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抗精神薬の多剤併用状況に関する解析(2024/12/28)

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抗精神薬の多剤併用状況に関する解析(2024/12/28)

デンマークの研究者が抗精神薬の多剤併用における精神疾患の経緯や予後に関するデータを公開していましたので以下に記します。

抗精神薬の多剤併用に関するメタ解析

研究の目的と方法

精神疾患患者における抗精神病薬の多剤併用の現状と、それが患者に与える影響を大規模なデータに基づいて明らかにすることを目的としています。

世界中の多数の研究データを分析し、多剤併用の割合、地域差、時間的な変化、そして患者への影響を詳細に調べました。

主要な結果

  • 多剤併用の現状: 世界的に見て、精神疾患患者、特に統合失調症スペクトラム症患者の間で、抗精神病薬の多剤併用が広く行われていることがわかりました。 
  • この割合は、過去50年間に増加傾向にあります。
  • 地域差: 北米では多剤併用の割合が比較的低く、アフリカでは高いという地域差が見られました。
  • 患者への影響: 多剤併用は、単剤療法と比較して、以下のリスクを高めることが明らかになりました。  
    • 再発リスクを高める
    • 精神科への入院リスクを高める
    • 日常生活を送る機能が低下する
    • 副作用として錐体外路症状(運動機能の障害)、ジストニア(筋肉の持続的な収縮)、抗コリン薬の使用による副作用が増える
    • 全体の死亡率が上昇する
  • その他の結果: 多剤併用は、疾患の重症度と関連しており、臨床アウトカムを改善するものではないという結果も得られました。

研究の結論

この研究の結果から、抗精神病薬の多剤併用は、患者に様々なリスクをもたらすことが明らかになりました。にもかかわらず、多剤併用は世界的に増加しており、特に統合失調症スペクトラム症患者でその傾向が強いことがわかりました。著者らは、多剤併用よりも、単剤療法やより効果的な治療法の開発が求められると結論付けています。

 

 

 

向精神薬による中毒死と言うニュースを見て

先日、テレビのニュースで「司法解剖の結果、死因は「向精神薬」による中毒死とみられる」という報道を目にしました。

いわゆる向精神薬の過量服用による自殺を防ぐために、2016年に「ベゲタミン」が販売中止となりました。

ベゲタミンと言う薬は世界で唯一日本だけで販売されてていた薬で、過量服用による致死率高さから危険性を考慮され販売が中止となったイメージがあります。

 

ベゲタミンが販売中止となった現状では、過量服用による致死性の高い薬とイメージされるのは第二種向精神薬の催眠鎮静薬が該当するでしょう。

ここで、具体的は医薬品名・成分名は公開しませんが以下に私が個人的に想像する致死量について記載します。

たとえば「F」という医薬品を想像します。

医薬品を動物に投与した時に、その動物の半数が死亡する毒性量を「LD50」と呼ぶのですが、医薬品「F」におけるLD50は

マウス:1200mg/kg

ラット:415mg/kg

であることがわかっています。

上記の量を単純に60kgのヒトに当てはめると24g~72gとなります。医薬品「F」が1錠あたり1mgの錠剤と考えると、24000~72000錠がLD50の数値となりますので、「1度に2万錠以上の錠剤なんて飲めるわけないじゃん」となります。

しかし、実際には日本やスウェーデンなど、医薬品「F」が認可されている国では薬物中毒による死亡例が報告されています。

スウェーデンでは司法解剖によりベンゾジアゼピンが検出された159人の死亡例のうち29例が薬物中毒であったという報告があります。

日本国内でも過量服用による死亡が報告されている薬剤4剤に「医薬品「F」が含まれています。

注)医薬品Fを過量服用後、嘔吐物が詰まって死亡に至ったのか、転倒により死亡したのか、呼吸抑制により死亡したのか、詳細は不明です

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では、具体的に常用量(眠剤として普通に飲む量)の何倍を飲むと命に危険をもたらすのでしょうか。答えはその人の体調、年齢、性別、代謝(肝臓・腎臓の機能)に依存するため、人によって異なるというのが事実です。同じ量を飲んでも生存できる人もいれば亡くなるかたもおります。それを踏まえて上で過去の報告をいくつか見てみます。

 

アメリカ科学者のロバート・S・ゲイブル氏が記した「娯楽用薬物の毒性」というなんとも怪しげな本の中に医薬品「F」は有効用量の20~80倍を飲むと死亡を引き起こす。と記されています。(ヘロインは通常使用量の10倍、マリファナは100~1000倍が致死量と記されています。)

 

・高齢患者において28mgを服用して死亡が報告された事例があります(報告の中では「この薬物が原因で死亡する例は稀」とも記載されています)

 

・52歳女性が過量服用で死亡し、該当成分の血中濃度を確認したところ1270ng/gが検出されたと報告されております。1270ng/gという濃度は通常使用量のお60倍程度に相当します(添付文書の常用量との比較より)

 

私の調べでは、具体的な致死量は上記程度しか確認できませんでしたが、通常使用量の60倍程度で死亡を引き起こす可能性が十分にあると私は考えます。

 

さらに、アルコールと一緒に飲むと呼吸抑制が相乗されるこという報告がありますので、更に危険を増幅させる可能性があります。

注意)同類薬での話ですが、増量により血中酸素飽和度の低下、呼気中二酸化炭素濃度の増加が報告されており、中枢神経に作用して呼吸を抑制する可能性が示唆されています。

以上のことから、医療用医薬品として処方される睡眠薬の中には安易な気持ちで過量服用すると命を落としかねない製剤があることを自覚すべきだと感じました。

アルコールと睡眠薬を一緒に飲んだ時の脳内のイメージ

 

-睡眠薬
-向精神薬, 大量服用, 眠剤, 自殺, 致死率

執筆者:ojiyaku

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