2021年6月18日にサインバルタカプセルのジェネリック医薬品(デュロキセチン)が薬価収載されましたが、安定供給が難しいとして各社発売時期を調整しておりました。
デュロキセチンカプセルの発売状況・発売予定時期についてまとめました。
フェルゼン
デュロキセチンカプセル20mg/30mg「フェルゼン」2021年7月29日発売開始
ダイト株式会社
デュロキセチンカプセル20mg/30mg「フェルゼン」2021年7月29日発売開始
日新薬品
デュロキセチンカプセル20mg/30mg「日新」2021年8月2日発売開始
デュロキセチンカプセル20mg/30mg「日新」2021年8月2日発売開始
陽進堂:2021年6月22日 以下の品目を発売しているものの需要過多のため出荷調整中
・デュロキセチンカプセル20mg「YD」PTP100P
・デュロキセチンカプセル20mg「YD」PTP500P
・デュロキセチンカプセル20mg「YD」B300P
・デュロキセチンカプセル30mg「YD」PTP100P
・デュロキセチンカプセル30mg「YD」B300P
共和薬品:2021年6月18日 以下の品目を発売しているものの、需要過多のため出荷調整中
デュロキセチンカプセル 20 ㎎「アメル」 PTP100C
デュロキセチンカプセル 20 ㎎「アメル」PTP500C
デュロキセチンカプセル 30 ㎎「アメル」 PTP100C
ニプロ:2021年7月21日 発売開始
デュロキセチンOD錠20mg「ニプロ」 PTP100錠
デュロキセチンOD錠30mg「ニプロ」 PTP100錠
ニプロ:2021年7月27日 発売開始
デュロキセチンカプセル20mg「ニプロ」
デュロキセチンカプセル30mg「ニプロ」
第一三共エスファ「DSEP:2021年7月27日発売(情報提供をいただきました)
デュロキセチンカプセル20mg「ニプロ」
デュロキセチンカプセル30mg「ニプロ」
東和薬品:2021年8月30日 発売開始
デュロキセチンカプセル20mg「トーワ」PTP100 カプセル
デュロキセチンカプセル20mg「トーワ」PTP500 カプセル
デュロキセチンカプセル20mg「トーワ」バラ 300 カプセル
デュロキセチンカプセル30mg「トーワ」PTP100 カプセル
デュロキセチンカプセル30mg「トーワ」バラ 300 カプセル
デュロキセチン錠20mg「トーワ」 PTP100 錠
デュロキセチン錠30mg「トーワ」 PTP100 錠
Meiji Seika ファルマ:2021年7月予定
デュロキセチンカプセル20mg・30mg「明治」
Meiji Seika ファルマ:2021年9月予定
デュロキセチンOD錠20mg・30mg「明治」
沢井製薬:2021年9月予定
デュロキセチンカプセル 20mg/30mg「サワイ」
以下のメーカーは、ホームぺージに発売日は記載されておりませんでした。
日本ジェネリック「JG」:発売日未定
共創未来ファーマ株式会社「KMP」:発売日未定
大原薬品「オーハラ」:発売日未定
高田製薬株「タカタ」:発売日未定
三笠製薬:発売日未定
富士化学:発売日未定
追記:2021年5月21日
2021年6月発売予定となっているサインバルタカプセルのジェネリック医薬品について、一部のメーカーの適応症が先発品と同じ適応症へ拡大されておりましたので下記します。
当初、デュロキセチンカプセルの適応症は
効能又は効果
○うつ病・うつ状態
○下記疾患に伴う疼痛
糖尿病性神経障害
線維筋痛症
とされていましたが、2021年5月19日改定で「沢井製薬」「日本ジェネリック」「MeijiSeikaファルマ」
上記3社から発売されるデュロキセチンカプセルの適応症が
○うつ病・うつ状態
○下記疾患に伴う疼痛
糖尿病性神経障害
線維筋痛症
慢性腰痛症
変形性関節症
へ拡大されました。
追記:2021年5月26日改定で「三笠」から発売されるデュロキセチンカプセルも上記の適応症が追加されました。
慢性腰痛症・変形性関節症が加わったことで、「沢井製薬」「日本ジェネリック」「MeijiSeikaファルマ」から発売されるデュロキセチンカプセルの適応症が先発品(サインバルタカプセル)と同じになりました。
調剤薬局での使い勝手を考えると、適応症を気にせずにジェネリック医薬品へ変更調剤が可能となります。
2021年6月中旬に発売予定となっているサインバルタカプセルのジェネリック医薬品「デュロキセチン」の添付文書が各社から公開されました。
そこで、各メーカーが発売するデュロキセチンカプセル・OD錠、普通錠についての薬物動態の比較データを作成しました。
以下にエクセルファイルを添付いたします。
先発品のサインバルタはカプセル剤ですが、2021年6月に発売されるGEの中で、「ケミファ」「トーワ」の2製品は普通錠が発売されます。
普通錠「ケミファ」、普通錠「トーワ」に関して、薬物動態を確認したところ、まったく同じデータが開示されていますので、この2剤は同一製品であることが推測されます。
ケミファ・トーワから発売される普通錠の販売規格は20mg・30mgともにPTP100錠、バラ錠100錠包装しか発売されません。
先発品はカプセル剤でしたので、飲みにくさを訴える患者様で普通錠を好む方にとっては有益かもしれません。
先発品のサインバルタはカプセル剤ですが、2021年6月に発売されるGEの中で、「ニプロ」「明治」の2製品は普通錠が発売されます。
OD錠「ニプロ」とOD錠「明治」に関して、薬物動態を確認したところ、まったく同じデータが開示されていますので、この2剤は同一製品であることが推測されます。
ニプロ・明治から発売されるOD錠の販売規格は20mg・30mgともにPTP100錠、バラ錠100錠包装しか発売されません。
先発品はカプセル剤でしたので、飲みにくさを訴える患者様がおりましたので、OD錠の発売について、一定量の需要があることが見込まれます。
上記の普通錠・OD錠を発売するメーカーは少数派であり、2021年6月に発売されるサインバルタのGEの多くがカプセル剤です。
添付文書の薬物動態を確認したかぎり、同一製剤を思われる品目について下記します。
・「JG」と「三笠」
・「DSEP」と「オーハラ」
・「YD」と「フェルゼン」と「日新」と「明治」
・「サワイ」と「KMP」
サインバルタのGEは各社から一斉に発売となります。その際に、医療機関が購入する価格(実勢価格)は安ければ安いほど、医療機関側としては助かります。
例えば「YD」と「フェルゼン」と「日新」と「明治」はどのメーカーの薬を購入しても同一製剤です。それならば値段の安いメーカーの薬を仕入れることが医療機関としては良い選択となります。
各社から発売されるデュロキセチンの添加物を確認してみました。
先発品がカプセル剤ですので、デュロキセチンOD錠やデュロキセチン普通錠は添加物が大きく異なります。
先発品と限りなく添加物リストが近いジェネリックメーカーを調べてみると
「トーワ」「JG」「三笠」
上記3メーカーから発売されるデュロキセチンカプセルはサインバルタと比較して添加物が、ほぼ同じであることが添付文書に記されています。
サインバルタのAG薬は発売されないことを考慮した上で、添加物目線でGEメーカーを選定する場合は、上記の3メーカーが候補に挙がるかもしれません。
薬物動態を考える場合、AUCとCmaxを先発と比較することが一つの指標になると私は考えます。
(サインバルタは1日1回服用する薬で、半減期が10時間ほどの薬であることを考えると、定常状態に達してしまえば、薬の効き目について、Tmaxや半減期はあまり気にしなくてよいと私は考えます。)
サインバルタと比較して、各社から発売されるジェネリック医薬品のAUC、Cmaxには多少のバラツキがみられるように感じました。
(ここ数年間に発売されたジェネリック医薬品の比較データを作成している私の個人的な印象です)
その中で、先発品との薬物動態が近い製品は「タカタ」、「YD」、「フェルゼン」、「日新」、「明治」あたりかなぁと推測されます。
GEの効き目を気にされる患者様に対して「発売されるGEの中で、データ上は非常に先発品に近い効果(薬物動態)であることが確認できます」という表現で説明できるかもしれません。
注)2021年3月14日時点では、GEの製造問題で業務停止処分をうけている「日医工」の添付文書は公開されていません。