おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

多発性硬化症

メーゼント錠(二次性進行型多発性硬化症進行抑制薬)のはたらきについて

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メーゼント錠(二次性進行型多発性硬化症進行抑制薬)のはたらきについて

 

多発性硬化症進行抑制薬「メーゼント錠」がノバルティスファーマより発売となりました。

既存の内服薬である「ジレニア」や「テクフィデラ」は“多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制”という適応症であるのに対して、今回発売された「メーゼント錠」の適応症は

“二次性進行型多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制”

ということで、“二次性進行型“という文言が頭につきました。

 

今回はメーゼント錠の適応症・効能効果について調べてみました。

米国(FDA)は2019年3月26日にメーゼント錠を承認

二次性進行型多発性硬化症の定義について

・時折みられる再発、軽微な寛解及び停滞期を伴うことはあっても、発症初期の再発寛解型の疾患経過後に進行型の経過を示す病型

と定義されいます。

 

臨床試験における被験者の選択に関しては、「再発とは無関係な神経学的障害の増大(6か月以上持続)」及び「EDSSが3.0以上6.5以下で、試験開始前2年間にEDSSに基づく障害進行が認められた患者」が選択基準として設定されています。

 

注)EDSSとは神経症状評価尺度のことで、顔や指の一過性のしびれ感(感覚機能)や視覚障害、膀胱直腸機能など、中枢神経系の機能を測定することに加えて、運動能や日常生活の制限などの指標を加えて多発性硬化症の機能障害の程度をスコア化するものです。

多発性硬化症と腸内細菌との関連について

メーゼント錠の薬理作用(はたらき)について

 

多発性硬化症とは脳や脊髄など中枢神経系の神経を覆っているカバー(髄鞘)が自己免疫により壊され、中枢神経がむき出しになる病気という解釈(自己免疫説)ではないかと考えられている疾患です。

 

メーゼント錠は“S1P1”と、“S1P5”という2つの受容体に作用する薬です。

メーゼント錠がS1P1受容体に作用すると、リンパ球の二次リンパ組織からリンパ液中への移出を抑制し、血中リンパ球数を減少させることができます。多発性硬化症の炎症形成に重要な役割を担っている“自己反応性Th1/Th17細胞も同様に二次リンパ組織からの移出が抑制されるため、中枢神経系への自己反応性リンパ球の浸潤や炎症が抑制されると考えられています。

さらにメーゼント錠は血液脳関門透過性を有しているため、神経系の細胞に対して直接的に作用することができると考えられています。オリゴデンドロサイトという髄鞘形成を促す細胞のS1P5受容体にメーゼント錠が作用すると、軸索の再ミエリン化(髄鞘形成)を促進させる働きが示唆されています。

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また、メーゼント錠はアストロサイト(神経伝達物質を回収する細胞)のS1P1受容体に作用して、アストロサイトからのIL-6の分泌を抑制するはたらきも報告されています。

 

その他にも動物モデルの報告では、アストロサイトおよびミクログリアのグリオーシスの抑制効果、シナプス電流異常の改善効果、ミクログリア細胞株におけるサイトカイン・ケモカイン分泌の抑制効果など神経保護的な作用が報告されています。

 

上記の作用によりメーゼント錠は血中リンパ球数減少作用により、炎症反応の抑制作用に加えて、中枢神経系に直接作用し神経保護作用を示すことで、二次性進行型多発性硬化症の主要病態である神経変性の進行を抑制する効果が期待され、再発予防・身体的障害の進行抑制が期待されます。

メーゼント錠の使用方法

1日0.25mgから開始し、2日目に0.25mg、3日目に0.5mg、4日目に0.75mg、5日目に1.25mg、6日目に2mgを1日1回朝に経口投与し、7日目以降は維持量である2mgを1日1回経口投与するが、患者の状態により適宜減量する。

 

・半減期:28~30時間程度(6日間で定常状態に達する)

・食事の影響はうけない

・黄斑浮腫(目の血液成分が染み出る)などの重篤な眼疾患は発現することあり

・メーゼント錠には心拍数低下作用があるため、心拍数減少作用がある薬(ヘルベッサー・ワソラン)を服用中の患者には注意が必要

・プロプラノロール(インデラル)服用中の患者にメーゼント錠を追加すると心拍数の減少作用は相加的である

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執筆者:ojiyaku


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