リアルダ1200mgを飲んでいる40代の男性から「この薬を楽に飲みこむ方法ってあります?」という質問を受けました。確かに1錠で1200mg(1.2g)を含有しているリアルダ錠1200mgは他に類を見ないサイズなのかもしれません。
一般的に大きいと言われている錠剤を思い浮かべると
クラビット500mg:長径16.2mm、短径7.9mm、厚さ5.6mm
エリスロシン200mg:直径11.9mm、厚さ5.9mm
メトグルコ500mg:長径15.8mm、短径7.3mm、厚さ5.7mm
コロネル500mg:長径17.8mm、短径7.6mm、厚さ5.9mm
ディレグラ配合錠:長径17.6mm、短径7.8mm、厚さ6mm
リアルダ錠1200mg、アサコール400mg、ペンタサ500mgの違いについて
一方でリアルダ錠のサイズを確認してみる
リアルダ1200mg 長径20.7mm、短径9.7mm、厚さ7.6mm
ですので、既存の大きいイメージの錠剤よりもひとまわり大きい錠剤となっています。
一般的に大きいイメージのある薬では含有量が500mg前後であるのに対し、リアルダ錠の成分含有量は1200mg(1.2g)ですので含有量が多いことが分かります。さらにリアルダ錠は腸溶錠製剤ですのでpH7.2で溶解するフィルムコートでおおわれており、かつ徐放性製剤という特徴を有しています。
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これらの特徴を考えますと、リアルダ錠1200mgが長径20.7mm、短径9.7mm、厚さ7.6mmというサイズに収まっていることは、並々ならぬ企業努力を感じます。がしかし、それでも服用する患者様の中には「大きくて飲みにくい薬」と感じる方がおります。そこで、薬局としてこのような方へお薬を上手に使用していただく方法について考えてみました。
方法と言いましても、錠剤を小さくするか、嚥下をサポートするかが答えになるかと思います。
錠剤を小さくする方法はリアルダ錠1200mgからアサコール400mg錠へ変更することです。ただしこれを答えにしてしまうと、時代に逆行している気もします。リアルダ錠は粉砕および溶解することができませんので、リアルダ錠自体を小さくすることは難しいかもしれません。
では飲み込みを楽にする(嚥下サポート)方法について考えてみます。
○小麦粉・片栗粉
お手軽に「とろみ」をつけられる利点があります。ただし、とろみをつけるためには加熱調理が必要です。冷えてしまうと粘性が上がってしまうことがデメリットとなります。患者様に1つの案として伝える分にはいいかもしれませんが、実用性がどの程度なのかはわかりません。
○嚥下補助ゼリー
まだまだ市場規模が小さいため、嚥下補助ゼリーの単価が高いことが難点に感じます。
リアルダ錠1200mg 4T/1×で使用する患者様を例に考えると、リアルダ錠は1錠ずつ4回飲むことになるので、4回嚥下補助ゼリーを使用することになります。コストパフォーマンスは使用する患者様により異なりますので一概には言えませんが、嚥下補助ゼリーは○○円で何回分になりますが・・・というニュアンスで伝えてみて患者様の反応をうかがう感じでしょうか。代替案としては飲むゼリー、柔らかいタイプのゼリーなどに同様の利用価値を見出せるかもしれません。
○水につけたオブラート
低価格で「とろみ」をつけることができます。
1:リアルダ錠1200mg 1錠をオブラートでくるみます。(きんちゃくを作る感じでねじります)。
2:コップに水を入れて、ちゃぽんと浸します。またはオブラートでくるまれたリアルダ錠1200mgをスプーンの上に乗せて、水の入ったコップに浸します。
3:オブラートは水に触れるとゼリー状に変わります。
4:オブラートでつつまれた薬を口の中に入れて、水をふくみ飲みます。ツルッとした、ノドゴシとなるため飲みこむのが楽になります。
オブラートは200枚入り300円ほどで販売されていますので、この方法は安価な解決策となるかもしれません。
○食塊を利用する
オブラートは、そもそもデンプンを糊化させて乾燥させたものです。デンプンという事でいえばお米や小麦を口にふくんで10回くらいかむと、デンプンを多く含む食塊(食べ物のかたまり)ができます。普通の食事中であればこの食塊をゴクンと飲み込むところですが、ここでリアルダ錠1200mg1錠を口に含んで、食塊に混ぜるようにしてリアルダ錠ごと食塊で飲み込むという方法があります。
リアルダ錠1200mgの吸収は食事の影響をうけませんので、食塊を利用して飲み込むことが可能です。同じように大きな錠剤でディレグラという薬がありますが、この薬は食前に服用しなければならないため、食塊を利用して飲み込むことができません。
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○飲み込むときの顔の角度
軽くうなずく程度です。前方よりやや下向き加減が“飲み込み”に適した角度です。喉頭が拳上して飲み込みの抵抗が減ります。アニメやマンガであるように真上を向いて飲み込もうとすると、非常に苦痛をともないますので避けた方がいいです。
○リアルダ錠をジロジロ見ない
食べ物を見ることを先行期(認知期)といいます。摂食する食べ物の性状を知ることで咀嚼回数、唾液分泌、食べる姿勢などの情報について、視覚を通して頭で考えます。幼少期に食べたゼリービーンズほどのサイズ感があるリアルダ錠1200mgを見てしまうと「2~3回は噛む必要があるな」と脳が認識してしまう可能性があるので、あえてジロジロ見ないという方法があります。
個人差はありますが、リアルダ錠1200mgを1回4錠服用している患者様は、なかなかな嚥下作業を要しますので、初回にお渡しすることがあれば、是非嚥下サポートも一緒にお伝えできればいいのではないでしょうか。