cough
「咳が長く続く」「夜になるとゼーゼーする」「風邪をひくとすぐに呼吸が苦しくなる」——そんな症状があると、医師から「喘息の可能性があります」と言われることがあります。特にアレルギー体質の子どもでは、気道(空気の通り道)が敏感になっていて、ちょっとした刺激でも炎症が起きやすくなっています。
そこで登場するのが「モンテルカスト」という薬です。モンテルカストにはチュアブル(かみくだくタイプ)と細粒タイプがあり、毎日飲むことで症状を予防します。でも、「どうして毎日飲むの?」「どんな働きをするの?」と疑問に思う方がおられるかもしれません。
この記事では、モンテルカストのしくみや効果の持続時間、そして似た薬である「プランルカスト」との違いについて、記載いたします。
モンテルカストは「ロイコトリエン受容体拮抗薬(きっこうやく)」という種類の薬です。ちょっと難しい言葉ですが、ポイントは以下の通りです。
つまり、モンテルカストは「アレルギーによる気道のトラブルを未然に防ぐ薬」なのです。
モンテルカストは、1日1回の服用で効果が持続します。これは、薬が体の中で長く働く性質を持っているからです。
特に夜間や早朝に症状が出やすい子どもには就寝前に飲むことで、夜間の発作を防ぐ効果が期待できます。
ただし、半減期といって血液中のモンテスカストの濃度が半分になるまでの時間が4時間程度という特徴があるため、例えば1月1日の夜9時にモンテルカストを1錠飲んでその時の血液中の濃度を100とした場合、24時間後の1月2日の夜9時の時点では血液中のモンテスカストの濃度は1.5%にまで減少してしまいます。
例えばの話ですが、半減期が36時間(アムロジピン)と長い薬の場合は、1にくらい薬を飲み忘れても、前日に服用した薬の効果が持続するケースもあるのですが、モンテスカストの場合は、飲んだ日は薬が効くけれども、飲み忘れてしまうと前日に飲んだ薬の効果は持続しない(飲み忘れたら、効き目はない)という薬です。
難しい言葉でいいますとモンテスカストには「定常状態がない」ともいえます。
モンテルカストには「細粒タイプ」と「チュアブルタイプ」があります。
タイプ | 特徴 | 対象年齢の目安 |
---|---|---|
細粒 | 水やジュースに混ぜて飲める | 1歳以上6歳未満 |
チュアブル | かみくだいて飲む、そのまま飲む 甘い味付き | 6歳以上15歳未満 |
どちらも成分は同じですが、飲みやすさや年齢に応じて使い分けられます。
モンテルカストと同じく、ロイコトリエンをブロックする薬に「プランルカスト」があります。両者の違いを簡単にまとめると以下の通りです:
項目 | モンテルカスト | プランルカスト |
---|---|---|
服用回数 | 1日1回 | 1日2回(朝・夕) |
効果の持続時間 | 約24時間 | 約12時間 |
味・剤形 | 細粒・チュアブルなど | 顆粒・カプセル |
小児への使いやすさ | 飲みやすく、服用忘れが少ない | 味が苦手な子もいる |
保険適用・処方傾向 | 小児喘息やアレルギー性鼻炎に広く使われる | 同様に使われるが、やや処方頻度は少なめ |
モンテルカストは1日1回で済むため、服用忘れが少なく、特に小児には使いやすいというメリットがあります。一方で、プランルカストは1日2回必要ですが、医師によっては「朝と夕方にしっかり効かせたい」と考えて処方することもあります。
また、一番の特徴として、モンテスカストは空腹で使用すると吸収率が良い反面、食後に飲むと10~15%ほど吸収率が低下することが報告されています。
一方、プランルカストはその逆で、食後に服用することで吸収率がよいのですが、空腹で使用すると30~35%も吸収率が低下してしまうという特徴がありますので注意してください。
モンテルカストは「症状が出てから飲む薬」ではなく、「症状が出ないようにする薬」です。毎日続けることで、気道の炎症を抑え、発作の回数や重症度を減らすことができます。
副作用は比較的少ないですが、まれに「眠気」「腹痛」「気分の変化」などが報告されることがあります。気になる症状があれば、医師に相談してください。
また、薬だけでなく、生活環境の見直し(ハウスダスト対策、花粉の季節の注意など)も大切です。薬と環境の両方から、子どもの呼吸を守っていきましょう。