始められるよう、勤務先や接種を行う医療機関での準備を進めていただいています。
対象となる医療従事者等
以下の方々が、早期に接種する医療従事者等に該当します。ご自身が該当するかどうかご不明な場合は、お勤め先にご確認ください。
・病院・診療所・薬局・訪問看護ステーションに従事し、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・自治体等の新型コロナウイルス感染症対策業務で、新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者に頻繁に接する業務を行う職員
・新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を搬送する救急隊員等・海上保安庁職員・自衛隊職員
医療従事者等の方は、個人のリスク軽減に加え、医療提供体制の確保の観点から接種が望まれますが、最終的には接種は個人の判断です。
接種を行うことは、強制ではなく、業務に従事する条件にもなりません。
2021年1月29日、1回接種タイプの新型コロナワクチンを開発しているジョンソン・エンド・ジョンソンが第三相試験の結果を公表しました。
被験者:18歳以上の成人43783例(女性:45%、男性55%)(重症患者の割合/肥満:28.5%、2型糖尿病:7.3%、高血圧:10.3%、HIV:2.8%)
ワクチン1回接種後、14日以降と28日以降の時点で評価を行っています。
結果
接種後28日以降に、新型コロナ感染中等症または重症を予防する効果は66%でした。また予防効果については、接種から14日以降で確認されました。
(重症患者への予防効果は85%であり、接種から49日以降はワクチン接種者の中に重症例は報告されませんでした)
ジョンソン・エンド・ジョンソンの開発したワクチンは2~8℃で3カ月間安定保存が可能であり、マイナス20度で2年間の安定保存が可能と想定さえております。
3万例超を対象としたモデルナ社の新型コロナワクチン(mRNA-1273)の第三相試験の有効性に関する情報が公開されました。
18歳以上を対象としてモデルナ社のmRNAワクチン(100μg)を28日間隔で2回筋肉注射した群(1万5210例)とプラセボ筋肉注射を28日間隔で2回行った群を比較しております。
(被験者の96%超が2回接種を完了しています)
結果は、2回目接種を終えて14日以降に新型コロナウイルスに感染した比率を確認してみると、プラセボ群が185例であったのに対して、ワクチン接種群では11例と非常に感染者数が低いことが報告されました。
新型コロナウイルスに感染した196例(185例+11例)のうち、プラセボ群が94.4%、ワクチン接種群が5.6%と区分できます。この結果をうけてモデルナ社は94%の有効率があると報告しています。
ここで非常に興味深いデータとして、新型コロナ感染者196例中、重症例が30例報告されているのですが(そのうち1名死亡)、30例すべてプラセボ群を接種した群からの感染者であったということです。モデルナ社のワクチンを接種すれば新型コロナに感染するリスクが低減するだけでなく、重症化するリスクも減らすことができるというのは非所に有益な点であると感じます。
(新型コロナ感染の定義としては38度以上の発熱、悪寒、筋肉痛、頭痛、喉の痛み、嗅覚障害、味覚障害のうち少なくとも2つの症状あり、PCR検査で陽性だったものと定義しています)
有害事象(副作用)に関しては、プラセボ群で4.5%、モデルナ社ワクチン接種群で8.2%が報告されました。
一般的な有害事象に関しては倦怠感(1.2%と1..5%)、頭痛(0.9%と1.4%)と2群間で同等でした。接種による副作用は一過性であり参加者のほとんどの方で接種から2日以内に改善が確認されました。
治療に関する重篤な有害事象の発生率はプラセボ群で0.2%で会ったのに対して、ワクチン接種群で0.5%と高めの値となっていました。
EU(ヨーロッパ連合)の欧州医薬品庁(EMA)はアストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの承認申請を受けたことを公開しました。
予定では1月29日にも承認勧告を出す見通しです。これによりEUではコロナワクチンとしては3例目となり、ワクチン接種の拡大が期待されます。
アストラゼネカ社のワクチンに関しては英国で2020年12月末に使用が開始されております。
英医薬品・医療製品規制庁はアストラゼネカ社のワクチンについて「安全性・有効性の厳格な基準を見たしている」と結論付けています。
アストラゼネカ社のワクチンの有益な点は「冷蔵庫保管ができること(冷凍庫でなくてよい)」と「1回分の価格が230円程度」である点です。
米国でファイザー社の1回目の新型コロナワクチンを接種した189万3360人に関する副作用報告が公開されました。
189万3360例のうち21例でアナフィラキシーが発現されました(100万人中11.1例)。アナフィラキシーを発症した21人のうち15例は接種から15分以内に発症したことを報告しています。また、21例のうち17例はアレルギーまたはアレルギー反応の既往があり、7例に関してはアナフィラキシーの既往があったことも報告されています。アナフィラキシーを発症した方のうち経過が確認された20人に関しては、回復・退院しております。(アナフィラキシーによる死亡例は報告されておりません)
有害事象全体の報告としては、189万3360例のうち4393例(0.2%)でした。
また、ファイザー社の新型コロナワクチンを接種後、1日以内に非アナフィラキシー反応を発症した83例についての調査によると、72例は非重篤と分類され掻痒・発疹・喉のかゆみ・軽度の呼吸器症状などが報告されています。ワクチン接種から症状発現までの中央値は12分と報告されました。
従来のワクチン接種同様に新型コロナワクチンを接種後30分程度は副反応の可能性を考慮して行動したほうがよいことが示唆されました。
ファイザー社の新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシー発症率は
菅首相は日本国内における新型コロナウイルスワクチンの接種時期に関して
「当初2月中に製薬企業の治験データがまとまるということだったが、日本政府から米国本社に対し、強く要請し、今月中にまとまる予定だ。そのうえで安全性、有効性の審査を進め、承認されたワクチンをできる限り2月下旬に接種を開始できるよう、政府一丸となって準備を進めている」
と述べました。
ワクチンが承認されれば、医療従事者や高齢者、高齢者施設の従業員から接種を開始すると説明してます。
日本国内におけるファイザー社の新型コロナワクチンの臨床試験状況に関しては、20~85歳の健常人160人を対象とした試験が実施されており、2回目の接種をすべての被験者に打ち終えています。現在は主要データをまとめている状況ということです。
米国や日本、ヨーロッパ諸国の先進国に関しては、新型コロナワクチンの研究段階から購入契約を結んでいるため、ワクチンの承認と同時に国内における流通が開始となるわけですが、その他の国や地域ではWHOが主導するCOVAXファシリティを開始て、グローバルアクセルを調整する取り組みとなっています。そのため2021年末までに低中所得国が調達できるワクチンは、メーカー生産量の40%程度であり、仮に高所得国が購入予定量を増やした場合は、低所得国に調達される割合がさらに少なくなることも懸念されています。
世界人口に対する高所得国の人口比率は14%、低中所得国の人口比率が86%である一方で、2020年11月15日時点におけるワクチン製造メーカーが生産する予定の総量74.8億回分のうち51%が高所得国へ送達されることとなっています。
研究グループは、「政府およびメーカーは、購入契約に関する透明性と説明責任を高めることで、COVID-19ワクチンの公平な配分への確約も果たすことができるだろう」と主張してます。日本国内のみならず世界希望での集団免疫を獲得するには長期的な展望が必要かもしれません。
2021年中に世界全体に新型コロナワクチンが流通するかどうか
英国はアストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発した新型コロナウイルスワクチンを承認したことを発表しました。
先進国ではファイザー社・モデルナ社についで3番目の承認となります。
英医薬品・医療製品規制庁はアストラゼネカ社のワクチンについて「安全性・有効性の厳格な基準を見たしている」と結論付けています。
アストラゼネカ製ワクチンの特徴は「アデノウイルスを無毒化して作成したワクチン」です。有効性は治験段階のデータで70%程度と考えられています。モデルナ社やファイザー社のワクチンが冷凍庫保存しなければならないのに対して、アストラゼネカ社のワクチンは既存の技術(ウイルスベクター)で作成されたワクチンであるため冷蔵庫保管が可能です。さらに1回分の価格も日本円で230円程度と安価です。
輸送・保管・コストという観点で考えると、アストラゼネカ社のワクチンは他社とくらべて非常に優れています。(有効性に関しては劣りいます)。
アストラゼネカ社のCEOは「利益なしの原価で供給する」と発表していますので、世界的で拡大している新形コロナウイルスの感染拡大を防止効果が期待されます。
ただ、アデノウイルス由来の製剤ですので、臨床段階でも報告されていた免疫性の疼痛症状のリスク(脊髄炎様症状)については、引き続きフォローしていく必要があるように私は思います。
米国FDAはファイザー社のワクチンにつづいて、モデルナ社が開発した新型コロナウイルスワクチンについて緊急使用許可を出したことを発表しました(2020/12/18)
これにより、ワクチン出荷がはじまり21日(月曜日)からモデルナ社が開発したワクチンの接種が開始となる見通しです。
FDAの外部専門家委員による投票の結果「化学的な根拠に基づき、18歳以上の人にこのワクチンを接種することで得られる利益はリスクを上回る」との結論が賛成多数となりました。
アメリカ政府は今月中に2000万回分を供給する見通しをあきらかにしています。
ファイザー社のワクチンもモデルナ社のワクチンも2回接種する必要があります。
ファイザー社:1回目の接種から21日間隔をあけて2回目を接種する
モデルナ社:1回目の接種から28日間隔をあけて2回目を接種する。
(私の大学生時代の記憶によると、ワクチン接種をしたマウスの体内に抗体ができるまでに3週間を要した記憶があるので、この21~28日というのは体内で抗体をつくるまでに必要な時間と考えます。2回目の接種をする目的は、抗体ができる確率をUPさせるためです)
ファイザー社・モデルナ社のワクチンはいずれも「mRNA」ワクチンと呼ばれる新しいタイプのワクチンです。
安全性については
ファイザー社:倦怠感(60%)、頭痛(55%)、筋肉痛(38%)、寒気(32%)などが報告されています。
モデルナ社:倦怠感(68%)、頭痛(63%)、筋肉痛(60%)、寒気(45%)などが報告されています。
また、ファイザー社のワクチンについては、イギリスで2人、アメリカで1人「アナフィラキシー」関連のアレルギーが報告されていますが、アナフィラキシーに関してはワクチンに限らず一定の割合で生じるアレルギー症状ですので、致し方ないと私は考えます。
FDAの見解によると、多くの国民がワクチン接種を行い「抗体」を獲得することで、国民としての「集団免疫」を獲得することができればコロナワクチンを収束できるとの考えを示しており、集団免疫には国民の6~7割が「抗体」を獲得する必要があるとしています。
日本国内のコロナウイルスワクチン新着状況
ファイザーが開発している新型コロナワクチンについて、2020年12月18日、ワクチンの承認を厚生労働省に申請したことをうけて、政府は2021年2月までに承認することを念頭に審査を急ぐ方針であることを開示してます。
今回の承認申請に関しては海外で実施した最終段階の治験データが提出されています。海外製のワクチンでも人種が異なる日本人への安全性・有効性を確認するため、国内での治験データの取りまとめに時間がかかることを考慮して、厚生労働省は海外データを取り急ぎ提出するよう求めています。海外データの審査を先行して行い、国内で行われている治験データを後で審査するという異例の対応をとる方針ということです。
ロンドン時事の発表では、英国で2020年12月8日から新型コロナウイルスワクチンの接種が始まったことが報道されました。
英国保健相のハンコック氏は、この日をワクチンVaccineの頭文字から「Vデー」と呼び、戦勝記念日になぞらえました。
米国ファイザー社の新型コロナウイルスワクチンは英国内の50か所の病院にて接種が開始され、感染した際のリスクが高いとされる80代以上の高齢者、高齢者介護施設の入居者や職員が対象とされました。その後、対象者については徐々に年齢が引き下げていく予定、医療従事者への接種を予定しているということです。
米国ウォールストリートジャーナルによると、ファイザー社が製造開発を行っている新型コロナウイルスワクチンの2020年12月供給量について、当初計画としていた最大1億回分から5000万回へ半減させたと報じました。要因としては有効性を確認するための臨床試験に時間がかかったことや、原材料の調達に課題があるためとしています。
2021年以降については、計画通り13億回分の供給は予定通り生産できるとしており、日本政府関係者は「日本への供給は問題ないと考えられる」としています。
モデルナ社が開発している新型コロナワクチンの供給については、2021年以降の予定量として、1~3月までに1~1億2500万回分、2021年中の予定量トータルとして5~10億回分との見通しを発表しています。
米国モデルナ社は開発中の新型コロナウイルスワクチン「mRNA-1273」について2020年11月30日に米国FDA、欧州EMAに申請することを発表しました。
米国では緊急使用許可を申請する計画であり、12月17日にも審議される見通しです。欧州では条件付き承認での申請をするということです。
モデルナ社の新型コロナウイルスワクチンは2回のワクチン接種を行う製剤であり、2回目投与から2週間後の予防効果を94.1%と公開しています。
臨床第三相試験における重症例は発症しておらず、有害事象としては注射部位の痛み・紅斑、倦怠感、関節痛、頭痛などが報告されています。
厚生労働省はモデルナ社・武田薬品との3社契約を結んでおり、開発成功した場合は2021年前半から5000万回分(2500万人分)が供給される予定としています。
アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同研究開発している新型コロナワクチンについて疑問の声が上がっています。
これまでに以下の2つの臨床結果が公開されておりました。
①最初に半量接種、1カ月後に全量摂取した場合の予防効果90%(被験者2741例)
②1カ月以上の間隔をあけて全量ワクチンを2回接種した場合の予防効果62%(被験者8895例)
上記2つの臨床試験の平均値として有効性が70%と公開しているわけですが、米英の専門家らの調査により、①の治験参加者の年齢が重症リスクの低い55歳以下だったこと明らかとなりました。
また、2つの異なる治験結果の平均値として70%(加重平均で考えると有効性は68.6%です)とうたっていますが、異なる治験結果を混ぜて公開することにも疑問の声が上がっています。
これらを受けて、アストラゼネカ社のCEOパスカル・ソリオ最高経営責任者が追加調査を行う考えを示しました。
アストラゼネカ社の新型コロナワクチンは、保管温度が容易であることと、日本政府との間で1億2000万回分(6000万人ぶん)の供給を受けることが約束されている製品であるため、予防効果があるのであれば、流通面において有益な薬剤であることに変わりはありません。
一般的なインフルエンザ予防接種による有効性は70%(接種しなかった者と比較して摂取した者の発病率(リスク)が相対的に70%減少した)という解釈ですので、アストラゼネカ社の新型コロナワクチンの有効性とだいたい同じです。そのため、有効性70%が低いということはないと私は感じております。
(ファイザー社・モデルナ社が開発しているワクチンの有効性95%が驚異的です)
アストラゼネカ社の新型コロナワクチンの作用機序(ウイルスベクターワクチン)とファイザー社・モデルナ社の新型コロナワクチン(mRNAワクチン)の違いについて私の認識を記します。
アストラゼネカ社の新型コロナワクチン:ウイルスベクターワクチン
アデノウイルスという風邪症状を呈するウイルスがいます。このウイルスの一部に「新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を作り出すDNA」を組み込みます。このように製造したアデノウイルスを注射すると、アデノウイルスが体内の細胞に入り込み(感染するといいます)、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質部分の複製を開始します。これにより体内で作られた「スパイクタンパク質」がヒトの抗体に”異物(抗原)”として認識され、新型コロナウイルスに対する免疫を獲得することができます。一方で、同時にアデノウイルスにも感染しますので発熱・風邪の症状を呈することがあります。
ファイザー社・モデルナ社の新型コロナワクチン:mRNAワクチン
アストラゼネカ社の新型コロナワクチンは実際の新型コロナウイルスのDNAを使用しているのに対して、ファイザー社・モデルナ社のmRNAワクチンは「mRNA」部分を人工合成して作られた製剤です。インターネット技術の進化により、ウイルスの遺伝子情報は容易に入手することが可能であり(新型コロナウイルスはRNAウイルスです)、入手したデータから短期間のうちにワクチン製造開発が可能となる利点があります。
人工的に作られたmRNAを脂質ナノ粒子などで覆うことで血漿中で分解されることを予防し、生体内で”異物”と認識されないようにmRNAを修飾して、ヒトの細胞内へ送り込むようなイメージです。アデノウイルスのようにDNA断片を注入する方法は、ヒトのDNAに間違って組み込まれた場合に重大な副作用を引き起こす可能性がゼロではないという心配がありいますが、mRNAワクチンはヒトのDNAに組み込まれることはないため、遺伝子組み換えに伴う重症化が起こりえません。
一方で、mRNAワクチンという言葉ができて日が浅く、実際に医薬品として使用された実績はありません。また上記のような構造をしている薬であるため、保管にはマイナス70度(モデルナ社はマイナス20度)という条件が必要となるため、世界的に普及させるためには流通面が一つの課題となりそうです。
2020年11月25日までの新型コロナワクチン関連の有効性および保管温度についてまとめます。
ファイザー社:有効性95.3%、保管温度マイナス70度以下
モデルナ社:有効性94.5%、保管温度マイナス20度以下
アストラゼネカ社:有効性70%、保管温度は通常の冷蔵条件でなくても問題なし
FDAに承認申請をした順番的にファイザー社の新型コロナワクチンがまず初めに使用されていくことになると思いますが、その際に問題となる「マイナス70度以下での保管」について厚生労働省の正林督章健康局長は医療機関で適切に保管管理できるよう冷凍庫の確保について以下のように言及しました。
・マイナス70度程度で保管できる冷凍庫3000台を確保する(ファイザー社の新型コロナワクチン保管用)
・冷凍庫7500台も確保する(モデルナ社の新型コロナワクチン保管用?)
・保冷ボックスおよびドライアイスを確保する
参院厚生労働委員会にて上記の回答をしていますので、実際にファイザー社の新型コロナワクチンが市場に流通した後も、全国の医療機関にて保管・投与が可能となる見通しです。
2020年11月23日、英国アストラゼネカ社は新型コロナウイルスワクチン候補「AZD1222」についての中間解析結果を公開しました。英国アストラゼネカ社は2つの異なる接種計画で治験を実施しており、その平均予防効果は70%と報告しています。
①最初に半量接種、1カ月後に全量摂取した群
被験者2741例を対象として、最初にAZD1222の半量を接種し、1カ月後に全量を接種した群における予防効果は90%でした。
②全量ワクチン2回接種群
被験者8895例を対象しとして、1カ月以上の期間をあけて、全量ワクチンを2回接種した群における予防効果は62%でした。
上記2つの治験はいずれ後継学的に有意差があります。
2つの投与計画を平均した場合、英国アストラゼネカ社が開発しているAZD1222による予防効果は70%程度です。
このワクチンの優れている点は「通常の冷蔵条件でなくても6か月間保管、輸送、取り扱いが可能である」点です。
ファイザー社が開発しているワクチンはマイナス70度以下で最大半年間保管が可能、2~8℃では5日間保管が可能
モデルナ社が開発しているワクチンはマイナス20度以下で最大半年間保管が可能、2~8℃で30日間保管が可能
アストラゼネカ社が開発しているワクチンは、ファイザー社、モデルナ社が開発しているワクチンと比較して、有効性は劣るものの保管・管理が容易であるという利点があるようです。
米国ファイザー社が開発している新型コロナウイルスワクチンについて、FDA(米国食品医薬品局)へ数日以内に緊急使用許可を申請する計画であることを発表しました。最終段階の臨床試験で95%の感染予防の効果があったことを確認したとしています。
4万4000人が参加した治験によると、170例が新型コロナに感染し、そのうち162例が偽薬を投与した参加者であったとしています。(ワクチン投与者は8例のみ)。そのうち重症化例は10例です(ワクチン投与者のうち重症化例は1例)
ワクチン使用と非使用者の割合を計算すると
162÷170×100=95.3%
ファイザー社の新形コロナウイルスワクチンを接種することで95.3%の割合で有効であることをを示しています。
有害事象
倦怠感:3.8%
頭痛:2%
米国バイオ医薬品のモデルナ社は2020年11月16日、開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床第3相試験の中間解析結果を公開し、有効性は94.5%であることを開示しました。
モデルナ社開発の新型コロナウイルスワクチンは2回のワクチン接種を行う製剤です。新型コロナワクチンまたはプラセボを2回投与し、2回目の投与から2週間後に新型コロナウイルス感染症と確定診断をうけた95例を対象とした中間報告を解析した結果、コロナに感染していたのはプラセボ群で90例であったのに対し、モデルナ社のワクチンを接種した群では5例にとどまっていたという結果です。有効性は94.5%で統計学的に有意差あり。
有害事象(副作用)
注射部位反応:2.7%
倦怠感:9.7%
筋肉痛:8.9%
関節痛:5.2%
頭痛:4.5%
痛み:4.1%
注射部位の紅斑:2.0%
重篤な安全性に関する懸念は認められていません。
モデルナ社はこの結果を受けて、数週間以内に米FDAに緊急使用許可を申請することを目指しています。
この臨床試験には米国で3万人をこえる方が参加しています。
モデルナ社が開発している新型コロナワクチンの日本国内の流通予定については、厚生労働省が、2020年10月29日、武田薬品・モデルナ社と3社契約を結んでおり、開発に成功した場合は2021年前半から2500万人分が共有される予定としてます。
ファイザーは2020年11月9日、新型コロナウイルスワクチンの第三相試験の中間解析結果を開示し、90%を超える予防効果があることを発表しました。
ファイザーが開発を進めているmRNAワクチン「BNT162b2」はmRNA構造と標的となる抗原のユニークな組み合わせを有しいてるワクチンです。
新型コロナ感染予防のために2回接種するタイプのワクチンで、現在までに全世界で3万8955人が2回目の接種を受けています(2020年11月8日時点)
ワクチンを接種した群とプラセボ群(接種していない群)に振り分けて、安全性、免疫応答、有効性について検証を進めた中間解析結果では、ワクチン接種群で90%超えの予防効果を示したことを開示し、これまでに重篤な安全性の懸念は報告されていません。ワクチン接種開始から28日後まで予防効果が維持されることを開示しています。
ファイザー社は、11月第3週以降には安全性データがそろうことうけて、米国FDAに緊急使用許可を申請する方針としています。
(日本国内では現在、第1/2相試験を行っています)
追記:2020年10月21日
ファイザーは新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチン開発に関して、日本国内での第1/2相試験を開始したことを発表しました。
試験は20~85歳の健常人(日本人)160人を対象としており、75%:25%の比率でワクチン接種群:プラセボ群に分けてワクチンの安全性・忍容性・免疫原性を評価するとしています。
ファイザーが開発しているワクチンは2回接種を行うタイプです。(21日間隔で2回接種)
国際共同第2/3相試験は、ドイツ・米国・ブラジル・アルゼンチンなど最大120の治験実施施設で4万4000人を対象に実施されています。
追記:2020年9月6日
ファイザーはツイッター上で、新型コロナウイルスワクチン候補の第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験にて6000人が2回目の接種を受けたことを公開しました。
さらに開発中のワクチンについて、現在行われている臨床試験の効果があると判断されれば、10月中にもFDAに対して使用許可や承認を申請する方針を明らかにしました。
アストラゼネカと同様にファイザーも新型コロナウイルスワクチンを開発しており、国は2021年6月までに1億2000万回ぶん(6000万人ぶん)のワクチンを供給する予定としています。ファイザーが開発しているワクチンは現在、第3相試験に入っており2020年10月の承認を目指すとしています。臨床試験の報告によると、18~55歳までの被験者45人を対象に行われたデータですが、ワクチン接種から21日後に、すべての被験者で新型コロナウイルスに対する抗体が検出されたことに加えて、ウイルスのはたらきを弱める中和抗体の量が上昇することも確認されています。検出された中和抗体の量は、新型コロナウイルスに感染して回復した人の血液から検出された量の1.9~4.6倍と報告しています。
副作用:接種した人の半分以上で頭痛などの体調変化あり。(深刻な副作用はなし)
2020年10月13日、新型コロナウイルスワクチンの開発を行っている製薬会社ジョンソンエンドジョンソンは、臨床試験の参加者に原因不明の症状がでたため臨床試験を一時中断したことを明らかにしました。
ジョンソンエンドジョンソン製の新型コロナウイルスワクチンは現在、世界各国で6万人を対象として、第三相試験を行っており、日本国内でも20歳~55歳までと、65歳以上の高齢者を合わせて250人を対象とした臨床試験が行われておりましたが、10月13日から一時中断となっています。(日本国内ではヤンセンファーマが対応しています)
ジョンソンエンドジョンソン製の新型コロナウイルスワクチンは1回の接種で効果があることが期待されているワクチンです。
他社の動向としては、アストラゼネカが開発を行っている新型コロナウイルスワクチンは、日本国内においては臨床試験が再開されましたが、米国では依然として臨床試験は停止されたままです。
また、イーライリリーは2020年10月7日に米国食品医薬品局(FDA)に新型コロナ患者へ投与するためのモノクロナール抗体薬「LY-CoV555」について、潜在的な安全上の懸念が生じたとして臨床試験を一時中断していることを発表しました。
英国で深刻な有害事象(横断性脊髄炎?)が生じたために治験が中断となっていたアストラゼネカ製の新型コロナウイルス第1/2相試験が10月2日に再開されたことが発表されました。日本ではすでに99人にワクチンが接種されているが、重大な副作用報告はありません。日本国内の治験については、2020年8月下旬から第1/2相試験が開始されており、同じ被験者が2回接種し、250例を対象としていました。しかし、英国での有害事象が発生したために治験がいったん中断されていました。
他の諸外国については、英国に加えて、ブラジル、南アフリカ、インドでも試験再開が可能と判断されています。
アストラゼネカが開発を続けている新型コロナウイルスワクチンの治験中に英国の被験者1名で重大な副作用がでたため一時開発が中断したニュースが2020年9月14日に報道されました。その後、英国での治験は再開されたものの、その他の国では治験再開とは至っていません。
2020年9月30日、米国FDAはアストラゼネカ製新形コロナウイルスワクチンによる深刻な副作用とみられる症状について調査範囲を拡大し、このワクチンを開発した研究者が開発した同様のワクチンの治験データでも副作用の有無を調べる方針を明らかにしました。
2020年9月14日時点では、深刻な副作用に関する情報は開示されていませんでしたが、この被験者は脊髄に炎症が生じる「横断性脊髄炎」とみられる症状であることが明らかとなりました。
横断性脊髄炎とは
背中が突然痛くなったり、足がしびれたりする症状です。脊髄の特定の部分が炎症を起こし、神経障害が起こります。炎症発作により神経細胞を覆っているミエリンが損傷し、神経に傷がつくことで、脊髄からの指令が手足へ行き届かなくなるため症状を呈します。具体的な原因はわかっていませんが、免疫疾患・ウイルス感染・血流不足などが要因と考えられています。症状が急速に進むと、下肢の麻痺、尿閉などの重度な症状へ進んでいきます。
2020年10月1日、政府は新型コロナワクチンの接種に関して、費用負担を求めず全員無料とする方針を固めました。できるだけ多くの人に接種してもらい重症者や死亡者を抑制するうことが目的です。新型コロナウイルスワクチン接種は市町村が主体となって実施するとしています。
追記:2020年9月14日
アストラゼネカは9月12日、全世界で一時中断していた新型コロナウイルス感染症ワクチン「AZD1222」について、英国での臨床試験再開を発表しました。
全世界でワクチン接種が一時的に中断されていましたが、英国の医薬品・医療製品規制庁が安全性に関する調査を終了し、安全性が確認されたことから英国での再開を発表しました。
英国で発生した1件の深刻な有害事象については公開されておらず、臨床試験のスポンサーであるアストラゼネカ社は「これ以上の医療情報を開示することはできない」としています。
アストラゼネカ社が新型コロナウイルスワクチンの臨床試験再開を報告
尚、日本国内における治験再開については「検討中」ということです。
追記:2020年9月10日
アストラゼネカ社が開発を進めている新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の臨床試験中において「深刻な有害事象」が生じたため自主的に臨床試験を一時中断することを発表しました。
英国で行われているフェーズ3の臨床試験において1例に「深刻な有害事象」が生じたため、独立安全性委員会が因果関係などについて詳細に検討をすすめることになりました。
試験の一時的な中断については「説明できない疾患が生じた際に、通常講じる必要な措置」という認識であり、安全性の検証を経て試験再開が可能か判断する模様です。
2020年8月7日、アストラゼネカが開発したワクチン「AZD1222」について国内で1億2000万回分(6000万人ぶん)の供給を受けることで基本合意した。
アストラゼネカは2020年8月7日に、日本国内で第1/2相臨床試験を8月中に開始するとしています。(対象:健常人250人)
AZD1222は弱毒化されたアデノウイルスに新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝子を組み込んだ製剤です。(複製はできないように改良されています)。ワクチンを接種すると体内でスパイクタンパク質が作られ、ヒトの免疫系がスパイクタンパク質を異物ととらえて抗体を作成します。すると、実際に新型コロナウイルスが体内に入ってきたとしても、既にスパイクタンパク質の抗体を保有しているため、感染しない、または重症化しないという狙いがあります。
AZD1222はすでにアメリカや南アフリカでも人への投与が開始されており、ブラジルでは第3相臨床試験中です。日本国内での供給は2021年からを見据えており、3000万回ぶんが2021年1月~3月に供給される予定となっています。
これに伴い、新型コロナウイルスワクチン開発を行っている製薬会社9社はワクチン開発に際し、「安全性と接種する個人の健康を最優先する」という共同の見解を表明しました。
アイスランドの報告によると、新型コロナウイルス感染後、血中のIgG抗体は最初の6週間で増加しつづけ、感染確認から4か月間はその量を維持していたことが報告されました。
2020年9月8日、アンジェスは新型コロナウイルス感染症向けのDNAワクチンについて日本国内における第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始したことを発表しました。
大阪市立大学医学部付属病院において第Ⅰ/Ⅱ相試験(低用量群15例、高用量群15例)いずれも2週間隔で2回接種が6月末~8月中旬までの間に接種完了しています。
大阪大学医学部付属病院における第Ⅰ/Ⅱ相試験(用量は2mg群で、2週間隔で2回接種群10例、4週間隔で2回接種群10例、2週間隔で3回接種群10例)という3群に分けて臨床試験がおこなわれ、1回目接種から52週間のフォローを行い2021年9月30日までの試験期間を予定しています。