漢方薬の自己負担引き上げ案に日本東洋医学会が反論

漢方薬の自己負担引き上げ案に日本東洋医学会が反論

 

内閣府の経済財政諮問会議、財務省の財政制度等審議会財制度分科会において一部の漢方薬を含む医薬品について、医療用医薬品でありながら市販薬としても販売されている医薬品に関する薬剤費のバランスについて2018年度末まで検討期限が設定されております。

医療保険制度関連の改革項目と改革工程表を確認してみると

 

~薬剤自己負担の引き上げ~

 

薬剤自己負担の引き上げについて、市販薬と医療用医薬品との間の価格バランス、医薬品の適正使用の促進等の観点を踏まえつつ、対象範囲を含め幅広い観点から、引き続き関係審議会等において検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる(2018年度末まで)

 

としるされております。

日本東洋医学会が漢方薬の自己負担率引き上げに反論

財務省による社会保障にについての各論

財務省の論点としては市販薬と同一成分の医薬品が処方された場合に低価格で入手することができるためセルフメディケーションと逆行することを論点としてあげています。諸外国では薬剤の種類によって保険償還率を設定している国もあることから薬剤ごとに自己負担率を設定してはどうかという提案です。

芍薬甘草湯の即効性について(服用後数分で効果が期待される理由)

この財務省案に対して日本東洋医学会は

 

漢方薬の自己負担を引き上げる案が浮上しています!

 

1) 漢方薬は保険診療で認められていて,国民の健康に寄与しています.

2) 適切な漢方診療を行うためには,医師の正しい診断が不可欠です.

3) 漢方薬の自己負担率が引き上げられると,患者さんの経済的負担が増加し,治療の機会を奪うことになります.

4) 漢方薬の適正な活用は日本全体で考えると薬剤費の節減につながります.自己負担を引き上げることによって医療費が高騰する可能性が高くなります.

「漢方薬の保険外し」に関しては平成21年に一度話題となりましたが、東洋医学会などによる署名活動が行われ回避された経緯がありました。しかし財務省としては依然としてビタミン剤や湿布薬、漢方薬といった市販薬と医療用医薬品の両方から入手することができる医薬品について保険給付の見直しを問題として挙げています。

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業