2018年4月25日、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会において75歳以上の後期高齢者の窓口負担を1割から2割に引き上げる改革案が示されました。労働人口の減少と高齢者の増加による給付と負担のバランスの見直しを目的とした提案と思われます。
医療・介護制度改革の視点
高齢化や人口減少の中でも給付と負担のバランスを持続可能な制度としていくために
「年齢ではなく能力に応じた負担」として団塊の世代が後期高齢者となり始める2022年度までに世代間の公平性の観点も踏まえて「後期高齢者の窓口負担の引き上げ」などの改革を実施すべき
医療費保険における後期高齢者の窓口負担の在り方
【現行】
○ 後期⾼齢者の定率の窓⼝負担は、現役世代よりも低い1割に軽減されている。他⽅、後期⾼齢者の⼈⼝は毎年増加。
○ 2022年から団塊の世代が後期⾼齢者になり始めるが、現⾏制度の下では2割負担から1割負担に引き下がることになる。
【改⾰の⽅向性】(案)
○ 後期⾼齢者数や医療費が毎年増加し、これを⽀える現役世代の保険料や税の負担が重くなっていく中、世代間の公平性や制度の持続可能性を確保していく観点から、まずは75歳以上の後期⾼齢者の⾃⼰負担について2割負担とすべき。
○ その際、現在70歳〜74歳について段階的に実施している⾃⼰負担割合の2割への引き上げと同様に、75歳到達後も⾃⼰負担割合を2割のままとすることに加えて、すでに後期⾼齢者となっている者についても、数年かけて段階的に2割負担に引き上げるべき。
介護保険の利用者負担について
【現行】
⃝ 介護保険の財源構造は、所得の⾼い者を除き基本的に1割の利⽤者負担を求めた上で、残りの給付費を公費と保険料で半分ずつ負担する構造であり、保険料は65歳以上の者(1号被保険者)と40〜64歳の者(2号被保険者)により負担されている。
⃝ また、65歳以上の者の要介護認定率は2割弱であり、介護サービスを実際に利⽤している者と保険料のみを負担している者が存在する。
⃝ 今後、介護費⽤は経済の伸びを超えて⼤幅に増加することが⾒込まれる中で、若年者の保険料負担の伸びの抑制や、⾼齢者間でのサービス利⽤者と保険料負担との均衡を図ることが必要である。
【改革の方向性】(案)
○ 制度の持続可能性や給付と負担のバランスを確保する観点から、介護保険サービスの利⽤者負担を原則2割とするなど、段階的に引き上げていく必要。
さらに財務省案では、金融資産等を考慮にいれた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大についても言及されております。高齢者は、現役世帯と比べて平均的に所得水準は低い一方で、貯蓄現在高は高い。また所得が低い高齢者の中にも相当の金融資産を保有しているケースもあることから高齢者の負担能力を判断する際に預金等の金融資産を勘案して負担能力を判定してはどうか?という案がしるされています。