おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

抗うつ薬

レクサプロ錠を初めてお飲みいただく方へのお伝えする効果・副作用について

投稿日:2019年6月8日 更新日:

レクサプロ錠を初めてお飲みいただく方へのお伝えする効果・副作用について

 

抗うつ剤として使用されるレクサプロ錠は選択的セロトニン取り込み阻害作用という働きのお薬で気分を改善する効果があります。初めてレクサプロ錠をお飲みいただく患者様へお薬の効果をお伝えする内容について記載します。

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レクサプロン錠の効果について

ヒトの脳内には「セロトニン」と呼ばれるリラックスホルモンが必要時に放出されるような仕組みになっているのですが、不安感やイライラ感が強い方では「セロトニン」量が低下している可能性が示唆されます。セロトニン量の低下という言葉をより細かく表現しますと、2パターンが考えられる気がします。

・放出するセロトニンの量が低下している

・放出されたセロトニンが引っ込んでしまうスピードが速い

 

上記のどちらのパターンであってもセロトニンが不足して不安感・イライラ感が増してしまいます。

 

このような方に処方される薬が「レクサプロ錠」です。レクサプロ錠の働きは「選択的セロトニン取り込み阻害薬」という効果ですので、放出されたセロトニンが引っ込んでしまうスピードを、ぐっと遅くする効果があります。

 

レクサプロ錠が安定して効果が感じられるまでには2週間~1カ月ほどを要するといわれています。その理由は以下の内容のためです。

 

脳内で放出されるセロトニンの量・スピードには個人差があります。また、放出されたセロトニンは一定時間が経過すると元も場所に引っ込んでしまいます。レクサプロ錠は引っ込む部分の入り口に張り付いてセロトニンが引っ込んでいく速度を、ぐぐっと遅くする効果があります。

 

レクサプロ錠を飲み始めた方は、脳内で放出されたセロトニンが

 

引っ込みにくくなる=徐々に貯まっていく

 

と解釈できます。そのため連日レクサプロ錠を飲み続けることで脳内のリラックスホルモン「セロトニン」が蓄積していって不安・イライラが徐々に解消されていくという働きとなります。

 

レクサプロ錠を初めてお飲みいただく方に対して、5分ほどで上記の内容をお伝えすると、自己調節せずにお飲みいただけることが多い印象を持っています。

レクサプロ錠の副作用“胃腸障害”について

 

レクサプロ錠を飲み始めて生じる副作用を確認すると“傾眠が22.6%”で発現頻度が一番高くなっています。例えば1日1回夕食後にレクサプロを飲み始めた場合、レクサプロの効き目は24時間継続しますので日中にも眠気(傾眠)が生じる可能性があります。しかし、飲み続けることで眠気は緩和されることもあり、また用量を調節することで眠気を軽減する措置が取られることもあります。

 

レクサプロ錠で次に発現頻度が高い副作用は“悪心20.7%”となっています。悪心とは吐き気・胸がむかむかするという意味です。

 

レクサプロ錠を飲み始めると、脳内および腸管内のセロトニンが徐々に増加します。私たちの体のセロトニン量を調べてみると、脳内の中枢神経に2%、腸管の消化管粘膜に90%、血小板中に8%というデータがあります。

 

脳内でセロトニンが増えるとリラックス効果が表れるわけですが、消化管のセロトニン量が増えると、消化管の活動が活発になります。消化管の活動が活発になるということは、胃が活発に動きすぎると“吐き気”、“口喝”になり、大腸が活発に動くと”下痢・水様便“となります。

(便秘が生じることもありますが、発現率でみると下痢の発現頻度が便秘の2倍ほどの率で発現しています)

SSRI(パキシル・レクサプロ・ジェイゾロフト)の用量の上限が海外とくらべて少ない理由(セロトニントランスポーターの発現量について)

以上のことから、レクサプロ錠の服用を開始した方に対して副作用の説明をする際は、体内のセロトニンが増えることで生じる有害事象をお伝えすると、ご理解いただけるのではないかと考えてお伝えするように心がけております。

 

セロトニン再取り込み阻害(SSRI)という働きの薬はレクサプロ以外にもパキシルやジェイゾロフト、ルボックスなどがあります。その中でレクサプロ錠はセロトニントランスポーターへの選択性が高い反面、ノルエピネフリントランスポーター(1/7100倍)やドパミントランスポーター(1/24000)への選択性が低いため、他剤と比較して主作用(セロトニンへの作用)に特化しているイメージがある薬です。

 

初回処方時は5mgから始まることが多いイメージですが、添付文書通りに初回から10mgが処方されることもありますので、初めてお飲みいただく方には薬のはたらき・有害事象についてしっかりお伝えできればと思います。

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執筆者:ojiyaku


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