片頭痛の治療薬として処方される“ゾーミッグ錠”のジェネリック医薬品について、先発医薬品との効き目(薬物動態)を検討しました。ゾルミトリプタン錠(294.1円)は先発(730.3円)と比べて薬価が半額以下の製品であるため、コスト面からみると非常に有用な製品であると感じます。今回はゾーミッグ錠のジェネリック医薬品“ゾルミトリプタン錠”の薬物動態を先発品と比較してみました;
ジェネリック医薬品は先発品の薬物動態(AUC、Cmax)と比較して80~125%の効果があれば製造許可が得られます。私としては可能なかぎり先発の薬物動態に近いジェネリック医薬品が理想だなぁと感じます。ゾルミトリプタン錠を片頭痛治療薬として使用する場合、効き目の早さ(Tmaxが小さいこと)が効果を実感するための一つに指標になるかなぁと感じます。
スマトリプタン錠(イミグランのジェネリック)について効き目(薬物動態)を比較する
以下にゾーミッグ錠とゾルミトリプタン錠に関する薬物動態の比較表(エクセル)を添付いたします。ゾルミトリプタン製剤はOD錠で発売されておりますので、水で飲んだ時と、水なしで飲んだ時のデータが記されています。ゾルミトリプタンOD錠「タカタ」の製品を水なしで飲んだ時の薬物動態が先発品と比較して10%程度低いようなデータとなっております。それ以外の品目については体に取り込まれる薬物量(AUC)および効き目の程度(Cmax)に関しては先発品と比較して95~110%程度の効果が確認できます。
先発品の薬物動態(AUC、Cmax、Tmax、T1/2)に対する後発品の薬物動態をパーセンテージで表示しています。
AUC比:ゾーミッグと比較してジェネリック医薬品がどの程度体に取り込まれるか
Cmax比:効き目のピーク時の高さ
Tmax:薬の効き目の早さ(値が小さいほど効き目が早い)
T1/2:薬が消失されるまでの早さ(値が小さいほど早く消失する)
各メーカーから販売されているゾルミトリプタン錠の中でゾーミッグ錠と比較した時に特徴がある製品について見てみます。
ゾーミッグと比較してTmaxが10%以上低い=早く効く
と解釈した場合、以下の2品目を水で服用した場合は効き目が早くなる可能性が示唆されます。(先発品よりもTmaxが短いため効き目のピークが早く来るためです)
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日医工」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日新」
ゾーミッグと比較してT1/2が大きく、AUCも大きい製剤=長く効く
と解釈した場合、以下の品目は先発と同等に効き目が長いタイプのジェネリックと解釈できるかもしれません。
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「JG」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「アメル」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「ファイザー」
注:データはすべて添付文書に記されている薬物動態をもとに作成しておりますので、効果に関しては個人差があることをご了承ください。
ゾルミトリプタンOD錠の薬物動態を比較して感じたことは、水で飲んだ場合と、水なしで飲んだ場合とで薬物動態に10%程度の差がみられる製品が多いという印象をうけました。
スマトリプタン錠(イミグランのジェネリック)について効き目(薬物動態)を比較する
水あり、水なしで飲んだ時にAUCやCmaxで10%以上の差がみられる製品は以下の品目です。
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「トーワ」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日医工」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日新」
片頭痛に対するカロナール(アセトアミノフェン)の効果・量について
片頭痛時に頓服として効き目が早く感じられる製剤
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日医工」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「日新」
上記の品目を水で飲んだ場合は効き目が早くなるデータが示されています。
水で飲んでも、水なしで飲んでもどちらもバランスが良い製剤
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「ファイザー」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「アメル」
ゾルミトリプタンOD錠2.5mg「JG」
上記3品目は水あり、水なしに関わらず先発品とよく似た薬物動態を示すことが薬物動態のデータより確認できます。
(効果発現までの時間が10%ほど先発品より遅いかもしれません)
ゾーミッグからジェネリック医薬品への変更やジェネリックからジェネリックへの変更を行う場合、水ありで服用するか、水なしで服用することが多いかを確認すると同時に、各ジェネリックの薬物動態(「効くまでの時間」・「持続時間」)を頭にいれておくと、患者様のお力になれるのかもしれません。
スマトリプタン錠(イミグランのジェネリック)について効き目(薬物動態)を比較する