支払基金「レセプト審査の取扱い」においてバンコマイシン散は適応症を厳守すること

支払基金「レセプト審査の取扱い」においてバンコマイシン散は適応症を厳守すること

 

支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)が2017年11月27日公開されました。今回で第3回目となります。

 

〇メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)腸炎、偽膜性大腸炎及び造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)時の消化管内殺菌以外に対する塩酸バンコマイシン散(バンコマイシン塩酸塩散)の投与について

 

~取扱い~

バンコマイシン散の適応症は厳守すること(第3回支払基金審査例公開)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)腸炎、偽膜性大腸炎及び造血幹細胞移植(骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)時の消化管内殺菌以外に対する塩酸バンコマイシン散(バンコマイシン塩酸塩散)の投与は、原則として認めない。

 

~取扱いを作成した根拠等から

 

塩酸バンコマイシン散(バンコマイシン塩酸塩散)の適応は、「MRSA感染性腸炎、クロストリジウム・ディフィシルによる偽膜性大腸炎及び骨髄移植時の消化管内殺菌」に特化されている。

 

また、本薬剤は、通常、経口投与によってほとんど吸収されず、高い消化管

内濃度が得られるが、血中にはほとんど現れないことから、消化管以外の感染症には用いられない。したがって、MRSA腸炎、偽膜性大腸炎及び造血幹細胞移植(骨髄移植、

末梢血幹細胞移植、臍帯血移植)時の消化管内殺菌以外での投与は、原則認められないと判断した。

〇播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者に対する脂肪乳剤のイントラリポス輸液の投与について

 

~取扱い~

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)の患者に対する脂肪乳剤のイントラリポス輸液の投与は、原則として認めない。

 

~取扱いを作成した根拠等~

イントラリポス輸液は、静注用脂肪乳剤であり、添付文書上の適応症は、「術前・術後、急・慢性消化器疾患、消耗性疾患、火傷(熱傷)・外傷、長期にわたる意識不明状態時の栄養補給」となっている。

 

脂肪乳剤のイントラリポス輸液については、その副作用として血栓症の患者において凝固能の亢進により病状が悪化するおそれがあること、また、重篤な血液凝固障害のある患者において出血傾向があらわれるおそれがあることが指摘されている。したがって、「DIC」の患者に対する脂肪乳剤のイントラリポス輸液の投与は、原則認められないと判断した。

第2回支払基金における審査の一般的な取扱い

上記2剤についての取扱いが公開されました。

前回(第2回)では、

“アリセプトはアルツハイマー型認知症と脳血管障害の病名が併存している場合は投与を認める“

 

“ペンタサ錠とペンタサ注腸の併用投与を認める”

 

“淋菌感染症の治療における第一選択薬としてロセフィン又はトロビシンの注射投与を認める”

 

というように「認める」事案も公開されていましたが、第3回では「認めない」事例のみが公開されました。

 

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業