2019年8月20日追記
血圧を120mmHg未満に保つ場合と、血圧を140mmHg未満に保つ場合とでは、血圧を低く保った群の方が、心筋降雨速や脳卒中などリスクが低いというデータ(SPRINT試験)が以前報告されておりましたが、そのサブ解析データとして、血圧を低く保つと認知症発症リスクも低下するというデータが公開されました。
SPRINT試験を受けた被験者のうち、脳MRI所見がある被験者(糖尿病または脳卒中の既往がない50歳以上)のデータを解析した結果によると
収縮期血圧120mmHg未満に保った群(335例)の方が、血圧140mmHg未満に保った群(315例)よりも脳白質病変容積の変化小さかったということです。
具体的には
収縮期血圧120mmHg群の脳白質病変容積:4.57㎤→5.49㎤
収縮期血圧140mmHg群の脳白質病変容積:4.40㎤→5.85㎤
血圧140未満で管理していた群の方が脳白質病変容積が大きくなっていることがわかります。さらに、全脳容積に関して血圧を120mmHg未満で管理した群の方が、全脳容積が小さくなりにくいというデータも開示しています。
この結果を受けて、血圧を厳格に管理することは、心血管リスクを下げるだけでなく、認知機能障害リスクも低下させることが差示唆されてました。
アルコール依存症(アルコール使用障害)は認知症を発症する最大のリスク因子であることがフランスの研究チームにより報告されました。
2008年空2013年の間にフランス都市圏の病院から退院した大人3162万4156人のうち
110万9343人が認知症と診断されました。その中の早期発症型の認知症と診断された5万7353人に関する報告によると、大部分がアルコール依存症(22338人(38.9%))、または追加診断としてアルコール依存症と診断された患者(10115人(17.6%))であることが後ろ向き研究により示されました。
アルコール依存症による認知症発症リスクについては男女ともにリスク因子として報告されており、ハザード比を確認してみると、女性では3.34倍、男性では3.36倍と有意に高い値となっております。
アルコール関連脳障害と診断された12435人に関しては、末期肝疾患3593人(28.9%)、肝硬変2491人(20%)というデータとなっており、アルコール摂取による重度の肝疾患が要因となっていることが示唆されます。
1:エタノールおよびその代謝物のアセトアルデヒドは直接的な神経毒性作用を有しており、永続的な機能的脳損傷をもたらす
2:過度の飲酒はチアミン欠乏症と関連し、ウェルニッケ・コルサコフ症候群(中枢神経疾患、脳の機能障害による健忘症状)につながります。
3:重度の飲酒は肝硬変に起因する肝性脳症、てんかん、頭部外傷など、脳に損傷を与える可能性がある
4:重度の飲酒が高血圧、出血性脳卒中、心房細動、心不全などの心血管リスクと関連し、飲酒が間接的に脳血管性認知症のリスクとなりうる
認知症の薬アリセプト・メマリー・リバスタッチを休薬した場合の認知力の低下度合いについて
「アルコール依存症は、早期発症型の認知症の主要なリスク因子であるため、定期的な飲酒に関するスクリーニングが必要である。また必要に応じてアルコール依存症の治療を行うことが必要である」と筆者らはまとめています。
アルコール依存症(アルコール使用障害)は認知症を発症する最大のリスク因子
日本人のアルツハイマー病患者さんを対象としたメマリー錠の効果について