おじさん薬剤師の日記

調剤薬局で勤務するおじさんです。お薬のはたらきを患者様へお伝えします

新薬承認 降圧剤

新規作用機序の降圧剤“ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「エサキセレノン」を承認申請

投稿日:2018年2月28日 更新日:

新規作用機序の降圧剤“ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「エサキセレノン」を承認申請

 

第一三共は2018年2月27日、新規作用機序の降圧剤“ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬「エサキセレノン(開発コードCS-3150)」を国内で承認申請したことを公開しました。

エサキセレノンの薬理作用

エサキセレノンは非ステロイド構造を有する選択的ミネラルコルチコイド受容体ブロッカーです。ミネラルコルチコイド受容体とはアルドステロンにより活性化されて、尿細管での水分の再吸収を促進させることで血圧上昇に寄与する受容体です。エサキセレノンはこの受容体を阻害することで降圧作用を示します。

新規作用機序の降圧剤エサキセレノンを国内承認申請

塩高血圧ラットに対するエサキセレノンの効果

エサキセレノンのミネラルコルチコイド受容体への選択制は非常に高く、他のステロイドホルモン受容体に対する選択性と比較して1000倍の選択性を有しています。また、ミネラルコルチコイド受容体への親和性に関しては、アルダクトンやセララと比較して、エサキセレノンの親和性が4倍、76倍高いというデータとなっております。

 

In vitroのデータですが、ミネラルコルチコイド受容体へのIC50値を確認してみると

エサキセレノン:3.7nM

アルダクトン:66nM

セララ:970nM

というデータが報告されておりますので、エサキセレノンはアルダクトンやセララと比較して低用量で効果を発現する薬であることが示唆さレます。

 

また、ミネラルコルチコイド受容体が活性化すると心臓・血管・腎臓などの臓器障害を促進することが知られており、エサキセレノンは臓器保護作用を示すことも期待されております。

塩高血圧ラットに対してエサキセレノンを投与したデータによると、用量依存的に塩負荷による血圧常用が有意に抑制されています。さらにエサキセレノン投与により腎障害(タンパク尿・糸球体及び尿細管における組織病理学的変化)の発症も抑制されています。

 

ARBまたはACE阻害剤が投与されている微量アルブミン量を有する2型糖尿病患者さんを対象とした国内第2相試験の結果ではエサキセレノン投与群はプラセボ群に比べて統計的に有意なアルブミン尿減少効果が確認されております。

国内第3相試験(ESAX-HTN試験)

日本において本態性高血圧症患者1001人を対象としてエサキセレノン2.5mg/日とセララ50mg/日を服用した時の有効性(降圧効果)と安全性について検証が行われました。主要評価項目は12週時の座位血圧の変化量で、セララ50mgに対してエサキセレノン2.5mgの降圧効果の非劣勢が検証されております。またエサキセレノン2.5m及び5mgの降圧効果については用量反応関係が確認されております。安全性上の懸念は認められておりません。詳細は今後の学会で公開される予定となっております。

 

-新薬承認, 降圧剤
-アルダクトン, エサキセレノン, セララ, ミネラルコルチコイド, ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬, 心保護作用, 新規作用機序, 第3相試験, 腎保護作用

執筆者:ojiyaku


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

関連記事

Fluitran-effect

調剤薬局でフルイトランを患者さんへお渡しするときにお伝えすること

調剤薬局でフルイトランを患者さんへお渡しするときにお伝えすること フルイトランはARBとの併用や合剤として高血圧患者さんへお渡しすることがあります。私が勤務する調剤薬局のお薬の説明書き(薬情)にはフル …

ketuatu

アンジェスが開発中の高血圧DNAワクチンについて

アンジェスが開発中の高血圧DNAワクチンについて アンジェスが開発中の「高血圧DNAワクチン」に関して、「医薬品として日の目を見る」のはいつ頃の話なのだろうか?という投稿がありましたので、これまで20 …

ふらつき (1)

冬から春になって「ふらつき」が気になる高齢の方の話(自分まとめ)

冬から春になって「ふらつき」が気になる高齢の方の話(自分まとめ) 80代女性の患者さんとのお話しです。 高血圧症で10年近くアムロジピン5mgを飲んでいる方が、雪解けが進んだ4月に病院を受診しました。 …

influenza-CCB

カルシウム拮抗薬がインフルエンザウイルスの感染を予防する

カルシウム拮抗薬がインフルエンザウイルスの感染を予防する   北海道大学の研究チームが降圧剤「カルシウム拮抗薬」を投与することでインフルエンザウイルスの感染を予防するというデータを公開しまし …

High-blood-pressure-sanka-magunesiumu

高血圧症に対する酸化マグネシウムの効果について

高血圧症に対する酸化マグネシウムの効果について   高血圧症に対するマグネシウムの効果に関しては「効果がない」と記している報告もあれば、「マグネシウムは血圧をさげることができる」と報告してい …