ファンギゾンシロップの希釈・使用方法(自分まとめ)

ファンギゾンシロップの希釈・使用方法(自分まとめ)

年に数回なのですが、私が勤務している薬局では口腔内カンジダ症に対して、歯科からファンギゾンシロップが処方されることがあります。

その度に私は、

うがい or  飲み込む?

口の中に何秒間保持する?

希釈は何倍?

希釈したら何日間安定?

処方箋の記載方法は内服?外用?

といったことがぼんやりと頭に浮かびます。

そもそも、ファンギゾンシロップの適応症が”消化管におけるカンジダ異常増殖”であり、

用法及び用量
通常小児に対し1回0.5~1mL〔アムホテリシンBとして50~100mg(力価)〕を1日2~4回食後経口投与する。という用法しかありません。

にもかかわらず、含嗽や含かい法によって使用することが適応外として容認されているため、

ぼんやりと「口腔内の真菌・舌苔」に対してうがいしましょう。といった感じで、具体的な使用方法がはっきりとしていないことが本質的な要因と感じています。

そこで今回は、わかる範囲ではありますが、ファンギゾンシロップの希釈・使い方について自分なりのまとめを作ってみました。

ファンギゾンシロップの希釈について

メーカーが作成した患者様向け資料には、ファンギゾンシロップを1回0.5~1mlを付属のスポイトでとり、口腔内に含ませた後、舌で患部に広くいきわたらせ、15~30秒たったら、そのまま飲み込んでください。と記してあります。

アメリカでは「成人および小児の口腔カンジダ症」の適応症があり、1回1ml、1日4回、食間に投与。原液を舌の上に滴下し、口中に広くいきわたらせた後飲み込む」と記載されているものがありました。

上記のように原液で使用する場合は、それが答えで良いと思います。

では希釈する場合について記します。

ファンギゾンシロップ24mlを500mlの精製水で希釈する→ざっくり20倍希釈(20.833倍)

ファンギゾンシロップ10mlを精製水で500mlまでメスアップする→50倍希釈

ファンギゾンシロップ5mlを精製水で500mlまでメスアップする→100倍希釈

私が目にしたことがある希釈指示は上記の3パターンです。

(ファンギゾンと精製水の混合は処方箋での調剤として計量混合加算は算定できません)

 

ファンギゾンシロップを20~100倍程度のに薄めても効果はあるのか?に関して、統計的なデータを見つけることはできませんでしたが

含嗽法で使用した場合、希釈濃度が100%(50~200倍程度)での有効率が100%であったのに対して、希釈倍率が4000倍(1000~5000倍程度)での有効率は91%で有意差が認められた。という記載がありました。

また、含かん法(うがいをしてから飲む)では90%の有効率を示したという記載がありました。

そのため、ファンギゾンシロップで口腔内カンジダ症の治療を行う場合は100倍以下の希釈液でうがい・含かん(うがいしてから飲む)をすることがよさそうです。

口腔カンジダ症に対するファンギゾンシロップの有効性について

口に含んでいる時間

メーカーホームページに原液で15~30秒間、口に含むという記載があります。

希釈液に関する記載はありません。常識の範囲で考えますと、例えば希釈液20mlを口に含み15秒間うがいをする。これを2回繰り返す(トータル40ml、30秒間)といった解釈で良いかと私は考えます。(うがい・含かんを問わず)

希釈後の安定性

ファンギゾンシロップのインタビューフォームの一番下に50倍、100倍希釈での安定性に関するデータがあります。

室温・褐色バイアル便保存の場合、50倍希釈で2週間安定。100倍希釈で1週間安定

(薄める、光に当てると残存力価が低下します)

最期に、口腔咽頭カンジダ症治療薬として、ファンギゾンシロップの推奨度を確認してみました。

深在性真菌症の診断・治療ガイドラインの口腔咽頭カンジダ症に対する標的治療では、第二選択薬(推奨度B III)となっています。

ファンギゾンシロップは局所による治療であるため、内服薬の方が治療効果が高いと考えられています。

fangizon

口腔カンジダ症治療の第一選択薬

フルコナゾール 100~400㎎/回、1日1回経口(推奨度A I)

イトラコナゾール内用液またはカプセル 200mg/回、1日1回経口(推奨度A I)

口腔カンジダ症治療ガイドライン

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業