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新規経口抗真菌剤ネイリンカプセル100mg(ホスラブコナゾール)とイトリゾールの比較

新規経口抗真菌剤ネイリンカプセル100mg(ホスラブコナゾール)とイトリゾールの比較

爪白癬の適応症で承認申請中の新規経口抗真菌剤“ホスラブコナゾール”について佐藤製薬とエーザイが共同プロモーションを行う事となりました。

新規トリアゾール系経口抗真菌剤(開発番号BFE1224)ホスラブコナゾールはアフリカ大陸などの熱帯地方でみられる感染症“真菌性菌腫(eumycetoma)を含むマイセトーマ”に対する治療薬として開発がすすんでいる薬です。

日本国内では爪白癬治療薬として承認申請されています。主活性成分はラブコナゾールですが、服用後の溶解性や生体利用率を向上させるために、ラブコナゾールをプロドラッグへ変換し、ホスラブコナゾールとして医薬品化した製品となっています。

経口抗真菌剤ホスラブコナゾールの販売提携

ラブコナゾール200mgの海外でのⅠ/Ⅱ相試験

~ホスラブコナゾールの特徴~

トリアゾール系の経口抗真菌薬です。同類薬の抗真菌薬としてイトリゾールやブイフェンドがあります。イトリゾールやブイフェンドはどちらもCYP3A4及びP糖蛋白に対する阻害作用が強いため、併用禁忌薬が添付文書に多数記されています。

一方、新規抗真菌剤のホスラブコナゾールはCYP3Aに対する阻害作用が弱いため、相互作用を起こす薬剤が少ないことが報告されています。また、爪白癬の主な原因菌であるT.rubrumやT.mentagrophytesに対してイトリゾールと同等かそれ以上の抗真菌活性を有するという報告(海外におけるⅠ/Ⅱ相試験)があります。

海外でのⅠ/Ⅱ相試験によると1日ラブコナゾール200mg、12週間服用することで56%の被験者で効果的な治癒が確認されています。また、1日200mgのラブコナゾール摂取は真菌に対してMIC90を超える平均的な血漿定常状態となる濃度を維持することができます。

1日200mg服用による副作用は稀ですが、頭痛が報告されています。

~ラブコナゾールのIn vitro抗菌活性(最少発育阻止濃度MIC)~

皮膚糸状菌:0.5μg/ml
酵母菌:0.25μg/ml
非皮膚糸状菌:8μg/ml
トリコフィトン6種(白癬菌):0.015-8μg/ml
ミクロスポルム5種(小胞子菌):0.015-1μg/ml
エピデルモフィトン属:0.015-1μg/ml

日本の爪白癬患者を対象として第Ⅲ相の二重盲検比較試験が行われておりますが、その結果は公表されておりません。用法用量服用期間などの具体的な使用量に関しては、今後の情報公開が待たれるところです。

水虫の塗り薬を1日1回塗るだけで効果がでる理由について

ラブコナゾール200mgの海外でのⅠ/Ⅱ相試験

トリアゾール系の抗真菌薬でありながら、CYP3A4による併用薬禁忌リストがない抗真菌薬というのは非常に使用しやすい印象をうけます。加えて治療成績が高いようであれば爪白癬で悩んでいる患者様にとって有用な薬となるのではないでしょうか。

追記

2018年7月にネイリンカプセルの販売が開始となりました。発売から1年間は処方日数制限14日間が設けられております。

以下にその特徴をまとめます。

・食事の有無に関係なく飲むことができる1日1回投与の爪白癬治療薬です。

 

・通常は12週間(3か月間)の経口投与が使用方法となっています。3ヵ月投与終了後は爪の伸長期間を考慮して経過観察を行うこととなっています。

・48週間(約1年間)の継続服用による完全治癒率は59.4%、著効率は83.1%、有効率は94.4%です。

注意:完全治癒とは爪甲混濁部の消失かつ直接鏡検における皮膚糸状菌が陰性を意味しています。

著効率とは爪甲混濁部面積比の減少率が60%以上、有効率は爪甲混濁部面積比の減少率が30%以上の症例の割合です。

 

・爪に入り込んだネイリンカプセル濃度を調べたデータによると、12週間の継続服用を終えた後も足爪の中のネイリンカプセル濃度は上昇を続け、20週間まで(内服を中止してから56日後まで)足爪の中のネイリンカプセル濃度は上昇をつづけます。

 

・半減期は71~101時間と記されておりますので、薬の効果が安定して発揮される”定常状態”に達するまでには1か月ほど毎日飲み続ける必要があります。その後も定常状態を維持する必要がありますので、治療期間の3か月間は飲み忘れに注意することが爪白癬治療において最も大切なポイントとなります。12週間の内服を中止した後も、血液中にはネイリンカプセルの成分が1か月ほど流れ続ける計算になり、その成分が爪に蓄積されて効果を発揮続けることが示唆されます。

 

・ネイリンカプセルはカプセル剤ですので、高齢者の中には飲みこみにくいとおっしゃるかたおられるかもしれません。カプセル剤の上手な飲み方はカプセルを口に含んだ後、みずも口に含みます。その後少し下方向を見るように首を下に向けるとカプセルが喉の方へ流れます。この状態で”ゴクン”と飲むとカプセルを飲みこみやすいです。

注意:カプセルを口に含み、水を口に含んだ後、上を見上げてカプセルを飲みこもうとすると、カプセルが口腔内の水に浮かんでしまうために、口腔内の水を飲んだ後にカプセルだけが口の中に残ってしまいカプセルを飲みこむことができません。

 

・他剤との併用禁忌薬はありません

 

・重大な副作用・軽度な副作用で注意すべき点は肝機能障害です。

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ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業