2016年11月、潰瘍性大腸炎の治療薬としてメサラジン含有製剤“リアルダ錠1200mg”が薬価収載されました。これによりメサラジン含有製剤はアサコール400mg・ペンタサ500mg・リアルダ錠1200mgの3剤となりました。そこで、各製剤の特徴をまとめてみました。
薬の成分である“メサラジン”をそのまま服用してしまうと、大部分が小腸で吸収されます。アサコール400mgは消化管内のpHの変化に着目し、メサラジンを高分子ポリマーでコーティングすることで、pH7以上となる回腸末端(小腸から大腸への入り口部分付近)から大腸全域にメサラジンが放出されるように設計された医薬品です。
そのため適応症は“潰瘍性大腸炎”のみの適応となります。
服用量:1日3600mg/3× 適宜減 (注意:増減ではありません)
半減期:10~33時間(服用量により異なる)
活動期の潰瘍性大腸炎患者さんに対する効果:45~64%(8週間服用)
適応症は“潰瘍性大腸炎”のみです。メサラジンを徐放化(ゆっくり放出する)し、さらに腸溶性フィルムコーティングした錠剤です(胃で溶けずpH7以上で溶ける)。そのためメサラジンを大腸で持続的に放出させることを可能にした製剤となります。アサコールから改良された部分は2つあります。
1つ目は1日1回の服用で安定した効果を発揮するということです。
1日1回服用後の血中濃度を確認してみると、服用後6時間ほどで安定した血中濃度を維持します。18~30時間後に大腸からの徐放が開始され血中濃度がさらに上昇します。
そのため最大血中濃度となるのはリアルダ錠服用後25時間ほどです。
大腸から吸収されたリアルダ錠が血液中に入り、その量が半分になる時間(半減期)は6~10時間ほどです。
そのため薬物動態のイメージとしては大腸に到達したリラダン錠が24時間ほどの時間をかけてゆっくりメサラジン錠を放出しつづけます。大腸で吸収されたメサラジンは5~10時間かけて分解されていきます。24時間ごとに毎日服用を続けると服用開始2日後には安定した効果を発揮することが可能な製剤となります。
2つ目の特徴は服用量の最大量が増える点です。アサコールが3600mg適宜減であったのに対して、リアルダ錠1200mgは1日1回4800mg適宜減量となっていますので服用上限が4800mgまで増えます。(注意:増減ではなく適宜減量です)
そのため過敏性大腸炎患者さんのコンプライアンス上昇が期待されます。類似薬があるとはいえ、リアルダ錠は新薬ですので発売開始1年間は14日制限ルールが適用されます。そのため実際に市場で動くまでにはしばらく時間がかかるかもしれません。
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エチルセルロースでコーティングされて放出調節された製剤であり小腸から大腸全域にかけてメサラジンが放出されるように錠剤設計されています。そのため適応症は“潰瘍性大腸炎”および”クローン病“となります。
クローン病:線維化や潰瘍を伴う肉芽腫性炎症性病変が特徴で、口腔から肛門までの消化管のどの部分にも起こりうる原因不明の炎症性疾患
また、ペンタサ製剤には“ペンタサ坐剤1g”、“ペンタサ注腸1g”という製剤も収載されていますが、いずれも適応症は“大腸性潰瘍炎のみ”となっています。坐剤と注腸は到達部位に違いがあり
坐剤1g:S状結腸から肛門までが到達範囲
注腸1g:脾彎曲部から肛門(下行結腸+S状結腸)までが到達範囲