AG薬またはそれ以外のジェネリックを服用後に再び先発品へ戻る割合
「先発医薬品を服用していた患者さんがAG薬またはそれ以外のジェネリック医薬品へ切り替えた後に、再び先発医薬品へ戻る割合」というユーモアのある調査を米国の研究チームが行いました。
AG薬とは
先発医薬品を製造開発した会社が製造したジェネリック医薬品であり、有効成分・外観・賦形剤が同一であるという特徴があります。
調査内容
ボナロン
ノルバスク
ノルバスクとチバセンの合剤
レクサプロ
グリピジド徐放錠(SU剤)
コナン
ジェイゾロフト
AG薬またはそれ以外のジェネリックを服用後に再び先発品へ戻る割合
上記の先発医薬品を服用している患者さんがAG薬又はそれ以外のジェネリック医薬品に切り替えた後の服用状況を追跡し、再び先発医薬品へ再切換を行った人数を評価しています。
結果
先発医薬品からAG薬へ切り替えた人数:9万4909例
先発品からそれ以外のジェネリック医薬品へ切り替えた人数:11万6017例
上記の方が再び先発医薬品へ切り替える割合については、医薬品ごとにバラツキが見られ、100人年あたりの再切り替え人数を見てみると、ボナロンでは3.8人、ノルバスクとチバセンの合剤では17.8人と報告されています。(全医薬品の平均値では100人年あたり8.2人)。AG薬から先発へ再切り替えを行った患者数は、それ以外のジェネリック医薬品から先発へ再切り替えを行った割合に比べて28%低い値となっており、再現コホート研究によるハザード比でも25%低い値が報告されています。
筆者らは「先発品への再切り替えを防ぐために、ジェネリック医薬品と先発品との同等性を患者様に説明することが重要。先発医薬品とジェネリック医薬品の外観を一致させることも一因となる可能性がある」とまとめています。
「先発医薬品への再切り替え」というテーマは、ジェネリック医薬品の普及を進めている医療機関にとって認識すべき課題であると感じました。特に新規で発売されるジェネリック医薬品を選定する際には、先発品との“同等性”や“外観が似ている”といった要素も選定要因として重要なのかもしれません。
私が調剤薬局で勤務していて「先発医薬品への再切り替え」を経験する回数が多い医薬品は“モーラステープ、ロキソニンテープ”です。湿布薬・テープ剤は貼り心地、はがした時侵襲性が先発と後発で異なり、患者さんの使用感に直結することがその原因と考えます。
湿布薬・テープ剤や経口抗がん剤のAG薬が販売されれば、現場の我々としてはジェネリック医薬品の使用を更に増やすことができるのになぁと感じます。