片頭痛の治療薬として処方される“イミグラン錠”のジェネリック医薬品について、先発医薬品との効き目(薬物動態)を検討しました。スマトリプタン錠(275.1円)は先発(698.4円)と比べて薬価が半額以下の製品であるため、コスト面からみると非常に有用な製品であると感じます。患者様からは「値段は安いですけどイミグランと同じくらい効きますか?」というご質問をいただくことがありましたので、比較データを作成しました。
ジェネリック医薬品は先発品の薬物動態(AUC、Cmax)と比較して80~125%の効果があれば製造許可が得られます。私としては可能なかぎり先発の薬物動態に近いジェネリック医薬品が理想だなぁと感じます。スマトリプタン錠を片頭痛治療薬として使用する場合、効き目の早さ(Tmaxが小さいこと)が効果を実感するための一つに指標になるかなぁと感じます。
以下にイミグラン錠とスマトリプタン錠に関する薬物動態の比較表(エクセル)を添付いたします。体に取り込まれる薬物量(AUC)を先発と比較してみると、AUCが先発品の90%程度の製品と100%前後の製品という2つのグループの分類できるように思われます。効き目の程度(Cmax)に関しても同様に先発品の90%前後の製品と100%前後の製品に区分できるように思われます。
先発品の薬物動態(AUC、Cmax、Tmax、T1/2)に対する後発品の薬物動態をパーセンテージで表示しています。
AUC比:イミグランと比較してジェネリック医薬品がどの程度体に取り込まれるか
Cmax比:効き目のピーク時の高さ
Tmax:薬の効き目の早さ(値が小さいほど効き目が早い)
T1/2:薬が消失されるまでの早さ(値が小さいほど早く消失する)
各メーカーから販売されているスマトリプタン錠の中でイミグラン錠と比較した時に特徴がある製品について見てみます。
イミグランと比較してTmaxが10%以上低い=早く効く
と解釈した場合、効き目の早さに関しては以下のように解釈できるかもしれません。
「マイラン」、内用液50mg「タカタ」を除くすべての製品について、イミグランよりもTmaxが小さい値となっていますので、上記2製品以外のジェネリック医薬品の効き目の早さに関しては十分に感じるかと思われます。
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イミグランと比較してT1/2が大きく、AUCも大きい製剤=長く効く
と解釈した場合、以下の品目は効き目が長いタイプのジェネリックと解釈できるかもしれません。
スマトリプタン錠50mg「アメル」
スマトリプタン錠50mg「マイラン」
スマトリプタン錠50mg「タカタ」
痛み止めとして小児に対するカロナール(アセトアミノフェン)を使用する場合の量15mg/kgについて
体に取り込まれる薬の総量(AUC)と薬の効き目のピーク(Cmax)がともに先発品と同等以上の製品は以下の品目です。
スマトリプタン錠50mg「アメル」
スマトリプタン錠50mg「マイラン」
スマトリプタン錠50mg「タカタ」
注:データはすべて添付文書に記されている薬物動態をもとに作成しておりますので、効果に関しては個人差があることをご了承ください。
後発医薬品(ジェネリック医薬品)であるロキソプロフェン錠と先発医薬品であるロキソニン錠の効き目を添付文書のデータから比較する
スマトリプタン「DK」、「F」、「FFP」、「JG」、「SN」「TCK」「YD」
上記7製品は、ほとんど同じような薬物動態のデータが示されているのですが、特徴としてはAUCが先発品と比べて91.5%程度、Cmaxが先発品と比べて91.1%という特徴となっています。
スマトリプタン錠50mg「アメル」
スマトリプタン錠50mg「タカタ」
AUCとCmaxが100%以上あるため、体に取り込まれる薬の量、効き目が十分であることが示されており、Tmaxが低いことから効果発現時間が早く、T1/2が長いため効果持続時間も十分であることがデータより示唆されるためです。
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イミグランからジェネリック医薬品への変更やジェネリックからジェネリックへの変更を行う場合、各ジェネリックの薬物動態(「効くまでの時間」・「持続時間」)を頭にいれておくと、患者様のお力になれるのかもしれません。