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レルパックス・イミグラン・ゾーミッグ・アマージ・マクサルトといったトリプタン系の薬剤と疾患禁忌について確認です
トリプタン系の製剤には疾患禁忌が多くあります。
心筋梗塞の既往のある患者、脳血管障害・一過性脳虚血発作の既往のある患者・末梢血管障害を有する患者などです。
薬剤師は薬と薬の併用禁忌(一緒に飲んではいけない薬)を意識していることが多いですが、それと同程度に疾患禁忌(〇〇病の人が飲んではいけない薬)についてもアンテナを伸ばす必要があります。
さて、トリプタン系の薬剤は片頭痛により広がった脳の血管をもとのサイズに細くすることで片頭痛症状の改善作用を示す薬剤ですが、その際に、梗塞が生じては大変ですので、心筋梗塞や脳梗塞の既往がある患者様には禁忌となっています。
ここから先が今回の内容のメインです。
脳梗塞や心筋梗塞の適応を有する薬剤には
バイアスピリン・クロピドグレル・エフィエント・ワーファリン・DOAC・ブリリンタ・パナルジン・プレタールなど
静脈・動脈を問わず血液をサラサラにする作用を有する薬剤が該当します。
適応症にもよりますので、個々で判断は異なりますが、少なくとも初めてマクサルトやアマージなどの薬剤が処方された患者様に関しては、血液サラサラ関連の薬剤を服用していないこと、または服用していたとしたら、その適応症は何であるかを確認することが求められます。
薬剤師は、併用禁忌だけでなく、疾患禁忌についてもアンテナをしっかりとめぐらし、該当する疾患の治療薬とリンクして、飲み合わせの最終確認をする必要があると感じますので、自分めもとして記載します。
運動と片頭痛についての報告がありましたので下記します。
有酸素運動を週3回、12週間(4カ月)行った群、有酸素運動に加えて首・背中・肩の筋肉に関する運動を行った群、対照群に分かれて片頭痛と運動に関するデータの調査が行われました。
結果は、1カ月当たりの片頭痛の回数は、有酸素運動群および、複合運動具群で有意な減少が認められました。
さらに、複合運動群では有酸素運動群と比較して、有意な減少が認められました。
加えて、複合運動群では抑うつスコアに関しても有意な減少が報告されました。
結果として、運動や複合運動は1カ月あたりに片頭痛の回数を減少する効果が期待されたとまとめています。
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レルパックス・イミグラン・ゾーミッグ・アマージ・マクサルトといったトリプタン系の頭痛薬の使用上の注意欄に
「薬剤の使用過多による頭痛」に関する以下の重要な基本的注意が追加されました。
本剤を含むトリプタン系薬剤により、頭痛が悪化することがあるので、頭痛の改善を認めない場合には、「薬剤の使用過多による頭痛」可能性を考慮し、投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
薬剤使用過多による頭痛は頭痛症状の1種で、一般的には“薬物乱用頭痛”と呼ばれます。頭痛薬を使用している本人にしてみれば、頭が痛いから頭痛薬を使用しただけであり“乱用”とい呼ばれることは心外かもしれませんが、一般的な使用頻度よりも多いことを乱用と表現している感じかと思います。
使用頻度としてはトリプタン系頭痛薬を1カ月に10回以上、3カ月を超えて頻用していることで生じる頭痛を薬物乱用頭痛の診断基準としています。
また、トリプタン系頭痛薬を使用して薬物乱用頭痛を発症するまでの期間としては1カ月に18回トリプタン系頭痛薬を使用していて、1.7年間経過したころに発症するケースが多いと報告されています。
薬物乱用頭痛の発現頻度は頭痛全体の1~2%程度と考えられており、緊張型頭痛、片頭痛に次いで3番目に多い頭痛症状です。(女性が70%程度と発現比率が高い)ですので、それほど特別な疾患でもありません。
薬物乱用頭痛の治療の原則は原因薬剤の中止です。中止方法には即時中止と漸減中止の2種類が考えられますが、国内報告によると漸減中止よりも即時中止の方が薬物乱用頭痛の再発例が少ないと報告されています。
また、該当薬剤を注意した後の反跳頭痛が生じるケースもありますが、トリプタン系頭痛薬は、NSAIDSやエルゴタミンと比較すると予後は良いようです(短期間に改善されることが報告されています)
薬物乱用頭痛の予防薬・治療薬としてはデパケン・ミグシス・インデラル・トピナ・トリプタノールなどの薬剤を、該当薬剤を中止する際や、中止前から服用することが考えられます。
薬物乱用頭痛の予防薬としてトピナを使用した報告例を確認してみました。
1カ月間に15日以上頭痛を経験している18~65歳の方を対象として、トピナ錠を1日100mg服用した群(153人)とプラセボ(偽薬)を服用した群(153人)を3カ月間ほど服用したところ、頭痛発症日数の減少が確認されました。
トピナ錠服用群:―5.6日(1カ月間に頭痛を感じた日数が5.6日減った)
プラセボ群;-4.1日(1カ月間に頭痛を感じた日数が4.1日減った)
(トピナ錠服用群の有害事象;感覚異常:46人(28.8%)、上気道炎:22人(13.8%)、疲労・悪心:13人(8.1%))
薬物乱用頭痛の予防薬としてトリプタノールを使用した報告例を確認してみました。
薬物離脱療法を行っても頭痛症状が改善しなかった22名を対象としてトリプタノールが投与されたところ、そのうちの10人(36%)が1カ月間に頭痛を感じた日数の減少が報告されています。
薬物乱用頭痛の離脱治療後の再発率は30%程度と報告されており、離脱後も定期的な頭痛回数や頭痛薬の使用状況を確認する必要があるとしています。