治療抵抗性うつ病患者さんを対象とした2つの報告がありましたので、その内容を記します。
セディール錠(タンドスピロン錠)のパーシャルアゴニストとしての特徴とSSRIとの併用について
うつ状態の自己評価尺度として“ベックうつ病評価尺度Ⅱ”という指標があります。21項目の質問に回答し、点数が高いほどうつ状態が高いと評価します。(健常人は1~10点程度)
ベックうつ病評価尺度が14点以上の治療抵抗性うつ病患者さん480人を対象として、SNRIまたはSSRIを服用している状態にリフレックスを追加した場合の治療成績に関する報告がありました。
結果
リフレックスを12週間服用した群ではスコアが18.0、プラセボ群では19.7となり、リフレックスを服用した群でベックうつ病評価尺度Ⅱが低下していることが確認されましたが、有意差があるデータとはなりませんでした。(調整後の信頼区間が-1.83:95%CI:-3.92~0.27)となり、リフレックスを服用したことでベックうつ病評価尺度が-3.92~0.27というバラツキがでました。スコアが0.27上昇している被験者もいたことから、リフレックスを服用することが治療の改善につながらないケースもあるという解釈となります。
尚、有害事象に関してはリフレックス服用群で発生率が高く、治験を中止した被験者もおりました。
治療抵抗性うつ病でSNRIまたはSSIR服用にリフレックスを追加したケース
筆者はまとめとして、治療抵抗性うつ病におけるSSRIまたはSNRIにリフレックスを追加服用することは、有効な治療選択肢として見出すことができなかったとしています。
治療抵抗性うつ病患者(2種類以上の抗うつ薬でこうか不十分な患者)へ心理学増強療法または薬理学的増強療法を行った場合の効果を算出した報告です。
エビリファイ服用群の効果:1.33
リチウム服用群の効果:1.00
N-メチル-D-アスパラギン酸を標的とする薬剤の効果:1.48
薬理学的な効果の全体:1.19
治療抵抗性うつ病患者を対象とした薬物治療および心理学的治療のデータ
心理学的増強療法の効果:1.43
プラセボ(偽薬)服用群の効果:0.78
心理学的プラセボ(対照)群:0.94
効果が1を超えていれば、効き目がでているという解釈です。
筆者らはまとめの中で、治療抵抗性うつ病患者に対する増強療法のエビデンスはあまり多くないが、今回の報告は有望なデータであるとしています。