脳内のアロマターゼの量と協調性に関する報告
日本国内の報告で、男女の脳内におけるアロマターゼ(エストロゲンをつくる酵素)の産生量が多いと協調性が低下するというユニークな報告がありましたので概要を記します。
協調性:異なった環境や立場に存する複数の者が互いに助け合ったり譲り合ったりしながら同じ目標に向かって任務を遂行する素質(wikiより)。日本人としては好まれる要素なのかもしれません。
被験者:男性11名(平均年齢34.7歳±6.4)、女性10名(平均年齢3.17歳±8.1歳)
方法:アロマターゼに対して高い選択性と親和性を有する(アロマターゼだけに良くくっつく性質がある)C-セトロゾールという物質があります。このC-セトロゾールはごく微量の放射能を出す性質があります。
C-セトロゾールを被験者へ注射すると、投与されたC-セトロゾールは体内の“アロマターゼ”とくっつく働きがあります。そのため放射線を検知する装置(PET)を用いて検査することで
C-セトロゾールがどこに分布しているか=アロマターゼがどこにどれだけあるか
を知ることができるという方法です。
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加えて、被験者の性格を把握するために
「Buss-Perry攻撃性質問紙」
「日本語版のTemperament and Character Inventory」(気質や性格を把握する質問用紙)
を回答してもらい、回答結果とアロマターゼの脳内分布から解析が行われました。
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アロマターゼと性格特性の関連について
女性:攻撃性スコアと左偏桃体のアロマターゼ濃度との間に正の相関が確認されました
(左偏桃体にアロマターゼがいっぱい産生される女性は攻撃性がたかい)
男女ともに:両側視床におけるアロマターゼの濃度と協調性スコアにおいて負の関連が示された(視床におけるアロマターゼ濃度が高いと協調性が低下するというデータでした)
アロマターゼを活性化する因子について
ここまで記しましたデータは、あくまで被験者21名における小規模なデータですので、読み終えたあとの解釈も様々かとは思うのですが、
アロマターゼが増える → 協調性が低下する
という仮説があるとした場合に、アロマターゼが増える要因には何があるのか、念のため調べてみました。
・年齢
・肥満
・インスリン
・アルコール
・精神刺激ホルモン
海外の報告もいくつか調べてみたのですが、アロマターゼの活性化因子で検索すると乳腺関連における活性化因子(レプチン・ゼラノールなど)はヒットするのですが、視床におけるアロマターゼ活性化因子となると、なかなか見つけることができませんでした。
学校や社会への適応・協調性というのは、生活を営む上でのテーマの一つかなぁと思いますので、この分野の研究がより進むことを期待したいです。
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