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目薬の適宜増減は滴数ではなく回数をふやすこと:自分まとめ

目薬の適宜増減は滴数ではなく回数をふやすこと:自分まとめ

クラビット点眼液の用法は1回1滴、1日3回点眼する。尚、症状により適宜増減する。

ベガモックス点眼液の用法も1回1滴、1日3回点眼する。尚、症状により適宜増減する。

ガチフロ点眼液の用法も1回1滴、1日3回点眼する。尚、症状により適宜増減する。

 

と記載されています。この場合の適宜増減の意味とはなんでしょうか?

1回1滴のところを、1回2滴にする?

それとも1日3回のところを1日6回まで増やしてよい?

適宜増減の解釈に戸惑ったことはありませんか?

 

この回答は「回数を増やす」が正解です。

クラビット点眼液のインタビューフォームには国内第三相試験の結果として

細 菌 性 結 膜 炎 あるいは細 菌 性 角 膜 炎 患 者 ( 238 例 ) を対 象 に、1.5% レボフロキサシン点 眼 液 を 1 回 1 滴 、1 日 3回

( 細 菌 性 角 膜 炎 患 者 は症 状 に応 じて 1 日 3~ 8 回 の間 で適 宜 増 減 )

 

という記載があります。

 

ベガモックス点眼液のインタビューフォームを見てみると

角膜感染症に対する第Ⅲ相試験(C-06-25 試験)では、早期に集約的な治療を要する場合、点眼回数を増量することも有効であることが示された。その他の外眼部疾患においても症状の重症度に応じて点眼回数を増減する必要性を鑑み、症状により適宜増減するとした。

 

という記載があります。

 

同様にガチフロ点眼液のインタビューフォームを確認してみると

「症状により適宜増減する」ことについて
通常、角膜炎(角膜潰瘍を含む)は結膜炎より重症化している症例が多いことから、既
存のキノロン系抗菌点眼液においては臨床の現場で点眼回数を増やして治療されている。

本剤においても角膜炎(角膜潰瘍を含む)を対象とした一般臨床試験では、点眼回数を
症状に合わせて1日最大8回まで増加することを可能とし実施した。その結果、3回5
例、6回2例、8回1例の頻回点眼の症例があり、症状が緩和すれば点眼回数を減らす
ことも行われた。

 

という記載があり、点眼液に関しては、適宜増減という文言は回数を増やすことを意味することが伺えます。

 

また、実際の使用感という観点からも考えてみますと、

 

目薬1滴に含まれる液量は50μl程度であり、結膜嚢(眼球の表面にある袋)に入れることができる液量は約30μLであることから、目薬1滴で十分、眼球表面を満たすわけですね。つまり、1滴でを目にいれれば十分なんですね。そのため1回2滴を使用したところで、眼に点眼液全量をおさめることはできず、溢れてしまうだけなんですね。

 

というのが、使い勝手から考えた解釈です。いずれにしても適宜増減と記載されている点眼液は、使用回数に幅を以て使うことができると解釈して良さそうです。

 

尚、今回ご紹介した点眼薬以外にも

ヒアレイン点眼液やサンコバ点眼液、フルメトロン点眼液やマイティア点眼液の用法にも「適宜増減」とう文言は記載されていましたが、これらの目薬に関しては、インタビューフォームをくまなく見渡しても、「適宜増減」の具体的な解釈は記されていませんでした。

megusuri

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業

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ojiyaku