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下剤として処方される漢方薬の比較と覚え方

下剤として処方される漢方薬の比較と覚え方

 

便秘症状はさまざまな病態がありますので、その症状に応じた漢方薬が処方されることがあります。薬局にはさまざまな漢方薬が在庫していることが多いので、その使い分け・自分なりの覚え方を使用量の多い順(NDBオープンデータより)にまとめてみました。

~大建中湯(100番:使用量1位)~

 

便秘という適応症はなく、効能効果は

「腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの」

となっています。

芍薬甘草湯の即効性について(服用後数分で効果が期待される理由)

消化管のことを「中」と呼び、それの働きを改善することを「建」と呼ぶことから

「建中」と命名されています。小建中湯に対比して、大建中湯とう名称になっています。主に腸をターゲットとして作用し、慢性便秘症へ処方さえることがあります。

 

含んでいる漢方薬は3つあるのですが、どれも食生活になじみ深い成分となっています

 

カンキョウ5g:ショーガオール(ショウガの成分)

ニンジン3g:ギンセノシド(人参の成分)

サンショウ2g:サンショール(山椒の成分)

 

3成分とも温まりやすい感じの成分に見て取れます。大建中湯を患者様へお渡しするときは

「ショウガと人参と山椒の3成分を漢方にした薬です。消化管を温めて働きを改善します」とお伝えすると、ニュアンスが伝わるかと思われます。

バラ科アレルギーと桃仁・杏仁を含む漢方薬について

~大黄甘草湯(84番:使用量21位)

適応症は便秘症のみ

含有成分は

大黄4g:センノシド(プルゼニドの主成分)

甘草2g:グリチルリチン

という2成分だけです。

 

類似薬としてプルゼニド(センノシド)という錠剤が処方されることが多いので、大黄甘草湯の使用量は21位となっているのかと思われます。腸管を刺激するタイプの下剤です。

~麻子仁丸(126番:使用量19位)

適応症は便秘のみ

マシニンというアサの果実が主成分として5g含まれており、便の停滞を改善するはたらきがあります。さらに大黄を4g含んでいるため便の排泄を促します。合計で6種類の生薬が含まれます。

特徴的なのは、固くてコロコロとした形状の便で悩んでいる方に有効です。まさに麻子仁(マシニン)のようなコロコロとした形状の便の方が麻子仁を飲むと改善されますので、そのあたりを関連付けて覚えるといいかもしれません。

 

~潤腸湯(51番:使用量:42位)~

適応症は便秘症のみ

潤腸湯は大黄や麻子仁など複数の緩下作用を有する生薬は含有しており、腸内を潤すことで排便を促進するという薬効より命名されています。

10種類の生薬が含まれていますが、主成分であるジオウには滋潤(液体によりうるおいを与える)という作用がありますので、腸管流量をUPさせる働きが期待されます。

 

 

~防風通聖散(62番:使用量10位)~

腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちな方が服用します。

18種類の漢方薬が含まれており、いわゆる「肥満」に対する作用が話題になって以降、処方量が増えたイメージがあります。防風通聖散は肥満症に付随して使用する下剤という位置づけが多いのかもしれません。

~乙字湯(ツムラ3番:使用量78位)~

適応症:イボ痔・キレ痔

便秘傾向によるキレ痔、イボ痔に有用です。便秘症に対してメインで使用するというよりは痔治療のサポートとして便をやわらかくするイメージで大黄0.5gが含まれています。

“乙字=おつ痔”と覚えるといいかもしれません。

“乙字=お通じ”と暗記してしまうと印象が若干ずれるかもしれません

 

その他にも

・柴胡加竜骨牡蛎湯

 

・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

 

・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)

・大柴胡湯(

 

・桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)

 

なども下剤として処方されることがあります。

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ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業