スタチンとフィブラートの併用が可能になる(2018年10月16日)

スタチンとフィブラートの併用が可能になる(2018年10月16日)

 

「原則禁忌」とされていたスタチン系薬剤とフィブラート系薬剤の併用が可能となりました。厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課は2018年10月16日付でスタチンとフィブラートの併用について「原則禁忌」を削除し、「重要な基礎的注意」と添付文書を改訂するよう指示をだしました。

スタチン系薬剤とフィブラート系薬剤との併用について

「腎機能に関する検査値に異常が認められた場合は、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施すること」

という内容の重要な基本的注意が記されています。

スタチンとフィブラートの原則禁忌項目が削除

海外での使用例

スタチンとフィブラートの併用について、海外の規制状況を確認すると、腎機能に関する臨床検査に異常が認められない患者においてはEUおよび米国において禁忌の設定はありません。

 

注意1:EUにおいては、クレストール(ロスバスタチン)40mgとフィブラートとの併用は禁忌とされています(米国では禁忌とされておりません)。

 

注意2:日本国内では未発売のフィブラート系薬品“gemfibrozil”とシンバスタチンとの併用は禁忌とされています。(gemfibrozilとセリバスタチンとの併用により横紋筋融解症の死亡例が12例)

臨床報告

患者様から「スタチン系薬剤とフィブラート系薬剤を併用しても大丈夫?」という質問があるかどうかはわかりませんが、その解答としては

米国で2型糖尿病の患者さん2500人以上を対象としてリピディル(フェノフィブラート)とリポバス(シンバスタチン)を平均4.7年間併用したデータによると、横紋筋融解症を含む筋肉の障害の副作用発生率についてプラセボ群とリポバス群で差がなかった。

 

そのため2剤を併用しても有害な副作用の発生頻度が高くなるというデータはないので、腎機能が正常な方に関しては2剤を一緒に飲んでも差し支えないというルールに変更となりました。

日本動脈硬化学会からスタチンとフィブラートの併用に関する要望書(2018年4月11日)

fibrate

スタチン系薬剤

・メバロチン(プラバスタチンナトリウム)

・リポバス(シンバスタチン)

・リピトール(アトルバスタチン)

・ローコール(フルバスタチンナトリウム)

・リバロ(ピタバスタチンカルシウム)

・クレストール(ロスバスタチンカルシウム)

・カデュエット配合錠(アムロジピン/アトルバスタチン)

・アトーゼット配合錠(アトルバスタチン/エゼチミブ)

スタチンとフィブラートの原則禁忌項目が削除

フィブラート系薬剤

・リピディル・トライコア(フェノフィブラート)

・パルモディア(ぺマフィブラート)

・ベザトールSR(ベザフィブラート)

・リポクリン(クリノフィブラート)

・クロフィブラートカプセル(クロフィブラート)

パルモディア錠(ペマフィブラート)とリピディルとの比較データ

ojiyaku

2002年:富山医科薬科大学薬学部卒業