〜間質性膀胱炎と閉経後性器尿路症候群について〜
50代の女性の中には、「頻尿(トイレが近い)」「排尿痛(おしっこをするときに痛い)」などの症状に悩んでいる方が少なくありません。病院で「膀胱炎」と診断され、抗生物質(抗菌薬)を飲んでも、なかなか治らない…。そんなとき、「もしかして複雑性膀胱炎?」「別の病気では?」と不安になる方もいます。
間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん)は、膀胱の中にばい菌がいないのに、痛みや違和感が続く病気です。
はっきりした原因はまだわかっていません。でも、膀胱の粘膜が弱くなって、尿の中の成分がしみて痛みを起こしていると考えられています。アレルギーや免疫の異常が関係している可能性もあります。
「閉経後性器尿路症候群(へいけいごせいきにょうろしょうこうぐん)」というのは、女性が閉経(生理が終わること)を迎えたあとに、体の中のホルモンが減ることで起こる、膀胱や尿道、陰部(デリケートゾーン)のトラブルのことです。
女性の体には「エストロゲン」という女性ホルモンがあります。このホルモンは、肌や髪だけでなく、**膀胱や尿道、膣(ちつ)の粘膜をうるおしたり、守ったりする働きがあります。
でも、閉経するとこのホルモンが急に少なくなってしまうんです。すると、粘膜がうすくなって乾燥し、ばい菌に弱くなったり、炎症(えんしょう)を起こしやすくなったりします。
この病気になると、次のような症状が出ることがあります:
これらの症状は、膀胱炎とよく似ているので、最初は「普通の膀胱炎かな?」と思ってしまうこともあります。でも、ばい菌が原因ではないので、抗生物質だけでは治らないことが多いんです。
この病気の治療では、ホルモンの減少による変化に対して、体をサポートする方法をとります。
この病気は、年齢や体の変化に気づくことが大切です。「膀胱炎が何度も再発する」「抗生物質が効かない」「陰部が乾燥してかゆい」などの症状があるときは、泌尿器科や婦人科で相談してみましょう。
膀胱炎と聞くと「ばい菌が入ったから抗生物質で治す」と思いがちですが、間質性膀胱炎や閉経後性器尿路症候群は、ばい菌が原因ではないことが多いです。
「膀胱炎が治らない」「何度もくり返す」「抗生物質が効かない」…そんなときは、間質性膀胱炎や閉経後性器尿路症候群の可能性を考えてみましょう。
どちらも、見た目は「膀胱炎」と似ていますが、原因も治療法も違います。正しく診断されれば、症状をやわらげる方法はたくさんあります。
もしあなたや身近な人が、こうした症状で悩んでいたら、泌尿器科や婦人科で相談してみてくださいね。年齢や体の変化に合わせたケアが、快適な毎日につながります。