統合失調症治療薬シクレスト舌下錠の特徴と味について
明治製菓ファルマより統合失調症治療薬「シクレスト舌下錠」が発売予定となっています。「舌下錠」という特徴的な剤形となっていますので、今回は、患者さんにシクレスト舌下錠の使い方をお伝えすることを想定してみます。
シクレスト舌下錠
舌下(舌の下で溶かす)投与で使用します。飲み込んでしまうと肝臓および消化管吸収時に代謝されてしまうため効き目が下がってしまいます。
複数の薬剤とシクレスト舌下錠が一緒に処方される場合は、まず他剤を飲んでから最後にシクレスト舌下錠を使用するイメージです。さらにこの薬を舌下投与後は10分間は飲食を避けること。というルールが設けられています。
舌下投与後2分後に水を飲むと20%程度効果が下がります。
舌下投与後5分後に水を飲むと10%程度効果が下がります。
薬を舌下投与後10分間、水を飲めないわけですから、その味が10分間、口腔内に残ることになります。アメリカで発売されているシクレスト舌下錠にはブラックチェリー風味に香り付されていますが、国内発売のシクレスト舌下錠は無味でつくられています。
無味といっても、舌下錠の添加物である「ゼラチン」「D-マンニトール」などの成分が口腔内に残りますので、これをどのように感じるかが毎日服用できるかどうかのポイントになりそうです。
第二世代の統合失調症治療薬はいずれも半減期が長く1日1回で使用することが多いかと思いますが、シクレスト舌下錠は1日2回使用する必要があります。
患者さんがシクレスト舌下錠を使用することを想定して考えてみます。
患者さの病態によるため一概には言えませんが、1包化または複数のPTPシート薬剤を1日数回使用している患者さんにおいて、まずはいつものお薬をお水でごくんと飲んでから、最後にシクレスト舌下錠を舌の下に入れて溶けるまで待つ。さらにその後10分間は飲食できない。この作業を1日2回行う。
文字だけを読むと面倒くさい作業に思えます。しかし実際にこの動作を行うのは患者さんですので、舌下錠として使用することで、しっかりとした効果が実感できれば服用する意義を見出すことができます。または舌下錠として使用したあと「不快ではない10分間」を過ごすことができるのであれば問題はありません。お菓子でおなじみな「明治製菓」ですので、無味とは言え、その「味」に期待したいところではあります。
舌下錠がもたらす副作用としては「舌の麻痺」「味覚異常」「口下顎 ジストニア」などのが目につきます。
シクレスト舌下錠を患者さんにお渡しする場合は、上記内容を十分に考慮してお伝えする必要があるかと思います。