潰瘍性大腸炎に対するゼルヤンツ錠の効果について
厚生労働省は 2018年 4月 27日の薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会においてゼルヤンツ錠の潰瘍性大腸炎に対する適応症の追加について検討を行うことを公開しました。
ゼルヤンツ錠は経口投与タイプのJAK阻害剤(ヤヌスキナーゼ阻害剤)であり、細胞内のシグナル伝達を阻害することで炎症を鎮める効果があります。現在の適応症は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」となっておりますが、これに加えて潰瘍性大腸炎が新規適応症として追加されるかどうかが審議されます。
ゼルヤンツ錠の潰瘍性大腸炎に対する第Ⅲ相試験のデータ
OCTAVE Induction1試験、2試験
中程度~重度の活動性潰瘍大腸炎患者を対象として
ゼルヤンツ10mg1日2回8週間服用群:598名
プラセボ服用群:541名
上記に無作為に割り付けて寛解導入療法を行っています。
結果
OCTAVE Induction1試験
寛解率
ゼルヤンツ服用群:18.5%
プラセボ群:8.2%
OCTAVE Induction2試験
ゼルヤンツ服用群:16.6%
プラセボ群:3.6%
OCTAVE Sustain試験
寛解導入療法で臨床反応が確認された被験者593人を対象としてゼルヤンツ1日2回1回5~10mgを52週間投与したときの維持療法についてプラセボ群と比較しています。
結果
52週間の寛解率
ゼルヤンツ5mg服用群:34.3%
ゼルヤンツ10mg服用群:40.6%
プラセボ群:11.1%
ゼルヤンツ服用群が有意差をもってプラセボ群よりも寛解率が上昇していることが確認されました。
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尚、副作用に関しては、OCTAVE Induction1試験2試験においてゼルヤンツ服用群は全体の感染率および重症感染率がプラセボよりも高くなっています。OCTAVE Sustain試験においては全身感染率および帯状疱疹発症率がゼルヤンツ服用群で高値を示しています。
潰瘍性大腸炎に対してJAK阻害剤の適応症が承認されると、この分野における初の薬理作用となりますので治療の幅が広がることが期待されます。