新規作用機序の降圧剤“ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「エサキセレノン」を承認申請
第一三共は2018年2月27日、新規作用機序の降圧剤“ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「エサキセレノン(開発コードCS-3150)」を国内で承認申請したことを公開しました。
エサキセレノンの薬理作用
エサキセレノンは非ステロイド構造を有する選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカーです。ミネラルコルチコイド受容体とはアルドステロンにより活性化されて、尿細管での水分の再吸収を促進させることで血圧上昇に寄与する受容体です。エサキセレノンはこの受容体を阻害することで降圧作用を示します。
新規作用機序の降圧剤エサキセレノンを国内承認申請
エサキセレノンのミネラルコルチコイド受容体への選択制は非常に高く、他のステロイドホルモン受容体に対する選択性と比較して1000倍の選択性を有しています。また、ミネラルコルチコイド受容体への親和性に関しては、アルダクトンやセララと比較して、エサキセレノンの親和性が4倍、76倍高いというデータとなっております。
In vitroのデータですが、ミネラルコルチコイド受容体へのIC50値を確認してみると
エサキセレノン:3.7nM
アルダクトン:66nM
セララ:970nM
というデータが報告されておりますので、エサキセレノンはアルダクトンやセララと比較して低用量で効果を発現する薬であることが示唆さレます。
また、ミネラルコルチコイド受容体が活性化すると心臓・血管・腎臓などの臓器障害を促進することが知られており、エサキセレノンは臓器保護作用を示すことも期待されております。
塩高血圧ラットに対してエサキセレノンを投与したデータによると、用量依存的に塩負荷による血圧常用が有意に抑制されています。さらにエサキセレノン投与により腎障害(タンパク尿・糸球体及び尿細管における組織病理学的変化)の発症も抑制されています。
ARBまたはACE阻害剤が投与されている微量アルブミン量を有する2型糖尿病患者さんを対象とした国内第2相試験の結果ではエサキセレノン投与群はプラセボ群に比べて統計的に有意なアルブミン尿減少効果が確認されております。
国内第3相試験(ESAX-HTN試験)
日本において本態性高血圧症患者1001人を対象としてエサキセレノン2.5mg/日とセララ50mg/日を服用した時の有効性(降圧効果)と安全性について検証が行われました。主要評価項目は12週時の座位血圧の変化量で、セララ50mgに対してエサキセレノン2.5mgの降圧効果の非劣勢が検証されております。またエサキセレノン2.5m及び5mgの降圧効果については用量反応関係が確認されております。安全性上の懸念は認められておりません。詳細は今後の学会で公開される予定となっております。