湿布薬処方70枚制限への対策
2016年4月以降、湿布薬の枚数が1処方箋につき70枚までという上限が課せられました。
「医師が医学上の必要性があると判断し、やむを得ず計 70 枚を超えて投薬する場合には、その理由を処方せん及び診療報酬明細書に記載することで算定可能とする。」
という例外ルールはあるものの、いまだ70枚以上を必要とする理由が記載された処方箋を手にしたことはありません。
→70枚以上を処方する際に処方箋備考欄に記載された例として
「自宅が遠距離にあり年齢・病状を勘案して通院が困難であるため140枚を処方する」
「症状が極めて悪化しており頻回に通院することが困難であるため140枚を処方する」
といった文言を確認しました。
今回は、湿布薬70枚ルール制限内で湿布薬を最大量(g単位)患者さんにお渡しする方法を記載します。
大きい湿布をお渡しする
ジェネリックメーカーも含めて各社が販売している湿布薬の販売規格を確認し、一番大きいサイズの湿布をお渡しして、自宅でカットして使用してもらうという方法です。ロキソプロフェンパップ製剤やジクロフェナクパップ製剤では、先発品よりもジェネリック製剤でより大きな規格が販売されています。
~ロキソニン~
・ロキソプロフェンNaパップ200mg「三笠」(14cm×20cm)7枚入り
(先発品は100mgが最大です)
テープ剤の最大サイズは100mgですが、パップ剤では200mgというサイズが存在します。
ロキソニン系貼付剤はテープ剤もパップ剤も薬物動態は同じですので、特にテープ剤に強いこだわりがない場合は、ロキソプロフェンNaパップ200mg「三笠」が最大量となります。
~ボルタレン~
・ジクロフェナクNaパップ280mg「ラクール」(14cm×20cm) 7枚入り
(先発品は140mgが最大です)
テープ剤の最大サイズは30mgですが、パップ剤では280mgというサイズが存在します。
~MS温湿布、冷湿布~
・40g(14cm×20cm) 5枚入りが最大量となります。
~ヤクバン・アドフィード~
・アドフィードパップ80mg(ゼポラスパップ80mg)(14cm×20cm) 7枚入り
・ヤクバンテープ60mg (15cm×14cm) 7枚入り
~モーラス~
・モーラステープL40mg(ケトプロフェン40mg)(10cm×14cm) 7枚入り
・モーラスパップ60mg(ケトプロフェンパップ60mg)(14cm×20cm) 7枚入り
・モーラスパップXR240mg
~セルタッチ~
・セルタッチパップ140 (14cm×20cm)7枚入り
・セルタッチテープ70(フェルビナクテープ70mg)(10cm×14cm)7枚入り
~インドメタシン~
カトレップパップ70mg (10cm×14cm)7枚入り
カトレップテープ70mg (7cm×10cm)7枚入り
などが最大サイズの貼り薬となります。
パップ剤では(14cm×20cm)、テープ剤では(10cm×14cm)が最大となります。
1日1回タイプの貼り薬(ロキソニンやモーラス)と1日2回タイプの貼り薬(アドフィード、ヤクバン、MS湿布)などがあります。枚数制限がある以上1日1回タイプの貼り薬の方が枚数消費量が少ないため次回受診まで薬が長持ちするといえます。
また70枚制限ということから7の倍数または5の枚数の貼り薬が最大枚数を処方できます。そのため6枚製剤として併売されている
セルタッチパップ70mg 6枚入り
アドフィードパップ40mg 6枚入り
という製剤には分が悪いルール改正だったのかもしれません。
今後の疑義解釈やレセプト解釈により湿布薬処方に関するより詳細な情報が開示されることが予想されます。70枚を超えて湿布薬を処方をする場合の「理由」に関してもレセプト受理される内容は患者さんの状態によりさまざまかとは思いますが、具体例が公開されることに期待しています。