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抗うつ治療装置“頭部磁気刺激治療装置「ニューロスター」”を帝人ファーマが販売(保険適用)

抗うつ治療装置“頭部磁気刺激治療装置「ニューロスター」”を帝人ファーマが販売(保険適用)

 

帝人ファーマが抗うつ治療を目的とした装置「頭部磁気刺激治療装置「ニューロスター」の販売を開始しました。

neurostar-TMS

ニューロスターによる治療は、いわゆる歯医者さんの治療台のような長椅子に座り、頭部(左背外側前頭前野)に電磁刺激を与えて神経伝達物質の放出を促し、脳内を活性化させるという治療です。約40分間の治療を週5回、合計20~30回行うことで、うつ症状の軽減・消失を目的とした治療です。(保険治療は6週間・合計30回まで)

 

ニューロスターによる抗うつ治療は保険適用であり1回1200点(自己負担3割の方で3600円)という額で受けられます。

 

米国では2008年にうつ病の治療装置として認可されており、治療実績がある装置と記されておりましたので米国における使用実績・有害事象に関する情報を調べてみました。

米国におけるニューロスターの報告例について

 

被験者:大うつ病患者301人(1種類の抗うつ薬治療がうまくいかなかった方)

 

ニューロスターによる治療:4~6週間にわたって、週5回治療を行った。

 

結果

ハミルトンうつ病評価尺度による評価では、6週間の治療後50%以上の改善が認められた割合は54%、6週間の治療後にハミルトンうつ病評価尺度が11未満となった割合は33%という結果が出ています。

 

個人差はあるのかもしれませんが、治療を終えて4~6か月後にはうつ症状が再発が起こる可能性も示されており、米国では再発した場合は主治医が治療を延長するかどうか検討する流れとなっています。(日本国内での保険適用期間は6週間とされています)

 

ニューロスターによる治療の有効率に関しては、薬剤耐性が低いほど改善率が高いということが報告されておりますので、薬による薬物治療がうまくいく“うつ患者さん”はニューロスターによる治療も有効かもしれません。

ニューロスター使用実績

 

有害事象

 

治療群:92人

頭痛(32例)、刺激部分の不快感(18例)、不眠症(7例)

 

プラセボ群:

頭痛(23例)、刺激部分の不快感(10例)、不眠症(10例)

 

という副作用報告がなされていますが、有害事象の発現率は治療群とプラセボとで有意差がないと報告されています

ニューロスターの効果・有効率・有害事象報告

ニューロスター治療装置の取扱説明書

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業