抗ヒスタミン剤“ルパフィン錠10mg”とクラリチン錠10mgの違いについて
平成29年7月29日に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、抗ヒスタミン剤“ルパフィン錠10mg(ルパタジンフマル酸塩)の承認可否が審議されます。
ルパフィン錠10mgについて(海外の報告をまとめます)
・第二世代の抗ヒスタミン剤であり、2003年に発売されて以降、世界60か国以上で使用されている。
・海外での適応症はアレルギー性鼻炎および蕁麻疹となっています。
・用法:1日1回10mgを服用する。服用後45分後にTmaxに到達する。
・血小板活性化因子(PAF)受容体を遮断する報告あり
・腫瘍壊死因子(TNF)放出阻害などの抗アレルギー作用を有する報告あり
・肝臓で代謝された後、クラリチンやデザレックスと同じ活性代謝物となるものがある
・分子構造がクラリチン10mg・デザレックス5mgに似ている
・クラリチンの半減期が14時間、デザレックスの半減期が22時間であるのに対し、ルパフィン錠の未変化体の半減期は5.9時間、活性代謝物の半減期は20時間
・タンパク結合率98-99%
・糞便排泄率:60.9%、尿中排泄率:34.6%
・ルパフィン錠がCYP3A4の基質であるためCYP3A阻害薬(イトリゾールなど)と一緒に飲むと血中濃度が高くなるため避けることが望ましい
・グレープフルーツジュースと一緒に飲むとルパフィン錠の血中濃度が3.5倍に増加したため飲んではいけない(UKの添付文書より引用)
・ルパフィン錠使用後に機械の操作・運転をした時の能力に影響を与えなかったものの注意は必要である。
・2003年に海外で使用が開始されているため、取り立てて新薬というイメージは・・・
ルパフィン錠の実際の薬物動態に関しては、医薬品承認を受けてから添付文書で公開となりますので言及はできませんが、私の個人的な感想としまして、海外の添付文書を確認する限り“クラリチンに似た薬”という程度に私には読み取れました。
クラリチンの場合、クラリチンが肝臓で分解され、活性代謝物デスロラタジンとなります。デスロラタジンの方がクラリチンより14倍も受容体への親和性が高い(活性が高い)という特徴があります。
<del>ルパフィン錠に関して、未変化体と活性代謝物の力価比較は確認することはできませんでした。そのため痒み止めとしての効果判定は添付文書及びインタビューフォームが公開されてから行いたいと思います。</del>
ルパフィン錠の添付文書及びインタビューフォームが公開されました。そこでルパフィン錠10mgの力価(未変化体であるルパタジンと活性代謝物であるロラタジン)をデザレックス錠5mgの力価と比較してみました。