ロナセンテープの効果について
大日本住友製薬と日東電工が共同開発した非定型抗精神病薬ロナセンテープが7月31日付で承認申請されました。統合失調症による嚥下困難患者さんや認知力の低下による飲み忘れや多飲を防止することができるため、医薬品の適正使用という観点からも有用な剤形に感じます。
日東電工は両面テープやマスキングテープなどのテープ関連企業ですが、医療用のテープ剤にも力を注いでおり、硝酸イソソルビドテープ(狭心症の貼り薬)やツロブテロールテープ(ぜんそく治療薬)、ビソプロロールテープ(高血圧治療薬)など、皮膚から医薬品を吸収させるタイプの薬物製剤の開発にも尽力している企業です。特に降圧剤の貼り薬“ビソノテープ”は降圧剤としては唯一の貼り薬製剤であり、24時間に渡って持続した血中濃度を維持することが可能な製剤(高分子塗装・皮膚透過性)となっております。
今回承認申請されたロナセンテープですが、第Ⅲ相試験の結果を確認すると、成人の統合失調症患者さん580名を対象として1日1回ロナセンテープ40mg(196名)またはロナセンテープ80mg(194名)を6週間貼付した結果、何も貼らなかった群(プラセボ群)と比較して統合失調症の尺度である陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計値が40mg群で-16.4、80mg群で-21.3と有意な低下が確認されています。
注:PANSSとは統合失調症の症状を評価するための尺度で、30項目の質問に対して本人または家族が、それぞれ1(軽度)~7(重度)の7段階で評価を行い統合失調症の程度を調べる試験です。(最も重症の方で210点という計算となります)
デパス・リーゼ・ソラナックス・ワイパックス・レキソタンの安定剤として効き目を薬物動態から考える
ロナセン錠と比較してロナセンテープの利点としては錠剤を飲むことができない患者さんへの投与が可能であること、錠剤をたくさんのんでしまう(薬物乱用)の可能性がある患者さんに対してテープ剤へ切り替えることで第三者が服用状況(貼付状況)を確認できること、食事の影響を受けずに治療を維持することができることなどがあげられるかと思います。