パルモディア錠(ペマフィブラート)とリピディルとの比較データ
高脂血症治療薬“パルモディア錠(ペマフィブラート”が2017年6月9日に厚生労働省で開催される薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において新薬としての承認可否が検討されます。
パルモディア錠は、いわゆるフィブラート系とよばれる脂質異常症治療薬に分類され、リピディルやベザトールと類似する効能効果を有する製剤です。いくつか報告されているペマフィブラート錠の効能効果について既存のフィブラート系との違いについて記します。
パルモディア錠(一般名:ペマフィブラート、治験コード:K-877)
一般的に、フィブラート系薬剤の薬理作用は、遺伝子調節にかかわるPPARα受容体に作用することでトリグリセド(中性脂肪)を分解する働きをもつ“リポタンパクリパーゼ”の合成を促すはたらきがあります。この作用で血中のトリグリセリド(中性脂肪)の量を減らすことができます。
2017年6月9日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会により新薬として承認可否を検討されるリスト
パルモディア錠はフィブラート系薬剤の薬理作用である中性脂肪分解作用を最大限にUP(選択的PPARαモジュレーター)させると同時に副作用を減少させること目的として合成された製剤です。さらにパルモディア錠とスタチン製剤との併用による有害事象の発現頻度が上昇しないというメリットが注目されています。
興和株式会社が日本人を対象として治験を進め、日本から海外展開を視野にいれて開発を進めている製品であることも国家戦略として意義が見いだせるのかもしれません。
実際のパルモディア錠の臨床データを確認してみると
A) リバロ服用患者さん188人に対して、パルモディア錠0.1mg、0.2mg、0.4mg/日を12週間投与した時のデータ
B) 任意のスタチン系製剤を服用患者さん423人に対して、パルモディア錠0.2mg(状況により0.4mgへ増量)/日を24週間投与した時のデータ
上記のA、Bデータの結果、スタチン単独療法に比べて、パルモディア錠とスタチンとの併用療法群の方が、空腹時トリグリセリド(中性脂肪)レベルを約50%有意に低下させたというデータとなっています。また、有害事象の発現頻度は、スタチン単独療法群とパルモディア/スタチン併用群との間に差はなかったと記されております。
また、異なる報告では
各用量のパルモディア錠を1日2回服用した際に、中性脂肪(トリグリセリド)がどの程度低下するかについて、有害事象の程度について記載されています。
パルモディア錠0.025mgを2T/2×:TG変化率:-30.9%
パルモディア錠0.05mgを2T/2×:TG変化率:-36.4%
パルモディア錠0.1mgを2T/2×:TG変化率:-42.6%
パルモディア錠0.2mgを2T/2×:TG変化率:-42.7%
フェノフィブラート錠100mgを1T/1×:TG変化率:-29.7%
有害事象の発症率
パルモディア錠:32.4~56.8%
フェノフィブラート錠100mg:56.8%
プラセボ:47.2%
副作用頻度
パルモディア錠:2.7~5.4%
フェノフィブラート錠100mg:10.8%
プラセボ:8.3%
フェーズ2試験ではパルモディア錠の副作用頻度上記のように記されています。パルモディア錠の副作用頻度がプラセボよりも低いというデータが有意差のあるデータかどうかはわかりませんが、少なくともフェノフィブラートと比べると副作用は低いのかなぁと感じられるデータとなっているようです。
日本国内で新薬として承認可否を予定しているのはパルモディア錠0.1mgです。その臨床効果は十分に期待できる規格となっています。スタチンとの併用データも含めて、より多くのデータが報告されることを期待したいです。