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アムロジピン服用時の24時間血圧の推移について

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アムロジピン服用時の24時間血圧の推移について

アムロジピンの半減期はおよそ36時間です。初めてアムロジピンの服用を開始した場合、安定してその降圧効果を感じるためには定常状態(薬の効き目が安定している状態)に達する必要があります。

バルサルタンおよびアムロジピンを服用後の降圧作用時間について

ARBとカルシウム拮抗薬の比較

アムロジピンの場合:36時間×4〜5=6日〜7日くらい

およそ1週間服用を続ければアムロジピンが期待される降圧効果が実感できると考えられます。1日1回服用する降圧剤の特徴は半減期が長いために、急激な血圧変動が起こりにくいことです。そのため、服用開始時に生じやすい「めまいフラツキ、顔面紅潮」といった血管拡張に伴う降圧剤特有の副作用は軽減されることが示唆されます。

現在使用量が多い降圧剤は1日1回タイプの薬がメインであり、その中でもCa拮抗薬とARBの2成分が主流といえるでしょう。

ここで半減期が5~7時間のARBであるバルサルタンと半減期が36時間のアムロジピンをそれぞれ単剤1日1回服用したときの24時間血圧の推移について着目してみます。

両薬剤を、各患者さんが1日1回朝食後に服用し、12か月後の平均随時血圧を測定した結果は、両薬剤とも同程度の降圧効果を示しています。しかし、収縮期血圧においてバルサルタンでは投与7時間までの血圧値は低いものの、それ以降は血圧値が微増傾向であったのに対し、アムロジピンでは安定した降圧効果が持続し、投与20~24時間において有意な降圧効果(-2.7mmHg)を示し、降圧効果の持続性に違いがみられたというデータがあります。
バルサルタンおよびアムロジピンを服用後の降圧作用時間について

ARBとカルシウム拮抗薬の比較
バルサルタンとアムロジピンに関しては服用回数だけをみれば1日1回使用する薬ですが、降圧作用時間の上記特性を理解すると、患者さんへお薬をお渡しする時に具体的な説明が可能になると私は考えまております。

たとえば1日を通して安定した降圧効果を求めるのであればアムロジピンの服用が適しています。一方で、早朝高血圧や夜間高血圧などのように血圧が上がる時間帯が1日の中で具体的に判明している患者さんの場合はバルサルタンのように降圧作用が時間帯によって変動する薬を選択する意義は患者さんの生活実態に即していると言えます。

ただし、バルサルタンのように半減期が短いタイプの1日1回降圧剤をお渡しする際は、1日を通しての降圧効果にある程度の幅があるため、めまいフラツキの自覚症状が起こる可能性について注意喚起を続ける必要があるかと思います。

また、1日2回服用する降圧剤ではさらに24時間血圧推移の変動は大きく見られます。ニフェジピンを1日2回服用し、服用2時間後と12時間後にそれぞれ血圧を測定すると12時間後に測定した値が有意に高いというデータがあります。ニフェジピンに関しては、実際に臨床で使用されている薬は徐放錠が多いので以下のデータは古いデータと言えます。(セパミット細粒などを飲むと以下のような降圧効果になるかと思います)

バルサルタンおよびアムロジピンを服用後の降圧作用時間について

ARBとカルシウム拮抗薬の比較

まとめ
降圧剤については薬の良し悪しではなく、薬の降圧特性(服用後のピーク時間があるかどうかなど)を良く理解して、使用する患者さんへ注意喚起ポイントを明確にすることが安全な薬物治療につながるものと考えております。

 

追記(2018年8月)

アムロジピンの効き目が長い(半減期が長い)理由についての補足

アムロジピンの効き目が長い理由を調べてみると、大きく2つのポイントがあることがわかりました。

 

1:受容体にくっついたら離れない

アムロジピンを1錠飲むと、消化管から吸収された後、約60%が血液中まで吸収されます(40%は吸収されずに排泄されます)。吸収された60%のアムロジピンは血管の周りを取り囲んでいる細胞へ作用して血管が細くならないように(血管が広がるように)作用します。

アムロジピンとニフェジピン(アムロジピンと同じくらい使用されている降圧剤)と比較した時に、際立った違いを確認してみると”受容体からの離れやすさ”が浮上します。

ラットにアムロジピンを投与したデータによると、心臓の筋肉上にある受容体(アムロジピンがくっついて作用する部位)のうち70%をアムロジピンが占有した後、12時間後に占有率が37.6%へ減少し、24時間後には7%まで減少したというデータがあります。

アムロジピンと似たような薬にニフェジピンという薬があるのですが、アムロジピンと同じ量をラットに投与したデータでは占有率が4%を最大として3時間~6時間後には減弱しているという結果を示しています。

(アムロジピンのインタビューフォームより)

 

このデータから、アムロジピンはターゲットとなる受容体にくっつくと離れにくいという性質が確認できます。血圧の変動を防ぐためには降圧剤の効き目が安定していることが大切です。アムロジピンは受容体からの解離速度が遅い(くっついたら離れにくい)という有益な特徴がある薬であることが確認できました。

バルサルタンおよびアムロジピンを服用後の降圧作用時間について

ARBとカルシウム拮抗薬の比較

2:肝臓や腎臓で分解・排泄をうける頻度がひくい

血液中にあるアムロジピンが血管をとりまく細胞へ移行するためには血管を形成している”膜”や細胞を形成している”膜”を通過する必要があります。

 

アムロジピンの酸解離定数(pKa=8.85)という値なのですが、この値が7.4(血中のpHの平均値)より高いため、アムロジピンは膜を通過しやすい”分子型”という状態で体の中をめぐります(分子型の反対の言葉はイオン型です)

 

分子型であるアムロジピンは体の中をめぐりますので、血管内の血液中に留まるとは限りません。薬は肝臓や腎臓で分解・排泄を受けるわけですが、肝臓や腎臓を通過するためには血管の内側を流れる血液中に存在する必要があります。

 

イオン型の薬は膜を通過しにくい性質がありますので、血液中に存在する率が高いため、肝臓や腎臓を通過する回数が多いため分解・排泄を受ける回数も多くなりますが、分子型の薬は膜を通過しるため血液中に存在する率も低下しており肝臓・腎臓を通過する回数も相対的に減少します。このためアムロジピンは肝臓や腎臓での分解・排泄を回避しながら前進を駆け巡っていることが示唆されます。

 

以上よりアムロジピンを飲むと、薬の作用点である受容体にくっつくと離れにくいため効果時間が長く、さらに肝臓や腎臓をよけながら全身をユラユラ動いているため分解・排泄を受けにくいため効き目が長くつづくことが示されます。

バルサルタンおよびアムロジピンを服用後の降圧作用時間について

ARBとカルシウム拮抗薬の比較

 

 

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