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オピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク錠0.2mg(ナルデメジントシル酸塩)について

オピオイド誘発性便秘症治療薬スインプロイク錠0.2mg(ナルデメジントシル酸塩)について

2017年2月9日に厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会」においてオピオイド誘発性便秘症治療薬“スインプロイク錠0.2mg”についての新薬承認可否が検討されます。


スインプロイク錠0.2mgを製造するシオノギ製薬は2016年3月に米国のFDAに承認申請を行い2017年3月23日に審査終了を予定しています。

スインプロイク錠0.2mg(ナルデメジントシル酸塩)は「成人におけるオピオイド誘発性の便秘症」という適応症を申請しています。抹消結合選択性のμオピオイド受容体拮抗作用を有している治療薬です。

オピオイド鎮痛薬は脳内のμオピオイド受容体に結合して鎮痛作用を示す同時に腸管のμオピオイド受容体にも結合し腸管の活動を低下させます。この作用により慢性疼痛でオピオイド鎮痛薬を服用している患者様の4〜5割の方で便秘症の副作用が報告されています。

スインプロイク錠0.2mgの第三相臨床試験データを確認してみると、プラセボ群に比して1週間の排便回数増加およびオピオイド鎮痛薬の効果減弱は認められないという臨床データとなっております。

第三相臨床試験はCOMPOSEⅠ〜Ⅲという3つの試験が報告されています。

COMPOSEⅠ:被験者547例
COMPOSEⅡ:被験者533例
1日1回スインプロイク錠0.2mgを12週間服用し、最後の2週間における自発的排便回数を確認したところ「プラセボ群を有意に上回った」、「スインプロイク錠の使用による鎮痛効果への影響は認められていない」と報告されています。

COMPOSEⅢ:被験者620例
1日1回スインプロイク錠0.2mgを52週間服用したときの臨床データ
服用12週間後から52週間後まで排便回数の変化が報告されております。
プラセボ群では1週間あたりの排便回数が3回程度であるのに対し、スインプロイク錠0.2mを服用して12週間後では1週間あたりの排便回数が4回に増加しており、その作用は52週後まで継続されています。

COMPOSEⅠ、Ⅱプログラム報告

プラセボ群に比して発生率が高い副作用としては「腹痛8.2%」「下痢11%」「嘔吐6%」となっています。

52週間の長期使用においても「オピオイドの鎮痛効果の減弱は認められなかった」としております。

麻薬性鎮痛剤が作用するμ受容体といのは脳内や消化器に分布しています。消化管での特異的拮抗薬であるスインプロイク錠の具体的な薬理作用の詳細は確認できませんでした。医薬品として承認されてから確認したいと思います。

COMPOEⅢプログラム報告

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業