コロナワクチン接種後の解熱鎮痛剤カロナール錠が手に入らないことについて

コロナワクチン接種後の解熱鎮痛剤カロナール錠が手に入らないことについて

2022年7月30日、日本国内で新型コロナウイルス「オミクロン株BA.5」が猛威をふるっており、1日の新規感染者数が23万人、死亡者数は114人と報道されました。

BA5型オミクロン株に感染すると鼻水、喉の痛み、頭痛、咳、疲労感が症状として報告されています。

既存の株と比較して重症化リスクが高いかどうかに関しては、報告がなく経過が監視されている状態です。

そんな中、解熱剤を製造販売している「あゆみ製薬」がカロナール錠200mg、300mg、500mgに関して、2022年7月に入り、「これまでの3倍の需要が入ったため供給が間に合わない」ことが報道されました。

カロナール錠が出荷調整です。

acetaminophen-covid

新型コロナワクチン接種後の発熱疼痛に使い勝手がよく、頻回に処方されていた「カロナール錠(アセトアミノフェン製剤)」が手に入りにくい状態となり、医療現場・調剤薬局が困っています。

厚生労働省は「新型コロナワクチンQ&A」の中で

市販されている解熱鎮痛薬の種類には、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)などがあり、ワクチン接種後の発熱や痛みなどにご使用いただけます。(アセトアミノフェンは、低年齢の方や妊娠中・授乳中の方でもご使用いただけますが、製品毎に対象年齢などが異なりますので、対象をご確認のうえ、ご使用ください。)

と記しておりますので、新型コロナワクチン接種後の発熱疼痛に関しては、カロナールじゃなくてもロキソニン(ロキソプロフェン)でもブルフェン(イブプロフェン)でもいいんですよね。

 

 

ですので、NSAIDSを飲めない方、妊婦の方、小児、腎機能障害がある方を優先してカロナール錠・アセトアミノフェンを使用・購入できる状態を国が先導して構築してほしいと現場は考えています。

 

カロナール200mgまたはアセトアミノフェン200mgを製造販売しているメーカーは以下の9社がありますが、おそらくどのメーカーも対応に追われていると思われます。

200mg製剤は、錠剤をのむことができる20kg以上のお子さんに処方されることがあります。または大人に対して1回2錠で処方されることもあります。

200mg製剤は上記の利用価値があるため複数メーカーが製造販売しているんですよ。

カロナール錠200 錠  あゆみ

アセトアミノフェン錠200mg「三和」 錠  三和化学
アセトアミノフェン錠200mg「タカタ」 錠  高田
アセトアミノフェン錠200mg「JG」 錠  長生堂
アセトアミノフェン錠200mg「TCK」 錠  辰巳
アセトアミノフェン錠200mg「武田テバ」 錠武田テバ
アセトアミノフェン錠200mg「トーワ」 錠 東和
アセトアミノフェン錠200mg「マルイシ」  丸石
アセトアミノフェン錠200mg「NP」 錠  ニプロ

一方で、カロナール300mg(アセトアミノフェン300mg)を製造販売しているメーカーは以下の3社だけです。

一般的には鎮痛剤、頭痛薬、風邪薬としての使用価値として処方されますが、漫然と投与されるタイプの薬ではないため、使用価値は限られます。

カロナール錠300 錠  あゆみ
アセトアミノフェン錠300mg「JG」 錠  長生堂
アセトアミノフェン錠300mg「マルイシ」 錠  丸石

カロナール500mg(アセトアミノフェン500mg)を製造しているメーカーは以下の2社だけです。整形外科領域で使用されるイメージです

カロナール錠500 錠  あゆみ
アセトアミノフェン錠500mg「マルイシ」 錠  丸石

新型コロナワクチン接種が始まる前までは、アセトアミノフェン製剤の使用意図は限定されていましたので、「手に入らない!」なんてことはなかったのです。そのため販売するメーカー数も限られておりました。現状を理解して「カロナール錠の取り合い」とならないことを望みます。

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業