平成30年度調剤報酬改定における個別改定項目案が開示されました。
要点
・調剤基本料が5種類の点数に集約される
・後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局に対する調剤基本料の減算規定を設ける
・基準調剤加算が廃止され、地域支援体制加算として新設される
・服用薬剤調整支援料が新設される
・手帳を持参した患者の割合が○割以下の場合は減算措置が設けられる
・重複投薬・相互作用等防止加算の算定要件が条件分岐される
・服薬情報等提供料が条件分岐される
・分割調剤の具体的な取扱いが明記される
薬剤師のためのe-ラーニング「MPラーニング」の仕様についての個人的感想
以下に調剤薬局関連の項目を記載します。
概要
調剤基本料1
調剤基本料2:大型門前薬局への減算(処方箋回数と集中率より)
調剤基本料3-イ:大手調剤チェーンに対する減算(処方箋受付回数合計が〇回以上△回以下)
調剤基本料3-ロ:大手調剤チェーンに対する減算(処方箋受付合計が◇回以上)
特別調剤基本料:敷地内薬局
以下本文
② 同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋を含めた受付回数が一定数を超える場合。
(5) 特定の医療機関との不動産取引の関係がある等のいわゆる同一敷地内薬局に対する評価を見直す。
2.保険薬局の調剤基本料について、簡素化も考慮し、未妥結減算及び薬剤師のかかりつけ機能に係る業務を実施していない場合の減算を統合する。
[施設基準]
・調剤基本料1
調剤基本料2、調剤基本料3のイ、調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当しない保険薬局であること
・調剤基本料2
イ 以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし調剤基本料3のイ、調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
①(略)
② 処方箋の受付回数が1月に2,000回を超えること(特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が○割を超える場合に限る。)
③ 特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(当該保険薬局の所在する建物内に複数保険医療機関が所在する場合にあっては、当該保険医療機関からの処方箋を全て合算した回数とする。)が月 4,000回を超えること
④ 特定の保険医療機関に係る処方箋の受付回数(同一グループに属する他の保険薬局において、保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が最も高い保険医療機関が同一の場合は、当該他の保険薬局の処方箋の受付回数を含む。)が月○回を超えること
・調剤基本料3のイ
同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に○回を超えて、○回以下のグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし、調剤基本料3のロ又は調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
・調剤基本料3のロ
同一グループの保険薬局における処方箋受付回数の合計が1月に○回を超えるグループに属する保険薬局のうち、以下のいずれかに該当する保険薬局。ただし、調剤基本料の注2の(1)に該当する保険薬局を除く。
① 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が○割を超える保険薬局
[調剤基本料注1のただし書きに規定する施設基準]
(1) 次のすべてに該当する保険薬局
であること。
イ 「基本診療料の施設基準等」(平成 20 年厚生労働省告示第 62号)の別表第六の二に規定する地域に所在すること。
ロ 当該保険薬局が所在する特定の区域内において、保険医療機関数(歯科医療を担当するものを除く。)の数が○以下であって、許可病床の数が○床以上の保険医療機関が存在しないこと。ただし、特定の保険医療機関に係る処方箋の調剤割合が○割を超える場合であって、当該保険医療機関が特定区域外に所在するものについては、当該保険医療機関を含むものとする。
ハ 処方箋受付回数が一月に○回を超えないこと。[調剤基本料注2に規定する厚生労働大臣が定める保険薬局]次のいずれかに該当する保険薬局であること。
(1) 病院である保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有している保険薬局であって、当該病院に係る処方箋による調剤の割合が○割を超えること。
(2) 調剤基本料1、2、3のイ及び3のロのいずれにも該当しない保険薬局
[調剤基本料の注3に規定する保険薬局]次のいずれかに該当する保険薬局であること
(1) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告し、妥結率が○割以下であること。
(2) 当該保険薬局における医療用医薬品の取引価格の妥結率、単品単価契約率及び一律値引き契約に係る状況について、地方厚生局長等に定期的に報告していない保険薬局であること。
(3) 薬剤師のかかりつけ機能に係る基本的な業務を1年間実施していない保険薬局。ただし、処方箋の受付回数が1月に○回以下の保険薬局を除く。
2.後発医薬品の調剤数量割合が著しく低い薬局に対する調剤基本料の減算規定を設ける。
後発医薬品の調剤に関して、別に厚生労働大臣が定める薬局において調剤した場合には、所定点数から○点を減算する。ただし、処方箋の受付回数が1月に○回以下の保険薬局を除く。
[施設基準]
調剤基本料の注6に規定する厚生労働大臣が定める保険薬局
次のいずれかに該当する保険薬局であること。
(2) (1)に係る報告を地方厚生局長等に報告していない保険薬局であること。
2.上記1.と併せて患者の同意取得の様式を整備する。
3.処方箋受付回数及び特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤割合に基づく調剤基本料の特例対象の薬局について、かかりつけ薬剤師指導料等の一定の算定実績がある場合に特例対象から除く取扱いを廃止する。
(保険薬剤師1人当たり月100回以上で特例除外という要件がなくなりました)
4.かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準について、当該保険薬局における在籍期間の要件等を見直す。
当該保険薬局に週 32時間以上( 32時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険薬局において、育児・介護休業法で定める期間は週○時間以上かつ週○日以上である場合を含む。)勤務している。
既存で3割程度の保険薬局が算定している基準調剤加算が廃止され、新たに「地域支援体制加算」として新設されます。算定要件の具体的な実績がどの程度となるかについては空欄となっております。
[施設基準]
(1) 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。
(2) 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。
(3) 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供していること
(4) 一定時間以上開局していること。
(12) 区分番号 00 の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局につい
ては、下記の基準を全て満たすこととし、(1)を適用しない。
① 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
② 在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
③ かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
※ 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績の基準1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。
① 夜間・休日等の対応実績 ○回
② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 ○回
③ 服用薬剤調整支援料の実績 ○回
④ 単一建物診療患者が 1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 ○回
⑤ 服薬情報等提供料の実績 ○回
⑥ 麻薬指導管理加算の実績 ○回
⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 ○回
⑧ 外来服薬支援料の実績 ○回
~薬局における対人業務の評価の充実~
1.薬剤総合評価調整管理料を算定する医療機関と連携して、医薬品の適正使用に係る取組を調剤報酬において評価する。
新設)服用薬剤調整支援料
[算定要件]
6種類以上の内服薬(特に規定するものを除く。)が処方されていたものについて、保険薬剤師が文書を用いて提案し、当該患者に調剤する内服薬が○種類以上減少した場合に、月1回に限り所定点数を算定する。
注)「6月以内に再度処方箋を持参した患者のうち、手帳を持参した患者の割合が○割以下」等の基準を設ける。
3.継続的な薬学的管理・指導等を推進するため、薬剤服用歴の記録に次回の服薬指導の計画を追加するとともに、かかりつけ薬剤師指導料、薬剤服用歴管理指導料等について評価を見直す。これに併せて、乳幼児に対する当該加算の評価を充実する。
4.重複投薬・相互作用等防止加算及び在宅重複投薬・相互作用等防止管理料について、残薬調整に係るもの以外の評価を見直す。
薬剤服用歴に基づき、重複投薬、相互作用の防止等の目的で、処方医に対して照会を行い、処方に変更が行われた場合は、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 残薬調整に係るもの以外の場合:〇点
ロ 残薬調整に係るものの場合:〇点
5.服薬情報等提供料について、保険医療機関の求めがあった場合の評価を見直す。
服薬情報等提供料1:○点(保険医療機関の求めがあった場合)
服薬情報等提供料2:○点(患者又はその家族等の求めがあった場合)
6.かかりつけ薬剤師による在宅対応を推進するため、無菌製剤室の共同利用などの評価を見直す。
7.対物業務から対人業務への構造的な転換を進めるため、内服薬の調剤料を見直す。
~分割調剤の具体的な取扱い~
[分割調剤に係る留意事項]