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プロヘパール配合錠の代わりとなる慢性肝疾患治療薬は

プロヘパール配合錠の代わりとなる慢性肝疾患治療薬

プロヘパール配合錠が2017年3月31日をもって医療用医薬品から削除されます。

プロヘパール配合錠(薬価7.2円)の作用機序はインタビューフォームにも記されているように「機序は明らかではないが、慢性肝炎の基本治療につながる抗壊死作用、抗脂肝作用、線維化抑制作用および肝細胞再生促進作用など」が認められている薬です。


開発の経緯は「肝臓の慢性疾患の治療には、古くから臓器そのものを与える試みが行われ、次いで肝臓からの抽出物(肝エキス)を用いる治療法が伝承されてきた。」と記されていますので、いわゆる「レバーを食べれば肝臓に良い」という民間療法的なことに端を発して作られた薬のようです。

プロヘパール配合錠の販売中止

実際の臨床効果としては慢性肝炎患者さん(189例)を対象とした試験データでは
有効以上:53.9%
やや有効以上:74.3%
二重盲検比較試験においてAST(GOT)、ALT(GPT)お有意な改善効果が認められていると記されていますが、具体的な数値は添付文書にもインタビューフォームに記されておりません。

プロヘパール配合錠の効果

また、「作用発現時間・持続時間・血中濃度・中毒域・食事の影響・血中蛋白結合率・吸収・代謝・排泄」と言った医薬品としての情報はすべて「該当資料なし」となっています。

上記のような「医療用医薬品としての情報量の低さ」を原因としたのか、原材料の調達不足が原因なのかわかりませんが、“武田のダーゼン“のように厚生労働省の医薬品評価部会で精査される前にプロヘパールを撤退させることは、懸命な判断なのかもしれません。

私個人的なイメージとしては医療用医薬品登録から姿を消してしまうプロヘパール配合錠は、第2類医薬品・第3類医薬品などのOTC医薬品(ドラッグストアで購入できる医薬品)として活躍の場を移していく方が、将来が明るい気がします。


原材料が全く同じかどうかはわかりませんが、肝臓加水分解物を使用するのであれば1錠7.2円のプロヘパールを製造するよりは、1錠30〜50円のヘパリーゼを製造する方が製薬会社にとって有益だからです。

プロヘパール配合錠の医薬品登録が削除された後、おそらく多くの医療機関では代用薬を処方しないケースが多いのではないかと予想します。

しかし、患者様の希望により、何か慢性肝疾患の治療薬を処方してほしいというニーズが出た場合に、候補に上がる薬について調べてみると

慢性肝疾患における肝機能の改善作用を適応症にもつ医薬品の中で、肝臓加水分解物を主成分とする医薬品は
レナルチン腸溶錠(1錠あたりの肝抽出物100mg)だけとなります。
製造販売元:コーアイセイ株式会社

数年前まではゴスペールレバーなどの後発医薬品がありましがた、肝臓加水分解物製剤は次々と姿を消し、先発品のプロヘパール配合錠も消えた後、最後に残る薬は後発品の「レナルチン腸溶錠」のみです。

レナルチン腸溶錠は後発品ですので臨床データはありません。さらに先発品同様薬物動態に関するデータも全くありません。そのため医薬品としての特徴を検討することはできませんでした。

それ以外にも「慢性肝疾患における肝機能の改善作用」の適応を有する内服薬はいくつかありますが、いずれも作用機序が肝臓加水分解物とは異なります。

ウルソの効果を患者さまへお伝えする

◯ウルソ
胆汁分泌を促進するとともに、肝細胞への障害を軽減する働き


◯EPLカプセル
大豆から精製されたレシチン製剤
生体膜依存性酵素の活性を維持することで肝細胞の機能と形態を調整する作用

◯キャベジンUコーワ錠25mg
肝臓中のケファリンからレシチンへの合成促進作用を有している。レシチン量が増えることでEPLと同じような作用で肝障害改善作用を示す

◯チオラ
過酸化脂質の生成抑制並びに肝疾患に伴う代謝障害改善作用により肝臓を保護している
チオラの適応症
・ 慢性肝疾患における肝機能改善
・ 初期老人性皮質白内障
・ 水銀中毒時の水銀排泄増加
・ シスチン尿症
適応症が多岐に渡っているため、いまいち明確な薬理作用を把握しきれませんでした。

tab4

◯プロトポルト
薬理作用:「該当資料なし」と記されているため、どのような経緯で適応症が承認されたかわかりませんでした。医薬品としての特徴がすべて「該当資料なし」となっています。

胆汁酸の効果について

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業