パーキンソン病患者さんにDO処方が続く場合の薬歴内容

パーキンソン病患者さんにDO処方が続く場合の薬歴内容

神経内科経の薬剤を手にする機会が増えてきたため、パーキンソン病治療薬を患者様へお渡しした後の薬歴内容についてまとめてみました。

 

レボドパ製剤

メネシット・ネオドパストン/カルコパール・ドパコール(レボドパ・カルビドパ)

禁忌:閉塞隅角緑内障患者

併用禁忌:非選択的モノアミン酸化酵素阻害剤(サフラジン塩酸塩(発売中止))

max:1500mg/日

髄液中ドパミン濃度

(被験者:パーキンソン病患者、メネシット250mgを単回投与)

服用後2.5時間で髄液中Cmax:40ng/mlに到達し、4時間後では25ng/ml程度の濃度を保っていることから、投与4時間後において髄液中のドパミン濃度は高濃度に維持される製剤です。

 

カルビドパ:腸管壁・肝臓・血管内皮細胞などにある脱炭素酵素阻害作用により抹消におけるレボドパ→ドパへの反応を阻害する。(脳への移行性を高める)

パーキンソン病の進行期では、ドパミン細胞が変性しているため、ドパミン細胞の代わりにアストロサイトなどでレボドパがドパミンへ変換されます。しかし、アストロサイトにはドパミンを貯蔵する働きがないため、変換されたドパミンは一気に放出されてしまう。その結果、レボドパ投与直後はジスキネジアが生じ、効果がきれるとパーキンソン症状を呈することになります。対策としては頻回少量投与・ドパミンアゴニストなどが検討されます。

 

イーシー・ドパール/マドパー/ネオドパゾール(レボドパ・ベンセラジド)

禁忌:閉塞隅角緑内障患者

併用禁忌:非選択的モノアミン酸化酵素阻害剤(サフラジン塩酸塩(発売中止))

1日3〜6錠(適宜増減ありなので12錠まで)

血中レボドパ濃度;2時間後1μg/ml→3時間後0.9μg/ml

血中レボドパ半減期:服用4時間後までは半減期48分、4時間後以降は半減期90分へ延長する

  • 悪心・嘔吐・食欲不振といった消化器関連の副作用がでていないことを確認した。食欲変動なく、通常通りの食生活を維持しています。

(レボドパが末梢でドパミンへ代謝されることで、胃腸のドパミン受容体を刺激することで生じる副作用です。対策としては食直後に服用する。吐き気止めを併用するなどの対策が考えられます。)

 

  • 急激な減量・投与中止により高熱・意識障害・高度の筋硬直などが生じる可能性がありますので、自己調節せずに指示通り使用を続けること。

 

  • 血圧変動・動悸・頻脈・発汗・のぼせ感・立ちくらみなどの循環器系のSEもなく経過していることを確認した。

 

  • 幻覚・妄想・気分の落ち込みなどの精神神経系のSEなく経過していることを確認した。睡眠状況は良好で不眠症状はでていません。

(幻覚妄想はドパミン神経伝達の一時的な亢進が原因と考えられています。頻回少量投与などで対策するケースがあります)

  • ものの見え方(視野)は変わっていないことを確認した。霧視、目の痛み(眼痛)、充血、頭痛といった急激な眼圧上昇の前兆となる症状は出ていません。

 

  • 食欲・体重ともに変動なく経過しています。味覚異常・口渇・腹部膨満感といった消化器関連のSEなく経過していることを確認した。

 

  • 過度の興奮・焦燥感・不安感・眠気・倦怠感などの精神症状関連のSEは落ち着いています。

(ドパミン神経伝達の一過性の亢進が原因)

  • 筋肉の痛み・つっぱり・硬直は薬の使用により軽度に緩和されていることを確認した。

 

  • 日常生活の中で、突発的な強い眠気・前兆なく耐えられないほどの眠気は出ていないことを確認した。

 

  • wearing off(薬効持続時間の短縮・日内変動・ジスキネジア)、on-off現象(急激な症状悪化・改善)はおきていないことを確認した。

(ドパミン神経の変性が進行したために、ドパミン神経がドパミンを保持できる量が低下したために生じる症状です)

スタレボ配合錠

レボドパ・カルビドパにエンタカポン(カテコール-O-メチル基転移酵素阻害薬)が追加した製剤

 

・便秘・悪心・嘔吐などの消化器症状がでていないことを確認した。食欲は正常であり、胃部不快感はでていないため継続服用

 

・めまい・たちくらみ・動悸・息切れ・頭痛といった貧血の前兆症状なく経過していることを確認した。

 

・尿がアルカリ性の方がコムタンを使用すると暗黄色~赤褐色の尿の着色が認められることがあるが、健康には問題ありません。

ドパミンアゴニスト

 

ミラペックスLA

禁忌:透析患者

Max:4.5mg/日

半減期:8~9時間

 

レキップ

Max:16mg

Tmax:9時間

半減期:5時間

 

ニュープロパッチ

Max:36mg

24時間ごとに貼り換える(肩・上腕部・側腹部・臀部・大腿部)

20~30秒、手のひらでしっかり押し付けて貼り付けつる

 

薬歴の内容はレボドパ製薬の薬歴に突発的睡眠及び傾眠に関する注意喚起・副作用確認を追加する感じで記しました。

 

・めまい・たちくらみ・ふらつき等の起立性低血圧の前兆となるような自覚症状はでていないことを確認した。

 

・幻覚・錯乱・興奮・妄想・せん妄等の精神症状は出ていないことを確認した。

 

・前兆のない強い眠気・耐えられなくなるほどの眠気を感じることがあれば、医師へ連絡すること

 

・服用による日中の眠気・倦怠感・脱力感といった自覚症状はでていないことを確認した。

 

・疲れやすさ・手足のむくみ・倦怠感・脱力感などの自覚症状はでていないことを確認した。

 

・貼付部位のかぶれ・かゆみ・水泡・むくみ・変色といった皮膚病変は出ていないことを確認した。毎日貼付部位を変えること。

麦角系ドパミンアゴニスト

カバサール(カベルゴリン)

Max:3mg

半減期:30~43時間

 

パーロデル(ブロモクリプチン)

Max:15mg/3×食直後(適宜増減最大量として15mg)

半減期:3時間

Tmax:2.7時間

 

ペルマックス(ペルゴリド)

維持量:750~1250μg/3×食直後(適宜増減する)

 

薬歴の内容は、レボドパ関連の薬歴に追加して循環器系の副作用・呼吸器系の副作用が出ていないかどうかを確認する内容を記載しました。

 

・動悸・頻脈・息苦しさ・手足の冷感しびれなどの循環器系の自覚症状の変調はでていないことを確認した。

 

・胸部不快感・胸痛・血圧変動・息苦しさ・咳・発熱・むくみといった呼吸器系の副作用に関する前兆は出ていないことを確認した。

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ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業