おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

PTPシート ジェネリック医薬品(後発医薬品)

後発医薬品を医療機関が選ぶ際の採用基準(ジェネリック医薬品の選定理由)

投稿日:2018年8月15日 更新日:

後発医薬品を医療機関が選ぶ際の採用基準(ジェネリック医薬品の選定理由)

 

医療費削減のために診療報酬改定を経るごとに後発医薬品の使用率が高くなっておりますが、病院や薬局が後発医薬品を選ぶ基準にはどのようなポイントがあるのかを調べてみようと思いました。

 

 

まず初めに、後発医薬品の選定理由について、厚生労働省が行ったアンケート内容を確認してみたところ

値引き率が大きいと薬価が引き下げられる薬価改定の仕組みを考慮して後発医薬品を選定する方法

厚生労働省アンケ―トによる後発医薬品の選定理由

 

・「後発医薬品メーカー・卸が十分な在庫を確保していること」

・「信頼のおける後発医薬品メーカーが扱う後発医薬品であること」

・「近隣の保険医療機関で採用されている処方銘柄であること」

・「後発医薬品メーカーが品質について情報を開示していること」

・「納品までの時間が短い事」

・「納入価が安い事」

などが上位となっていました。

では実際現場で働く調剤薬局勤務の私たちが希望する後発医薬品の採用基準を設けるとしたらどのような項目があるのかなぁと考えてみました。もちろん上記の6項目は非常に重要な要素かとは思いますが、それ以外で考えてみると

 

錠剤としての品質

・Cmax・Tmax・T1/2などの薬物動態に関する値が先発医薬品と類似している

・原料が国産である。または原料国を開示している

・添加物の品目数・種類が先発医薬品に近い・同じ

・適応症が先発医薬品と同じである(適応症不一致ではない)

・一包化したときに他剤と干渉しない(オルメテックとメトグルコによる変色など)

・粉砕できる・簡易懸濁法で溶ける

・開封後の安定性が確認されている

・OD錠と普通錠の両剤形がある

AG薬またはそれ以外のジェネリックを服用後に再び先発品へ戻る割合

ge-drugs

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調剤・鑑査への影響

・錠剤の色、形が先発医薬品と似ている(過誤対策としては似ていない方がいいという考えもあります)

・錠剤のシートが先発医薬品と似ている(過誤対策としては似ていない方がいいという考えもあります)

・割線が入っている

・PTPシートから錠剤を取りだしやすい(PTPシートが硬すぎない)

・錠剤が硬すぎない(半錠にするときに柔らかすぎず、硬すぎずというのが理想です)

・錠剤が柔らか過ぎない(PTPから取り出したときに欠けたりしない程度)

・OD錠はある程度の硬度を保持している(PTPから取り出したときに欠けたりしない程度)

・錠剤の刻印がカタカナで薬品名が印字されている

・錠剤の刻印に規格(○mgなど)が印字されている

値引き率が大きいと薬価が引き下げられる薬価改定の仕組みを考慮して後発医薬品を選定する方法

購入・納品への影響

・包装(PTP100、PTP140など)が先発医薬品と同程度の品ぞろえである

・バラ錠を販売している

・複数規格がある場合は箱やPTPシート、錠剤が区別しやすい配色となっている

・PTP100錠の箱の大きさが適切である(調剤棚に適切に収納できる)

・すでに収載されている薬とPTPシートが似ていない

・パッケージ、PTPに工夫がある

上記の情報は事前に添付文書から入手することができる情報もあれば、製品見本などのサンプルなどを入手して確認する内容もあります。薬を手にする患者さんが安心して服用することができるように、後発医薬品の採用には多角的な要素を加味して選定しなければならないと感じております。また、それに加えて現場で働く薬剤師にとっても利便性がある錠剤であればさらに選定する理由になっていくのかなぁと感じております。

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執筆者:ojiyaku


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