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子供のスクリーンタイムと自閉症スペクトラム様症状の関係について

子供のスクリーンタイムと自閉症スペクトラム様症状の関係について

 

子供たちがスマートフォンやパソコン・タブレットなどを使用してyoutubeやゲームアプリをする時間がどんどん増えてきています。

 

テクノロジーの発展が私たちの生活を豊かにしてくれるわけですが、心と体が未発達な子供たちにとっては、時としてスクリーンタイムの増加が睡眠障害・肥満・視力障害などの身体的、精神的なデメリットを享受する可能性があります。

 

今回はサウジアラビアの子供たちを対象として、スマートフォンやタブレットなどン電子機器を使用する時間とがコミュニケーション能力に及ぼす影響に関する報告がありましたので、目を通してみました。

 

今回の報告で使用する評価基準には「ソーシャルコミュニケーションアンケート(SCQ)」を使用しています。SCQは「対人コミュニケーション質問票」であり、合計得点が多いほど「自閉症スペクトラム障害」の症状が強いと判断されます。

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自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群について

・自分なりのやり方・ルールにこだわる

・臨機応変は対人関係が苦手

・マイペースを優先し、本能的志向が強い

・相手の気持ちを察するのが苦手

・同じようなミスを繰り返す

・人間関係がうまくいかない

・急な予定変更にパニックになる

 

など社会生活における柔軟さに乏しい症状を言います。

 

どうやら、子供時代にスクリーンタイムが長いと上記のように自閉症スペクトラムのような症状になりやすいようなんです。

 

サウジアラビアの4~6歳の子供を対象として、スクリーンタイムと社会的コミュニケーション能力との関連性についての調査報告を以下に記します。

子供のスクリーンタイムと自閉症スペクトラムの関係について

被験者:サウジアラビアに住む4~6歳の健常小児(308名)

調査方法:社会的コミュニケーション質問票(SCQ)40項目に回答し、総得点とスクリーンタイムとの相関について調査する。

 

被験者(小児)のスクリーンタイム時間

毎日3時間以上:51%

毎日2時間:33.1%

1時間以下:15.9%

 

結果

平均SCQスコア:9.26

 

SCQスコア15以上を「高値」と定義しています。

 

SCQスコアが高いの子供の割合

電子機器の使用時間が3時間以上の子供:19.7%(31人)

電子機器の使用時間が2時間の子供:7.84%(8人)

電子機器の使用時間が1時間以下の子供;10.2%(5人)

 

年齢とSQCスコアに相関はなく、電子機器使用時間と平均SQCスコアとには有意な相関が確認されました。

 

今回の調査前に行われた先行研究によると、自閉症スペクトラム児は健常児と比較して、幼少期にスクリーン視聴に顕著に興味を持つことが結論づけられていました。

これは社会的な興味が少ないという特徴をもつ自閉症スペクトラム児の性質により説明ができ、社会的つながりよりも、コンピューティング活動を好むことが示唆されています。

 

また、SCQスコアが15を超える場合、養育者の婚姻状況や学歴・子供の年齢や性別に相関は見られませんでした。

幼児期のスクリーンタイムが言語発達に与える影響を調べた韓国データによると、言語の遅れはスクリーンタイムに比例し、テレビの視聴時間が2時間の子供は言語の遅れリスクが2.7倍になることが報告されています。

 

筆者らは結論として、4~6歳の子供が3時間以上のスクリーンタイムでデバイスを使用する場合、SCQスコアが15点以上となる割合が高く(相関があり)、自閉症スペクトラムのような症状となる可能性が示唆された。

とまとめています。

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業