米国におけるインフルエンザによる小児の死亡率

米国におけるインフルエンザによる小児の死亡率

2010年月から2016年9月までの期間、米国に置いてインフルエンザにより亡くなった小児に関するデータが報告されました。

2010年10月〜2016年9月までの6年間におけるインフルエザ関連小児死亡者数は675名で、年平均死亡率は子供10万人あたり0.15人の死亡率となっています。

6ヶ月未満の小児は死亡率が最も高く10万人あたり0.66人の死亡率となっており、生後6ヶ月〜23ヶ月の小児の死亡率が0.33人と報告しています。

インフルエンザワクチン摂取率について

米国におけるインフルエンザによる小児の死亡率

米国では生後6ヶ月以上の乳児からインフルエンザワクチンの接種が可能です。(日本小児学会は1歳以上での接種を推奨しています。)
6ヶ月以上の年齢の子供のうち31%(477人中149人)がインフルエンザワクチン接種を受けていました。

インフルエンザワクチンの予防接種を行うと、6ヶ月以上の基礎疾患を持たない子供の場合は死亡リスクを3分の2に減少させ、基礎疾患を持つ子供の場合は死亡リスクが半減するという報告があります。また妊婦の予防接種は生まれてきた乳児の生後4〜6ヶ月の間におけるインフルエンザの発症率が減少することが示されています。

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亡くなった小児のうち65%は、インフルエンザ発症後7日以内に死亡しています。さらに小児の半数には基礎疾患はありませんでした。

細菌検査の結果362人の小児の検体からはβ溶血性連鎖球菌(19%)、黄色ブドウ球菌(17%)などが検出され、黄色ブドウ球菌の分離株の66%は抗生物質耐性菌であったと報告しています。インフルエンザに関連して亡くなった小児の13%は別のウイルスとの同時感染が報告されて、RSウイルスが40%と最も多く同定されています。

死亡前の合併症で最も多く報告されたのは肺炎(41%)で、次に敗血症またはショック(31%)、急性呼吸窮迫症候群(29%)と報告されています。

毎年インフルエンザに伴う小児死亡が報告されており、特に6歳未満の幼児で死亡率が高くなっているデータ報告を受けて、子供、妊婦、乳幼児の介護者はインフルエンザの予防接種を行うことを筆者らは推奨しています。

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業