ロゼレム錠を低用量で夕食後に飲むと睡眠・覚醒相後退障害に有益(2022/8/22)
明け方近くまで眠くならず、昼過ぎにならないと起きられない”覚醒睡眠後退障害”に対して低用量のロゼレム錠が有益という報告がありましたので下記します。
覚醒睡眠後退障害は、若年期に発症することが多く、児童・青年期の有病率は7~16%とも報告されています。就寝時刻になっても寝付けずに、夜更かしをすることとなり、翌朝起きるべき時刻に起きられず、無理に起きてお頭が働かず、倦怠感や心身の不調をもたらします。夏休み等の長期休暇明けに出現することが多く、思春期や若年層に多くみられるとされています。l
被験者23名(平均年齢23.5歳、男性15例、女性8例)に対して、夕方(18:10)に低用量のロゼレム錠を投与したデータです。
ロゼレム錠は1錠あたり8mgを含有している製剤なのですが、この報告では平均で0.571mgを投与していますので、錠数で言いますと7分の1錠~50分の1錠相当が投与されたことになります。
結果
治療開始前は起床困難による遅刻・欠勤が報告されていましたが、治療後は学校・職場への遅刻が消失した割合が60.9%、部分奏功は26.1%、改善が見られない(無効)は13%という結果となりました。
治療前は69.6%の被験者で起床時の睡眠酩酊を呈していましたが、治療後は87.5%の患者で消失が確認されています。
低用量ロゼレム錠服用で「夜眠れない・朝起きられない」を改善か?
ロゼレム錠が「せん妄発症抑制療法」について保険との併用「適」
厚生労働省の先進医療協議会と先進医療技術審査部会は2022年3月3日に合同会議を開き、せん妄ハイリスク患者に対して「ロゼレム錠」を使用する「せん妄発症抑制療法」について、保険の併用を「適」とする評価結果を了承しました。
先進医療の名称:ラメルテオン(ロゼレム)を用いたせん妄発症抑制療法
適応症:せん妄ハイリスク患者
効果:手術または重症疾患によりせん妄発症リスクが高い65歳以上の高齢患者において、せん妄発現割合の減少が期待される。
ロゼレム錠を用いたせん妄発症抑制療法に関しては、国立がん研究センター病院が「高齢がん患者」に対してロゼレムを投与し、術後せん妄の発症抑制の有効性・安全性についてプラセボと対象とする二重盲検ランダム比較試験で検証されています。
ロゼレムを1日1回1錠(8mg)、手術4-8日前から術後4日目まで就寝前に経口もしくは経鼻胃管から投与する。
手術後1日目から5日目まで毎日、精神腫瘍医がDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-5)を用いてせん妄の有無を評価する。
と記載されています。
以下に概要を記します。
ロゼレム錠に「せん妄発症抑制療法」の適応症(保険医療との併用「適」)
せん妄とは
せん妄とは、時間や場所が急にわからなくなる見当識障害から始まる場合が多く、注意力や思考力が低下して様々な症状を引き起こします。 通常は継続しても数日間ですが、まれに数ヵ月間続く場合もあり、的確な処置が行えないと昏睡や死に至ることもあります。 1日の中でも症状の強弱があり、夕方に悪化する傾向がみられます。
これまでも、ロゼレム錠を1日1回夕食後に処方されている処方箋を何度も目にしたことがありましたが、今回の評価結果をうけて、保険適応外ではあるものの保険調剤として「適」と解釈します。